こんにちは、救命士学習塾講師のHARUです。
僕も塾長と同じで救急救命士東京研修所(エルスタ)の卒業生です。
救急救命士の運用が始まってから10年以上のキャリアを持ちます。
前回救命士の事故(薬剤投与ミス)をピックアップさせてもらいました。
今回はその事故を踏まえて、もう一度エピペンの復習をしていきたいと思います。

って思いがちなのかもしれません・・・。
そう思っている「あなた」が、今度は事故を起こしてしまうかもしれません。
まずは、この資料を見てください!!
この表は、令和元年度中救急搬送件数(上の表)と、エピペンの使用回数(下の表の赤枠)を示したものです。
出動件数は663万 9767件です。
そのうちエピペンを使用した件数は、284件です。
割合にしたら0.000004・・・%になってしまいます。
「エピペンの知識」があったとしても、「実践をすることが少なすぎる」ということが読み取れます。

救急隊が行う処置というのは、知識、それを踏まえての実技があるからこそ成り立ちます。知識があるけど、実技が伴わないって人を良く見ませんか??
それなので、エピペンは現場で実施する機会がなく、いきなり処置を行なわなくてはいけない実情があることを抑えておかないといけません!!

なぜなら、救急隊員のときから将来の救命士を見据えて訓練を積み重ねていくことで、経験を蓄えることができるからです。
訓練はエピペンだけではありません。しかも、エピペンは、さっきも表を見てもらったとおり「現場件数が少ないから後回しにされる訓練」になってしまします💦

そこで、ますはエピペンの知識が必要です。
それなので、この記事はこんな人におススメです!!
・どうしてエピペンは筋肉注射を行うのか知りたい人。
・どういった人がエピペンを持っているのか知りたい人。
・どういった人がエピペンを使用できるのか知りたい人。
・まずは、プロトコールを確認。自己注射が原則です。
・使用するにあたって、医師の助言を求めることができます。
・エピペンは筋肉注射(大腿部)をおこないます。
・エピペンは、既往にアナフィラキシーがある人に処方されています。
・病院外でエピペンが使用できるのは、本人、家族、保育士、教員、救命士です。


それは、エピペンを処方されている人がそもそも少ないからなんだよ。
さらには、例えば、アナフィラキシーの症状がでたとしても、自己注射して、症状が回復するから、救急車を呼ぶまでは至らないケースもあると思うんだ。
(※原則、エピペンを注射したら、病院受診をしないといけません)
それなので、エピペンを使用する救急現場っていうことが限りなく少ないんだよね。
先ほどの、エピペンの使用実績の数字をみて、現場で使用経験が積めないことがわかると思います。それなので、「ホントに自信をもって行えるのか。」という不安感が先に立ってしまいます。
それなので、今一度復習して、自信をもって処置を行なっていきたいと思います。
実のところ、救命士になって10年経過する僕も、エピペンだけは経験がありません。
ふとした時に、不安になります。
しかし、そんな時は訓練でアウトプットするようにしているので、もし、明日エピペン使用の事案が来ても対処できます✨

絶えず復習して頭に入れておくことが大切だね!!
解説を楽しみにしてるね!!

この記事は、【救命士のエピペンのポイント】について5つにまとめました。
解説していくね!!
目次
まずは、プロトコールを確認。自己注射が原則です。

エピペンの自己注射が基本となります。
なぜなら、プロトコールに「本人がエピペンを持つことが困難な場合」と明記されているからです。

一度プロトコールを確認していきたいと思います。
①エピペン使用前に確認すること【自己注射ができるかどうか】
傷病者がエピペンを持っていたら、最優先事項は「自己注射ができるかどうか」です。
下の表をご覧ください。
こちらは、プロトコールの一部抜粋になります。
この【必須事項】は2つとも満たさないと救命士がエピペンを打つことができません。
この、【必須事項】の2番目に、「アナフィラキシーが疑われ、本人がエピペンを打つことが困難な場合」とあります。
この解釈は、
自己注射を行うことが困難(アナフィラキシー症状が増悪しているため)ということであり、救命士がエピペンを打つ条件となります。

