こんにちは。救急救命士学習塾の空飯です。
この記事では、救急救命士国家試験の「小児・新生児」分野の問題を10問まとめました。
並び順は適当ではありません。第45回〜第49回(過去5年分)の国家試験を1問ずつ分析し、類題が多く出ているテーマから順番に並べています。上から解いていけば、出やすいところから効率よく得点力がつきます。
答えは各問題の下の「▼答えと解説を見る」を押すと開きます。まずは自力で解いてみてください。
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小児・新生児は毎年どれくらい出る?
小児は「大人を小さくしたもの」ではありません。呼吸・脈拍・血圧の正常値、意識の評価方法、かかりやすい病気やけががすべて大人と違うため、国試でも独立した分野として毎年出題されます。第45〜49回では、一般問題と状況設定問題をあわせて5年間に約40問、毎年8問前後出ています。
特に多いのは成長とバイタルサインの正常値と熱性痙攣・感染症です。年齢ごとの数字と、小児特有の病気の特徴をセットで覚えましょう。
| 順位 | テーマ | 過去5年の類題数 |
|---|---|---|
| 1 | 成長・発達とバイタルサイン | 約9問 |
| 2 | 熱性痙攣と小児の感染症 | 約7問 |
| 3 | 乳幼児の意識レベル評価(JCS・GCS) | 約4問 |
| 4 | 小児の呼吸困難・アナフィラキシー | 約4問 |
| 5 | 小児の外傷の特徴 | 約4問 |
| 6 | 児童虐待 | 約3問 |
| 7 | 新生児の観察と保温 | 約3問 |
| 8 | 腸重積など腹部の病気 | 約2問 |
| 9 | 乳幼児突然死症候群(SIDS) | 約1問 |
| 10 | 心臓振盪 | 約1問 |
※類題数は当塾が第45〜49回のA〜D問題を分類して数えたものです(同数の場合は現場での重要度順)。小児の心肺蘇生は心肺蘇生・心停止の問題10選、溺水は熱傷・環境障害の問題10選で扱っています。
【第1位】成長・発達とバイタルサイン(類題 約9問)
問題1 生後2か月の乳児について正しいのはどれか。1つ選べ。(第48回 午前A 問75)
- 腹式呼吸である。
- 体温は成人より低い。
- 腎機能は成人と同等である。
- 他の小児期よりもウイルス感染が多い。
- 成人と比べて口腔容積に対する舌の割合が小さい。
▼答えと解説を見る
答え:1. 腹式呼吸である。
乳児は胸郭(肋骨のかご)が未発達なので、主に横隔膜で呼吸します。お腹が大きく上下する腹式呼吸です。
- 2:乳児は代謝が活発で、体温は成人よりやや高め(37℃前後)です。
- 3:腎臓の働きはまだ未熟で、脱水になりやすいです。
- 4:生後6か月ごろまでは母親からもらった抗体が残っていて、ウイルス感染は少なめです。
- 5:口の中が狭く、舌が相対的に大きいため、気道がふさがりやすいです。
あわせて出るポイント:成長とともに呼吸数と脈拍数は減り、血圧は上がります。血圧は6歳前後で成人に近づきます。新生児の脈拍は110〜160/分が目安です。乳幼児が激しく泣いているのは全身状態が保たれているサイン、ぐったり・視線が合わない・まだらな皮膚は危険なサインです。
【11版 p.644〜646】
【第2位】熱性痙攣と小児の感染症(類題 約7問)
問題2 熱性痙攣の複雑型の特徴として正しいのはどれか。1つ選べ。(第46回 午前A 問60)
- 年齢は2歳である。
- 発熱は38℃以上である。
- 痙攣は全身両側性である。
- 痙攣は3分で自然停止する。
- 6時間前にも痙攣があった。
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答え:5. 6時間前にも痙攣があった。
熱性痙攣は、6か月〜5歳ごろの子どもが38℃以上の発熱で起こす痙攣です。多くは単純型で予後は良好ですが、次のどれか1つでもあれば複雑型です。
- 左右差がある(体の一部だけの発作)
- 15分以上続く
- 24時間以内に2回以上くり返す
選択肢1〜4はすべて単純型の特徴です。複雑型では髄膜炎や脳炎などが隠れていないか注意します。
