こんにちは。救急救命士学習塾の空飯です。
この記事では、救急救命士国家試験の「心電図・ショック」分野の問題を10問まとめました。
並び順は適当ではありません。第45回〜第49回(過去5年分)の国家試験を1問ずつ分析し、類題が多く出ているテーマから順番に並べています。上から解いていけば、出やすいところから効率よく得点力がつきます。
答えは各問題の下の「▼答えと解説を見る」を押すと開きます。まずは自力で解いてみてください。
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心電図・ショックは毎年どれくらい出る?
心電図とショックは、毎年かならず出題される分野です。第45〜49回を数えると、心電図・ショックに関わる問題は毎年およそ12〜15問出ています。
特にD問題(状況設定・1問2.5点)では、心電図モニター波形を見て判断する事例が毎年何問も出ます。波形そのものは別冊の図で出題されますが、「どの病態でどんな波形・どんなショックになるか」を知っていれば解ける問題がほとんどです。
| 順位 | テーマ | 過去5年の類題数 |
|---|---|---|
| 1 | ショックの4分類と原因 | 約12問 |
| 2 | 不整脈の種類と特徴 | 約10問 |
| 3 | 急性冠症候群と心電図 | 約7問 |
| 4 | 血液分布異常性ショック(敗血症・アナフィラキシー) | 約6問 |
| 5 | 心電図モニターの基本 | 約5問 |
| 6 | 心タンポナーデ | 約5問 |
| 7 | ショックの代償反応 | 約4問 |
| 8 | 心室細動に移行しやすい不整脈 | 約4問 |
| 9 | 電解質異常と心電図(高カリウム血症) | 約3問 |
| 10 | 心房細動と脳塞栓 | 約3問 |
※類題数は当塾が第45〜49回の問題を分類して数えたものです(心電図波形を使う事例問題も含みます)。心肺停止の波形(心室細動・PEAなど)は心肺蘇生・心停止の問題10選で扱っています。
【第1位】ショックの4分類と原因(類題 約12問)
問題1 心外閉塞・拘束性ショックの原因となる病態はどれか。1つ選べ。(第49回 午後B 問20)
- 血胸
- 脱水
- 敗血症
- 腹腔内出血
- 緊張性気胸
▼答えと解説を見る
答え:5. 緊張性気胸
ショックは4つに分けて覚えるのが鉄則です。「毎回必ず出る」と言っていいほど頻出です。
| 分類 | 代表的な原因 |
|---|---|
| 循環血液量減少性 | 大量出血(血胸・腹腔内出血)、高度の脱水、広範囲熱傷 |
| 心原性 | 急性心筋梗塞、心筋症、弁膜症、高度の不整脈 |
| 心外閉塞・拘束性 | 緊張性気胸、心タンポナーデ、肺血栓塞栓症 |
| 血液分布異常性 | アナフィラキシー、敗血症、神経原性(脊髄損傷) |
1・2・4は循環血液量減少性、3は血液分布異常性です。「心臓そのものは元気なのに、外から押さえつけられたり、血液の通り道がふさがれたりする」のが心外閉塞・拘束性と覚えましょう。
【11版 p.464】
【第2位】不整脈の種類と特徴(類題 約10問)
問題2 心拍数160/分の規則的な幅の狭いQRS波形を呈する不整脈はどれか。1つ選べ。(第46回 午前A 問91)
- 心房細動
- 心室細動
- 上室性頻拍
- 単形型心室頻拍
- トルサードドポアンツ型心室頻拍
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答え:3. 上室性頻拍
頻脈の不整脈は、「QRSの幅」と「リズムが規則的か」の2つで見分けます。
- 幅が狭い+規則的:上室性頻拍(突然始まり突然終わる)
- 幅が狭い+不規則:心房細動(P波がなく、R-R間隔がバラバラ)
- 幅が広い+規則的:単形型心室頻拍
- 幅が広い+形がねじれるように変化:トルサードドポアンツ(QT延長が原因になる)
心室細動は波形がバラバラでQRSそのものが認められません。上室性頻拍は「息こらえ」などで迷走神経を刺激すると止まることがある点もあわせて出ます。
【第3位】急性冠症候群と心電図(類題 約7問)
問題3 57歳の男性。安静時に胸が締め付けられる痛みが出現し60分以上持続するため、家族が救急要請した。救急隊到着時観察所見:意識清明。呼吸数20/分。脈拍72/分、整。血圧142/60mmHg。体温36.2℃。SpO2値98%。高脂血症と高血圧とで内服治療中である。以前からも安静時に同様の痛みを自覚していたが、5分程度で消失していたとのことである。この傷病者に現場でみられる特徴的な心電図所見はどれか。1つ選べ。(第46回 午後D 問20)