②エピペン使用前に確認すること【アナフィラキシー疑いの症状】
次に確認することは、
①アレルゲンの接触があり、過去に同様の症状があったかどうか。
②傷病者の観察を行って、臓器症状が2つ以上現れていた場合になります。
②の臓器症状とは下の表になります。

観察自体はそれほど難しいものではないと思います。
しかし・・・。


しかし、くしゃみと鼻水という呼吸器症状がセットだった場合どうでしょうか??
僕だったら、「迷い」が生じます。そんな迷った中、「よし!!エピペン打とう!!」という判断が果たしてできるでしょうか??
すいません💦難しいこと質問してしまいましたね💦
答えは次項でお話しします。
一旦ここの話は終わります。
エピペンプロトコールでは、エピペンを打つ前に以下のことを確認してください。
①自己注射ができないこと。
②アレルゲン接触があり、過去に同様の症状があること。
③傷病者の観察を行って2つ以上の臓器症状が現れていること。
使用するにあたって、医師の助言を求めることができます。

エピペンの使用にあたって、医師の助言を求めることができます。
なぜなら、傷病者を観察していくと、判断がつかない場合があるからです。

その際に、呼吸器症状で「くしゃみ、鼻水」という組み合わせだったら僕は迷ってしまうというお話もさせてもらいました。
この「迷ったときが医師に助言をもとめる時」です。
迷ったまま、救急活動をしてしまうと、前回の記事でお伝えした事故が起こってしまいます。
これは、【救命士の事故を防ぐには】注意!!ここが薬剤投与の落とし穴。の一部抜粋です
空飯医師 はい!!こちら、空飯救急センターです!!
不安な救命士 お世話になります。〇〇救急隊、〇〇です。
アナフィラキシー症状が出ていて、アドレナリンを打ちたいのです。行ってもいいですか??
空飯医師 (あれ??救命士って、アナフィラキシー症状が出てて、アドレナリン投与できたのかなー。)どうな、症状が出てるの??
不安な救命士 はい。〇〇と〇〇に臓器症状が出ています。
空飯医師 それなら、早くアドレナリン投与したほうがいいね!!いつも、点滴取ってアドレナリン投与しているよね??漏れないように点滴取ってね!!
不安な救命士 (あれ??エピペン使うつもりだったけど、点滴取ってアドレナリン投与しろって言われてるぞ。まあ、医師が言うんだから間違いないかー。)わかりました。では実施します。
事故が起こってしまっては、傷病者を救おうと、活動しているのにとても悲しい結果になってしまします。
それなので、医師に助言を求める際には、「自分が行いたい処置、その伝え方」が重要です。
では、医師に伝えることをまとめてみました。
医師に伝えること
①自隊を伝える
②何の電話か・・・・アナフィラキシー症状が出ているため、エピペン使用時の助言要請。
③傷病者の年齢性別・・・〇〇歳性別
④傷病者の状態・・・〇〇のアレルゲン接触があり、〇〇と〇〇に臓器症状が出ています。
⑤行いたい処置・・・自己注射不能のため、実施してもいいか。
医師に助言をする際は、何の助言なのか(例えば、2つ以上の臓器症状の判断で判断ができません等々)。
その伝え方が重要になってきます。
アレルギー症状で2つ以上の臓器症状が出て、判断に迷ったとき、医師に助言を求めるようにしましょう。医師に助言を求める際には、「自分が行いたい処置、その伝え方」が重要となります。
エピペンは筋肉注射(大腿部)をおこないます。

エピペンは筋肉注射を行うため。大腿部におこないます。
なぜならば、自己注射を行う際に的確に行えるからです。
たとえば、インフルエンザのように「上腕に打つ」というようになっていたらどうでしょうか??

