こんにちは。救急救命士学習塾の空飯です。
この記事では、救急救命士国家試験の「観察・バイタルサイン」分野の問題を10問まとめました。
並び順は適当ではありません。第45回〜第49回(過去5年分)の国家試験を1問ずつ分析し、類題が多く出ているテーマから順番に並べています。上から解いていけば、出やすいところから効率よく得点力がつきます。
答えは各問題の下の「▼答えと解説を見る」を押すと開きます。まずは自力で解いてみてください。
▶ 他の分野の問題は救急救命士 国家試験の問題(分野別まとめ)から解けます。
観察・バイタルサインは毎年どれくらい出る?
観察は、どんな傷病者でも最初に行う救急活動の土台です。そのぶん国試でも出題が多く、第45〜49回の一般問題(A・B問題)だけで5年間に約70問、毎年およそ14問出ています。
特に多いのは呼吸様式・カプノメータ・血圧測定・聴診器の4つで、どれも5年で約8問ずつ出ています。資器材の「原理」と「使い方のコツ」を押さえれば確実に取れる分野です。
| 順位 | テーマ | 過去5年の類題数 |
|---|---|---|
| 1 | 呼吸様式の観察 | 約8問 |
| 2 | カプノメータ(PETCO2) | 約8問 |
| 3 | 血圧測定・脈の触知 | 約8問 |
| 4 | 聴診器・打診 | 約8問 |
| 5 | 緊急度・重症度判断 | 約7問 |
| 6 | 意識レベル(JCS・GCS) | 約5問 |
| 7 | パルスオキシメータ | 約5問 |
| 8 | 瞳孔・眼の観察 | 約4問 |
| 9 | 頸静脈・皮下気腫 | 約2問 |
| 10 | 体温計 | 約2問 |
※類題数は当塾が第45〜49回のA・B問題を分類して数えたものです(同数の場合は現場での重要度順)。心電図モニターは心電図・ショックの問題10選、血糖測定は救急救命処置・特定行為の問題10選で扱っています。
【第1位】呼吸様式の観察(類題 約8問)
問題1 頸髄損傷が疑われる呼吸様式はどれか。1つ選べ。(第47回 午前A 問53)
- 努力呼吸
- 腹式呼吸
- 口すぼめ呼吸
- クスマウル呼吸
- チェーン・ストークス呼吸
▼答えと解説を見る
答え:2. 腹式呼吸
息を吸う主役は横隔膜で、横隔膜を動かす横隔神経はC3〜C5から出ています。一方、肋間筋は胸髄から出る神経で動きます。
そのため下位の頸髄損傷では、横隔膜は動くのに肋間筋が麻痺し、お腹だけが膨らむ腹式呼吸になります。「C3・4・5で横隔膜が生きる」と覚えましょう。
異常呼吸はセットで出題されます。
- クスマウル呼吸:深く規則的な呼吸 → 糖尿病ケトアシドーシス・尿毒症(代謝性アシドーシス)
- チェーン・ストークス呼吸:小さい→大きい→小さい→無呼吸の繰り返し → 重症心不全・脳障害
- 失調性(ビオー)呼吸:リズムも深さもバラバラ → 延髄など呼吸中枢の高度障害
- 陥没呼吸:吸気で鎖骨上窩や肋間がへこむ → 上気道閉塞
- 奇異呼吸:胸壁の一部が逆に動く → フレイルチェスト
- 口すぼめ呼吸:口をすぼめてゆっくり吐く → COPD
【11版 p.303〜305】
【第2位】カプノメータ(PETCO2)(類題 約8問)
問題2 カプノグラムで二酸化炭素分圧が最も高値を示すのはいつか。1つ選べ。(第45回 午後B 問16)
- 呼気の始め
- 呼気のなかば
- 呼気の終わり
- 吸気のなかば
- 吸気の終わり
▼答えと解説を見る
答え:3. 呼気の終わり
カプノグラムは、吐く息の二酸化炭素の量を波形にしたものです。1回の呼吸は4つの相に分かれます。
- Ⅰ相(吸気基線相):吸っているときはCO2はほぼ0
- Ⅱ相(呼気上昇相):吐き始めると急に上がる
- Ⅲ相(呼気平坦相):平らに続き、最後がいちばん高い=PETCO2(呼気終末CO2)
- Ⅳ相(吸気下降相):吸い始めると急に0に戻る