あわせて出るポイント(小児の感染症):
- 突発性発疹:生後6か月〜1歳ごろ。高熱が3日ほど続き、熱が下がってから発疹。熱性痙攣を起こしやすい
- 細菌性髄膜炎(肺炎球菌・Hib):進行が急激。ワクチンで予防できる
- 水痘:いろいろな段階の水疱が全身に混在する
【11版 p.647〜651】
【第3位】乳幼児の意識レベル評価(類題 約4問)
問題3 刺激しなくても覚醒している乳幼児の意識レベルについてJCS3はどれか。1つ選べ。(第48回 午前A 問94)
- 母親と視線が合わない。
- あやすと声を出して笑う。
- あやしても笑わないが、視線は合う。
- あやすと笑う。ただし不十分で、声を出して笑わない。
- 呼びかけると開眼し、飲み物をみせると飲もうとする。
▼答えと解説を見る
答え:1. 母親と視線が合わない。
乳幼児は言葉で答えられないので、笑うか・視線が合うかでJCSを評価します。
| JCS | 乳幼児の様子 |
|---|---|
| 0 | あやすと声を出して笑う(正常) |
| 1 | あやすと笑う。ただし不十分で声を出して笑わない |
| 2 | あやしても笑わないが、視線は合う |
| 3 | 母親と視線が合わない |
「呼びかけると開眼し、飲み物をみせると飲もうとする」は刺激で目を開けるのでJCS10(2桁)です。
あわせて出るポイント:乳児のGCSは言語(V)の基準が成人と違い、「機嫌よく喃語」がV5、「痛み刺激で啼泣」がV3です。開眼(E)は成人と同じ基準です。
【11版 p.647】
【第4位】小児の呼吸困難・アナフィラキシー(類題 約4問)
問題4 6歳の男児。気管支喘息に対して内服加療中である。本日昼食後に呼吸が苦しくなり、母親が救急要請した。救急隊到着時観察所見:意識JCS1。呼吸数28/分。脈拍124/分、整。血圧90/72mmHg。SpO2値95%(室内気)。眼瞼腫脹、皮膚紅潮および大腿部と前胸部とに膨疹を認める。吸気時の喘鳴音を聴取する。この傷病者で緊急性が高いと判断する所見はどれか。1つ選べ。(第48回 午後D 問28)
- 血圧90/72mmHg
- SpO2値95%
- 眼瞼腫脹
- 膨疹
- 吸気時喘鳴音
▼答えと解説を見る
答え:5. 吸気時喘鳴音
食後の膨疹・皮膚紅潮・まぶたの腫れからアナフィラキシーが考えられます。皮膚の症状だけなら命の危険は少ないですが、吸気時の喘鳴はのど(喉頭)がむくんで上気道がふさがりかけているサインで、最も危険です。
6歳の正常値と比べると、血圧・SpO2はまだ保たれています。
あわせて出るポイント:
- 吸気時の喘鳴(ストライダー)=上気道の狭窄(喉頭浮腫・クループ・急性喉頭蓋炎・異物)
- 呼気時の喘鳴(ウィーズ)・呼気延長=下気道の狭窄(気管支喘息)
- 小児の喘息で会話が困難・歩けないのは大発作
- アナフィラキシーには自己注射用アドレナリン(エピペン)の筋注が最も重要
【11版 p.618、p.649〜650】
【第5位】小児の外傷の特徴(類題 約4問)
問題5 肘内障の特徴はどれか。1つ選べ。(第46回 午前A 問109)
- 12歳以上に多い。
- 皮下出血を認める。
- 観血的整復を要する。
- 橈骨頭の亜脱臼である。
- 肘関節の変形腫脹を認める。
▼答えと解説を見る
答え:4. 橈骨頭の亜脱臼である。
肘内障は、2〜6歳ごろの子どもの手を急に引っぱったときに、肘の橈骨頭が輪状靱帯から少しはずれる(亜脱臼)状態です。腕をだらんと下げて動かさなくなりますが、腫れや変形・皮下出血はほとんどなく、手で簡単に戻せます(手術は不要)。
あわせて出るポイント:
- 小児は骨がやわらかいので肋骨骨折は少ないが、胸の中の臓器(肺など)が傷ついていることがある
- 転倒・転落が多く、肘のまわりの骨折(上腕骨顆上骨折)が多い
- 小児は出血してもまず頻脈で代償し、血圧が下がるのは遅い(下がったときはかなり危険)
【11版 p.754】
【第6位】児童虐待(類題 約3問)