- P波の消失
- P-Q間隔の延長
- 異常Q波
- STの上昇
- T波の陰性化
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答え:4. STの上昇
60分以上続く胸痛は急性心筋梗塞を疑います。心電図は時間とともに変化するので、順番で覚えましょう。
- 発症から数時間:ST上昇(現場で見られるのはこれ)
- 半日以上:異常Q波
- 数日:冠性T波(T波の陰性化)
1のP波消失は心房細動、2のPQ延長は房室ブロックの所見です。
急性冠症候群では、12誘導心電図を病院に伝送すると、カテーテル治療までの時間を短くできることもよく出題されます。
【第4位】血液分布異常性ショック(類題 約6問)
問題4 敗血症性ショックで初期にみられる病態はどれか。1つ選べ。(第49回 午前A 問48)
- 尿量の増加
- 心拍数の減少
- 全身血管の拡張
- 血管透過性の低下
- 循環血液量の増加
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答え:3. 全身血管の拡張
敗血症性ショックは血液分布異常性ショックです。全身の血管が開いてしまい、血圧が下がります。
- 初期は皮膚が温かい「ウォームショック」になる
- 代償で心拍数は増える(2は×)
- 血管透過性は亢進し、血管の外に水が漏れて循環血液量は減る(4・5は×)
- 尿量は減る(1は×)
同じ血液分布異常性のアナフィラキシーでは皮膚の紅潮、神経原性ショックでは徐脈が特徴です。血液分布異常性ショックと循環血液量減少性ショックには急速輸液が有効、心原性ショックでは輸液で悪化することがある点も出ます。
【11版 p.468〜469】
【第5位】心電図モニターの基本(類題 約5問)
問題5 心電図モニターに用いられる近似肢誘導のうち、最も不整脈をみつけやすいのはどれか。1つ選べ。(第47回 午前A 問35)
- Ⅰ
- Ⅱ
- Ⅲ
- aVL
- aVR
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答え:2. Ⅱ
Ⅱ誘導は心臓の電気の流れ(刺激伝導系)とほぼ同じ方向を見ているので、P波やR波が大きくはっきり出ます。だからP波の有無やR-R間隔の乱れがわかりやすく、不整脈を見つけやすいのです。
あわせて出るポイント:
- Ⅱ誘導は右手と左足の間で測る(第49回で出題)
- 心電図モニターでは心臓のポンプ機能(脈が出ているか)はわからない
- 呼吸や体動は低周波ノイズ(基線の揺れ)、ふるえや電気器具は高周波ノイズの原因
- 虚血の部位を詳しく見るには12誘導心電図が必要
【第6位】心タンポナーデ(類題 約5問)
問題6 心タンポナーデについて誤っているのはどれか。1つ選べ。(第47回 午前A 問46)
- 心拍出量が低下している。
- 静脈還流量が低下している。
- 心臓の収縮が制限されている。
- 急性心筋梗塞の合併症の一つである。
- 急性大動脈解離の合併症の一つである。
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答え:3. 心臓の収縮が制限されている。
心タンポナーデは、心臓を包む袋(心膜)の中に血液などがたまり、心臓がふくらめなくなる(拡張障害)状態です。制限されるのは「収縮」ではなく「拡張」です。
- 心臓に血液が戻れない → 静脈還流量が低下 → 頸静脈怒張
- 心臓に血液がたまらない → 心拍出量が低下 → 血圧低下
- 心音が小さくなる(心音の減弱)
「頸静脈怒張+血圧低下+心音減弱」の3つはベックの三徴として覚えておきましょう。急性心筋梗塞(心破裂)や急性大動脈解離、胸部の刺創が原因になります。
【第7位】ショックの代償反応(類題 約4問)
問題7 健常成人において大量出血の早期に増加するのはどれか。1つ選べ。(第47回 午後B 問19)
- 尿量
- 心拍数
- 心拍出量
- 収縮期血圧
- 静脈還流量
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答え:2. 心拍数
出血すると心臓に戻る血液(静脈還流量)が減り、1回に送り出せる血液も減ります。体はそれを補うために心拍数を増やして、全体の拍出量を保とうとします。