あわせて出るポイント:心肺蘇生中のPETCO2は胸骨圧迫の質(心拍出量)を反映し、急に上がれば心拍再開のサインです。気管内チューブの位置確認にも使います。
【11版 p.337】
【第3位】血圧測定・脈の触知(類題 約8問)
問題3 血圧測定について正しいのはどれか。1つ選べ。(第45回 午後B 問8)
- 触診法では拡張期血圧が測定できる。
- 聴診法では橈骨動脈に聴診器を当てる。
- コロトコフ音消失時は収縮期血圧である。
- 触診法による収縮期血圧は聴診法よりも低く測定される。
- 血液透析用シャントがある場合はシャント部に聴診器を当てる。
▼答えと解説を見る
答え:4. 触診法による収縮期血圧は聴診法よりも低く測定される。
触診法は、脈が指に触れ始めたところを読むため、聴診法より少し低く出やすくなります。
| 聴診法 | 触診法 | |
|---|---|---|
| 当てる場所 | 肘の内側の上腕動脈に聴診器 | 橈骨動脈を指で触れる |
| わかる値 | 収縮期=コロトコフ音が聞こえ始め 拡張期=コロトコフ音が消えたとき |
収縮期だけ |
| 使う場面 | 通常の測定 | 騒音が大きい(緊急走行中の車内など)、状態が不安定なとき |
5:シャントのある腕では測りません(シャントがつまる危険)。反対の腕で測ります。
あわせて出るポイント:成人では脈が触れる場所で大まかな血圧がわかり、総頸動脈は最も低い血圧(約60mmHg)まで触れるとされます。上肢の血圧に左右差があれば急性大動脈解離を疑います。
【11版 p.338〜340】
【第4位】聴診器・打診(類題 約8問)
問題4 聴診について正しいのはどれか。1つ選べ。(第45回 午前A 問35)
- 下気道狭窄音は前頸部で聴診する。
- 呼吸音の左右差は両肺尖部で聴き比べる。
- 心音の聴取にはダイヤフラム面が適している。
- イヤーピースはやや前方を向くようにした方が耳孔に密着しやすい。
- ダブルヘッド型チェストピースのベル面は高調音を聴取するのに適している。
▼答えと解説を見る
答え:4. イヤーピースはやや前方を向くようにした方が耳孔に密着しやすい。
耳の穴(外耳道)は少し前向きに開いているので、イヤーピースもやや前に向けると耳にぴったり合います。
- 1:前頸部で聴くのは上気道の狭窄音。下気道(喘息など)は胸で聴きます。
- 2:呼吸音の左右差は両腋窩で聴き比べます。
- 3・5:ベル面=低い音(心音)、ダイヤフラム面=高い音(呼吸音)です。
あわせて出るポイント(打診):気胸は鼓音(空気が多く響く)、血胸・胸水は濁音(液体で響かない)。
【11版 p.338】
【第5位】緊急度・重症度判断(類題 約7問)
問題5 病院前の緊急度判断について正しいのはどれか。1つ選べ。(第45回 午前A 問29)
- 出血性素因は考慮しない。
- オーバートリアージ回避に重点を置く。
- 機能予後に与える程度は加味されない。
- 解剖学的評価には数値化された指標を用いる。
- 高齢者の外傷はアンダートリアージされやすい。
▼答えと解説を見る
答え:5. 高齢者の外傷はアンダートリアージされやすい。
高齢者は痛みや頻脈などの反応が出にくく、見た目より重症なことがあります。そのため実際より軽く判断される(アンダートリアージ)ことが多いです。
- 1:抗凝固薬の内服や血友病などの出血性素因は、緊急度を上げる要素として考慮します。
- 2:現場ではアンダートリアージを避けることを重視します(軽く見て命を落とすほうが問題)。
- 3:緊急度は「時間がたつと死亡や機能障害にどれだけ影響するか」で、機能予後も含みます。
- 4:「肋骨が3本折れたら」のような数値の指標はありません。
あわせて出るポイント:緊急度判定プロトコルVer.3の観察順は①重症感 → ②現着時主訴の選定 → ③バイタルサイン → ④非生理学的指標。緊急度・重症度判断の目的は適切な病院選定です。
【11版 p.330〜331】