問題6 2歳の男児。椅子から転落し、ぐったりしていると母親が救急要請した。救急隊到着時観察所見:呼びかけると泣くが、追視せず傾眠傾向である。呼吸数28/分。脈拍124/分、整。血圧90/52mmHg。体温36.6℃。口唇色は不良で、全身に新旧の打撲痕を認める。このような病態を呈する児の保護者について特徴的なのはどれか。1つ選べ。(第49回 午後D 問28)
- 言動は冷静である。
- 状況説明が的確である。
- 予後について関心がある。
- 受診まで時間がかかっている。
- 母子健康手帳を活用している。
▼答えと解説を見る
答え:4. 受診まで時間がかかっている。
「椅子から転落した」という説明に対して、全身に新しい傷と古い傷が混ざっているのは不自然です。身体的虐待を疑います。
虐待を疑う保護者の特徴:
- けがをしてから受診(救急要請)までに時間がかかる
- けがの説明が不自然、話が変わる
- 子どもの状態や治療への関心が薄い
- 健診や予防接種を受けていない
あわせて出るポイント:虐待を疑ったら、救急隊は保護者を問い詰めず、見たまま・聞いたままを記録して医療機関に伝えます。虐待を疑った人には児童相談所などへの通告義務があります。
【11版 p.653】
【第7位】新生児の観察と保温(類題 約3問)
問題7 32歳の女性。妊娠36週。下腹部痛で動けなくなり、自ら救急要請した。救急隊到着時観察所見:意識清明。呼吸数24/分。脈拍92/分、整。血圧122/72mmHg。SpO2値99%。すでに児頭が腟から出かかっており、救急隊到着と同時に児の全身が娩出された。児は元気に啼泣し、全身はピンク色で、四肢を活発に動かしている。臍帯を切断し、児の全身に付いた羊水を拭き取った。次に行うべき対応はどれか。1つ選べ。(第48回 午後D 問31)
- 裸のまま救急アルミホイルで包む。
- 乾いたタオルで覆い、さらに救急アルミホイルで包む。
- 救急アルミホイルで包み、さらに乾いたタオルで覆う。
- お湯で濡らしてしぼったタオルで覆い、さらに救急アルミホイルで包む。
- 救急アルミホイルで包み、さらにお湯で濡らしてしぼったタオルで覆う。
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答え:2. 乾いたタオルで覆い、さらに救急アルミホイルで包む。
新生児は体温を保つ力が弱く、生まれた直後はあっという間に体が冷えます。体の熱は、蒸発(ぬれた皮膚)・伝導(冷たい物)・対流(風)・放射の4つの経路で逃げていきます。
- 乾いたタオルで水分をとり、蒸発と伝導を防ぐ
- その上からアルミホイルで包み、放射と対流を防ぐ
アルミホイルだけでは水分の蒸発を防げず、濡れたタオルはすぐ冷えて逆に熱を奪います。救急車内は温かく(37℃以上)しておきます。
あわせて出るポイント:新生児のSpO2の目標値は生後1分60%・3分70%・5分80%・10分90%(生まれた直後は低くて正常)。新生児の状態はアプガースコア(心拍・呼吸・筋緊張・反射・皮膚色)で1分後と5分後に評価します。
【11版 p.672〜676】
【第8位】腸重積など腹部の病気(類題 約2問)
問題8 8か月の女児。昨日より急に不機嫌になって泣き出すことを繰り返すようになっていた。その後ぐったりとなり、おむつに赤色の便を認めたため母親が救急要請した。救急隊到着時観察所見:呼吸数34/分。脈拍120/分、整。血圧86/40mmHg。体温36.8℃。SpO2値99%。この病態に認められるのはどれか。2つ選べ。(問題集830より)
- 血尿がみられる。
- 嘔吐がみられる。
- ピークは5歳程度である。
- しこりとして触れることがある。
- 単純性腸閉塞である。
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答え:2. 嘔吐がみられる。 4. しこりとして触れることがある。
腸重積は、腸の一部がとなりの腸にもぐり込んでしまう病気です。生後数か月〜3歳ごろ(特に1歳前後)に多く起こります。
3つの特徴を覚えましょう。
- 間欠的な腹痛:急に激しく泣き、しばらくするとおさまる、をくり返す
- 嘔吐
- いちごゼリーのような血便