- 早期に増える:心拍数、末梢血管抵抗(手足の血管が縮む)、拡張期血圧
- 早期に減る:静脈還流量、1回拍出量
- 遅れて下がる:収縮期血圧、尿量
代償反応にはほかに、交感神経の緊張(冷汗・蒼白)、抗利尿ホルモン(ADH)の増加、頻呼吸などがあります。
【第8位】心室細動に移行しやすい不整脈(類題 約4問)
問題8 心室細動に移行しやすい不整脈はどれか。1つ選べ。(問題集830より)
- 心房細動
- 洞不全症候群
- 上室期外収縮
- 1度房室ブロック
- 多源性心室期外収縮
▼答えと解説を見る
答え:5. 多源性心室期外収縮
心室期外収縮のうち、形がいろいろ(多源性)・連発する・前のT波に重なる(R on T)ものは、心室細動に移行しやすい危険なタイプです。
こうした危険な期外収縮や、高度の徐脈・頻脈を見たら、除細動パッドを貼って心室細動・無脈性心室頻拍に備えるのが救急隊の対応です。
1〜4は、それ自体がすぐ心室細動に移行するものではありません(心房細動は脳塞栓の原因として重要。第10位参照)。
【11版 p.526】
【第9位】電解質異常と心電図(類題 約3問)
問題9 高カリウム値の異常が心電図上に反映されるものはどれか。1つ選べ。(問題集830より)
- P波
- Q波
- R波
- S波
- T波
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答え:5. T波
血清カリウム値がおおむね5.5mEq/L以上になると、T波が高くとがる(テント状T波)ようになります。さらに上がると致死性不整脈や心停止につながります。
国試では、心電図波形と一緒に次のような事例で出ます。
- 人工透析をしている(透析前・透析をさぼった)
- 慢性腎不全で、だるさや筋力低下がある
- 長時間挟まれていた人の救出直後(クラッシュ症候群)
【11版 p.578】
【第10位】心房細動と脳塞栓(類題 約3問)
問題10 突然の片麻痺で救急要請された傷病者において、その原因を考える上で最も参考となる心電図モニター所見はどれか。1つ選べ。(第49回 午後B 問12)
- 心房細動
- 洞性徐脈
- 洞性頻脈
- 房室ブロック
- 心室期外収縮
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答え:1. 心房細動
心房細動では心房がブルブル震えるだけでしっかり収縮しないため、心房(特に左心耳)の中に血栓ができやすくなります。その血栓が飛んで脳の血管に詰まるのが心原性脳塞栓です。
- 2・4:徐脈や房室ブロックは、脳血流が減って失神(アダムス・ストークス発作)の原因になりますが、片麻痺は起こしません。
- 5:多源性・連発なら心室細動に移行しうる(第8位)けれど、片麻痺とは関係しません。
心房細動の血栓は脳だけでなく、腸の血管(上腸間膜動脈)に詰まって激しい腹痛を起こすこともあります。
【11版 p.546〜548】
心電図・ショックの要点まとめ
| テーマ | これだけは覚える |
|---|---|
| ショックの分類 | 循環血液量減少性/心原性/心外閉塞・拘束性/血液分布異常性の4つ |
| 心外閉塞・拘束性 | 緊張性気胸・心タンポナーデ・肺血栓塞栓症 |
| 血液分布異常性 | 敗血症(初期は温かい)・アナフィラキシー(紅潮)・神経原性(徐脈) |
| 頻脈の見分け | QRS幅(狭い/広い)とリズム(規則的/不規則) |
| 急性心筋梗塞 | ST上昇 → 異常Q波 → 冠性T波の順に変化 |
| モニター | 不整脈はⅡ誘導。ポンプ機能はわからない |
| 心タンポナーデ | 拡張障害。頸静脈怒張・血圧低下・心音減弱 |
| 危険な不整脈 | 多源性・連発・R on T の心室期外収縮はVFに移行しやすい |
| 電解質 | 高カリウム血症=テント状T波(透析・腎不全・クラッシュ) |
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いかがでしたか?10問中8問以上できた人は、心電図・ショックはかなり仕上がっています。間違えた問題は「ラッキー」と思って、テキストの該当ページを読み直しましょう。
問題8・9は、塾で使っている「問題集830」からの出題です。テキストの順番どおりに国試に出るポイントを確認できるようになっています。
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