【第6位】意識レベル(JCS・GCS)(類題 約5問)
問題6 グラスゴーコーマスケール(GCS)の運動による応答(M)の評価で、圧迫(痛み)刺激に対し右手足は全く動かず、左上肢は刺激部位に手をもってきた。この評価は何点か。1つ選べ。(第49回 午前A 問32)
- M5
- M4
- M3
- M2
- M1
▼答えと解説を見る
答え:1. M5
GCSの運動反応は、左右で差があるときはいちばん良い反応で評価します。右手足は動かない(M1)ですが、左上肢が刺激部位に手をもってきた=痛みの場所がわかる(M5)ので、M5です。
| 点数 | 運動反応(M) |
|---|---|
| M6 | 命令に従う |
| M5 | 痛みの場所に手をもってくる・払いのける |
| M4 | 痛みから逃げる(屈曲して引っ込める) |
| M3 | 異常屈曲(除皮質肢位) |
| M2 | 伸展(除脳肢位) |
| M1 | まったく動かない |
あわせて出るポイント:JCSの100・200・300の違い(払いのける/手足を少し動かす・顔をしかめる/まったく反応しない)は、GCSではM(運動)の違いにあたります。
【11版 p.308】
【第7位】パルスオキシメータ(類題 約5問)
問題7 パルスオキシメータで酸素飽和度を正確に測定できるのはどれか。1つ選べ。(第47回 午後B 問8)
- 心停止
- 高度低体温
- 一酸化炭素中毒
- 出血性ショック
- COPD〈慢性閉塞性肺疾患〉
▼答えと解説を見る
答え:5. COPD〈慢性閉塞性肺疾患〉
パルスオキシメータは、指先の動脈の拍動と光の吸収で、動脈血の酸素飽和度を測ります。正しく測れない場面は2つに分けて覚えましょう。
- 指先の血流が悪い:心停止、ショック、高度低体温、末梢の冷え → 測れない・誤差が大きい
- ふつうでないヘモグロビン:一酸化炭素中毒(実際より高く出る)、メトヘモグロビン血症(実際より低く出る)
COPDは酸素飽和度が低いことはあっても、測定自体は正確にできます。
あわせて出るポイント:パルスオキシメータは拍動を拾うので脈拍数も表示します。ただし脈が不整なときに正しい脈拍数を知るには、心電図モニターで心拍数を確認します。
【第8位】瞳孔・眼の観察(類題 約4問)
問題8 眼瞼結膜の点状出血を特徴とするのはどれか。1つ選べ。(問題集830より)
- 結膜炎
- 白内障
- 急性緑内障
- 外傷性窒息
- 前頭蓋底骨折
▼答えと解説を見る
答え:4. 外傷性窒息
胸が強く圧迫されると、上半身の静脈の血が心臓に戻れなくなり、顔や首、眼瞼結膜に点状出血が出ます。これが外傷性窒息の特徴です。
眼の所見と病態の組み合わせは毎年のように出ます。
- パンダの眼徴候(両目のまわりの皮下出血) → 前頭蓋底骨折
- 結膜の黄染 → 黄疸(肝・胆道の病気、溶血)
- 縮瞳 → 有機リン中毒・サリン、モルヒネ・ヘロインなど麻薬、橋出血
- 散瞳 → 覚醒剤(メタンフェタミン)、脳ヘルニア
あわせて出るポイント:右眼に光を当てても両眼とも縮瞳しないが、左眼に光を当てると右眼も縮瞳する → 右の視神経の障害です(光を受け取る側が壊れている)。
【11版 p.311】
【第9位】頸静脈・皮下気腫(類題 約2問)
問題9 外頸静脈怒張を呈するのはどれか。1つ選べ。(問題集830より)
- ショック
- 頸髄損傷
- 骨盤骨折
- 心タンポナーデ
- アナフィラキシー
▼答えと解説を見る
答え:4. 心タンポナーデ
心臓のまわりに血がたまって心臓が広がれないと、静脈の血が心臓に戻れず、首の静脈がふくらみます(外頸静脈の怒張)。
- 怒張あり:心タンポナーデ、緊張性気胸、右心不全など(心臓に戻れない)
- 仰臥位でも見えない(虚脱):出血や脱水、アナフィラキシーなど(血管の中の血が足りない)
頸静脈は姿勢や呼吸でも変わり、仰臥位で、胸腔内圧が上がる呼気時に最もふくらみます。