右上腹部に、重なった腸がソーセージのようなしこりとして触れることもあります。腸の血流が悪くなる複雑性(絞扼性)腸閉塞なので、時間がたつと腸が壊死する危険があります。血尿は特徴ではありません。
【11版 p.650】
【第9位】乳幼児突然死症候群(SIDS)(類題 約1問)
問題9 乳幼児突然死症候群(SIDS)について正しいのはどれか。1つ選べ。(問題集830より)
- 詳細は明確である。
- 危険因子として、うつ伏せ寝、両親の喫煙、ミルク栄養、低出生体重、早産などがあげられる。
- 発生数は増加傾向である。
- 生後12か月以降に多い。
- 原則として1歳以上の児に突然の死をもたらした症候群と定義される。
▼答えと解説を見る
答え:2. 危険因子として、うつ伏せ寝、両親の喫煙、ミルク栄養、低出生体重、早産などがあげられる。
SIDSは、それまで元気だった1歳未満の赤ちゃんが、眠っている間に原因がわからないまま突然亡くなる病気です。
- 原因は不明
- 生後2〜6か月に多い
- 発生数は減少傾向(あお向け寝の普及など)
- 危険因子:うつ伏せ寝・両親の喫煙・人工乳(ミルク)・早産・低出生体重
【11版 p.653】
【第10位】心臓振盪(類題 約1問)
問題10 12歳の男児。野球中にボールが胸に当たり、意識消失した。一緒にいた父親が救急要請した。救急隊到着時観察所見:意識JCS300。喘ぎ呼吸。脈拍を触知せず、心肺蘇生を開始した。この病態に対して、最も有効な処置はどれか。1つ選べ。(第45回 午後D 問9)
- 酸素投与
- 気管挿管
- 静脈路確保
- 電気ショック
- ラリンゲアルマスク挿入
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答え:4. 電気ショック
心臓振盪は、胸にボールなどが当たった衝撃で心室細動が起こる状態です。子どもは胸壁がやわらかいため、スポーツ中に起こりやすくなります。
原因が心室細動なので、すぐにCPRとAEDによる電気ショックを行うことが最も有効です。また、喘ぎ呼吸(死戦期呼吸)は「呼吸なし」と判断します。
【11版 p.731】
小児・新生児の要点まとめ
| テーマ | これだけは覚える |
|---|---|
| 成長・バイタル | 乳児は腹式呼吸。年齢とともに呼吸数・脈拍数は減り、血圧は上がる。舌が大きく気道がふさがりやすい |
| 熱性痙攣 | 複雑型=左右差あり・15分以上・24時間以内に2回以上 |
| 感染症 | 突発性発疹は熱が下がってから発疹。細菌性髄膜炎は進行が速い |
| 乳幼児JCS | 1=笑うが不十分、2=笑わないが視線は合う、3=母親と視線が合わない |
| 呼吸困難 | 吸気性喘鳴は上気道閉塞の危険サイン。喘息は呼気延長・ウィーズ |
| 外傷 | 肘内障=2〜6歳・橈骨頭の亜脱臼。出血しても血圧は最後に下がる |
| 虐待 | 新旧の傷・不自然な説明・受診の遅れ。見たまま記録して伝える |
| 新生児 | 乾いたタオル→アルミホイルで保温。アプガースコアは1分後と5分後 |
| 腸重積 | 間欠的な腹痛・嘔吐・いちごゼリー状の血便。1歳前後に多い |
| SIDS・心臓振盪 | SIDSは生後2〜6か月・うつ伏せ寝。心臓振盪はVF→すぐ電気ショック |
動画でも小児・新生児を復習しよう
救急救命士学習塾のYouTubeでは、小児に多い痙攣や小児の病気を動画でも解説しています。記事で解いたあとに見ると、知識がしっかり定着します。
【痙攣でパニック】5分ルールを知らない救命士は危険!重積発作の判断力を鍛える10問(前半)
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いかがでしたか?10問中8問以上できた人は、小児・新生児はかなり仕上がっています。間違えた問題は「ラッキー」と思って、テキストの該当ページを読み直しましょう。
問題8・9は、塾で使っている「問題集830」からの出題です。テキストの順番どおりに国試に出るポイントを確認できるようになっています。
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