あわせて出るポイント:皮下気腫は皮膚を押すと握雪感(雪を握るようなギュッという感触)があり、肋骨骨折で肺が傷ついたときや緊張性気胸でみられます。
【11版 p.311〜312】
【第10位】体温計(類題 約2問)
問題10 鼓膜体温計での測定に影響を与えないのはどれか。1つ選べ。(第46回 午前A 問38)
- 中耳炎
- 環境温度
- 挿入する向き
- 外耳道の汚れ
- 保管場所の湿度
▼答えと解説を見る
答え:5. 保管場所の湿度
鼓膜体温計は、鼓膜から出る赤外線をとらえて温度を測ります。赤外線がきちんと届くかどうかに関わるものが影響します。
- 1:中耳炎・外耳炎では悪化させるおそれがあり使いません。
- 2:寒い・暑い場所では正しく測れないことがあります。
- 3:まっすぐ奥まで入れないと耳の壁の温度を測ってしまいます(耳を斜め後ろに軽く引くと外耳道がまっすぐになる)。
- 4:耳あかがつまっていると正しく測れません。
あわせて出るポイント:腋窩温は汗の影響を受けやすく、体の中心の温度より低めに出ます。実測式は予測式より時間がかかりますが正確です。
【11版 p.343】
観察・バイタルサインの要点まとめ
| テーマ | これだけは覚える |
|---|---|
| 呼吸様式 | 頸髄損傷=腹式呼吸/クスマウル=代謝性アシドーシス/失調性=延髄障害/陥没=上気道閉塞 |
| カプノメータ | 最も高いのは呼気の終わり(PETCO2)。CPR中は胸骨圧迫の質を反映 |
| 血圧測定 | 触診法は収縮期だけ・やや低め。コロトコフ音の消失=拡張期。シャント側では測らない |
| 聴診・打診 | ベル面=低い音(心音)、ダイヤフラム面=高い音(呼吸音)。左右差は両腋窩。気胸=鼓音、血胸=濁音 |
| 緊急度判断 | アンダートリアージを避ける。高齢者外傷は過小評価されやすい。目的は病院選定 |
| GCS | 左右差があれば良いほうで評価。刺激部位に手=M5 |
| SpO2 | 低灌流・異常ヘモグロビンでは不正確。CO中毒は高く、メトヘモグロビン血症は低く出る |
| 眼の所見 | 点状出血=外傷性窒息/パンダの眼=前頭蓋底骨折/縮瞳=有機リン・麻薬 |
| 頸静脈 | 怒張=心タンポナーデ・緊張性気胸・右心不全。仰臥位・呼気時に最もふくらむ |
| 体温計 | 鼓膜体温計は赤外線。中耳炎・環境温度・向き・耳あかが影響 |
動画でも観察・バイタルサインを復習しよう
救急救命士学習塾のYouTubeでは、観察の問題を動画でも解説しています。記事で解いたあとに見ると、知識がしっかり定着します。
一問も落とさない観察総論|救急救命士 国家試験×現場力が同時に伸びる
あわせて見たい関連動画
▶ 救急救命士学習塾のYouTubeチャンネルもぜひ登録してください。
もっと効率よく合格レベルになりたい人へ
いかがでしたか?10問中8問以上できた人は、観察・バイタルサインはかなり仕上がっています。間違えた問題は「ラッキー」と思って、テキストの該当ページを読み直しましょう。
問題8・9は、塾で使っている「問題集830」からの出題です。テキストの順番どおりに国試に出るポイントを確認できるようになっています。
救急救命士学習塾の公式LINEでは、救急救命士国家試験に合格するための効率の良い勉強方法を動画でプレゼントしています。「何から手をつければいいかわからない」「勉強しているのに点数が伸びない」という人は、ぜひ受け取ってください。
他の分野の問題も解いてみよう
- 救急救命士 国家試験の問題(分野別まとめ)
- 心肺蘇生・心停止の問題10選
- 外傷の問題10選
- 心電図・ショックの問題10選
- 呼吸器の問題10選
- 脳・神経の問題10選
- 救急救命処置・特定行為の問題10選
- 救急救命士の問題集は何から始める?「問題集830」の中身と使い方
- 救急救命士国家試験対策まとめ|勉強法・過去問・テキスト11版

