という怖さがあると思います。
大腿部に注射する場合、場所がブレてしまう可能性は極めて少ないと思います。
また、皮下注射よりも筋肉注射の方が、
①薬剤の吸収が早い
②痛みが少ない
というメリットもあります。
また、緊急の場合では、服の上からでも注射が可能となっています。
本剤は臀部からの注射を避け、大腿部の前外側から注射すること。また、緊急時には衣服の上からでも注射可能である。
以上のことを、救命士が打つ際には頭に入れておかないといけません。
いつでも、プットアウトできるようにしておきましょう。
※傷病者が打つ場合は病院から指導を受けているので、問題はありません。
エピペンを注射する際には、大腿部になります。緊急時の場合は、衣類の上から注射可能となっています。(この部分は、地域MCに確認してみてください)
大腿に注射するメリットは、
①注射位置がブレない。
②皮下注射より吸収が早い。
③痛みが少ない。
になります。
エピペンは、既往にアナフィラキシーがある人に処方されています。

エピペンは既往にアナフィラキシー症状がある人に処方されています。
なぜなら、2回目以降のアナフィラキシー症状を防ぐためです。

って思うかもしれません。
しかし、今この文章を読んでいて、そう思っているあなたは「怪しいです」
それは、冒頭でお伝えしたようにエピペン使用の事案はあまりなくて、今後、エピペン使用の事案に出動したときには、基本的な事項の「この傷病者はエピペンを持っているかもしれない」ということを忘れてしまう可能性があります。
つまり、謙虚に知識を吸収する心が大切ということです。
訓練も反復して吸収しますが、知識も反復して吸収していきます。
反復していきましょう!!

当たり前と思っていた手技が、「薬剤を取り違えてしまう」という事故になってしまいました。
つまり、どんな些細な事でも「そんなこと当たり前じゃん!!」と捉えるのではなく、「アナフィラキシー症状=エピペン」というように、スイッチが入るようにしてもらいたいと思います。
そのスイッチを入れることができれば「事故」は起こらないと思います。
エピペンを確実に使用できることで、「助かる命」や「苦痛から解放される」傷病者がいます。その人たちを是非とも救っていきましょう!!
既往にアナフィラキシーがある人はエピペンを処方されています。アナフィラキシー=エピペンとスイッチが入るようにしましょう!!
病院外でエピペンが使用できるのは、本人、家族、保育士、教職員、救命士です。

病院外でエピペンを使用できるのは、傷病者本人、家族、教職員、保育士、救命士です。
なぜなら、子供の命を救命するためです。
※大人の場合、自分のアレルゲンを把握できるので、避けることができます。しかし子供は、好奇心旺盛のため、アレルゲンに対しても注意をしないといった背景があります。
下の文章は厚生労働省から発出されている文章になります。
保育所、学校におけるエピペンの使用について

例えば、小学校でアナフィラキシーの救急事案が発生し、出動したとします。
現場についた際に、エピペンは病院外で救命士しか使えないと思い込んでいた場合、こうなってしまいます。


2階の教室になります。給食を食べていたんですが、急に呼吸困難になりました。こちらもエピペンを持っていたことを把握していましたので、担任が先ほど注射をしました!!

わ、わかりました。(何とか平静を保っている)
今は・・・症状が治まりましたか??
というように、動揺していたら活動すべてが不確実なものになってしまいます。
この後、ドクターへの申し送りもあり、救急活動すべてが半信半疑になります💦

病院以外でエピペンを使用できるのは、本人、家族、保育士、教職員、救命士になります。
まとめ
まずは、プロトコールを確認。自己注射が原則です。
エピペンプロトコールでは、エピペンを打つ前に以下のことを確認してください。
①自己注射ができないこと。
②アレルゲン接触があり、過去に同様の症状があること。
③傷病者の観察を行って2つ以上の臓器症状が現れていること。
使用するにあたって、医師の助言を求めることができます。
アレルギー症状で2つ以上の臓器症状が出て、判断に迷ったとき、医師に助言を求めるようにしましょう。医師に助言を求める際には、「自分が行いたい処置、その伝え方」が重要となります。
エピペンは筋肉注射(大腿部)をおこないます。
エピペンを注射する際には、大腿部になります。緊急時の場合は、衣類の上から注射可能となっています。(この部分は、地域MCに確認してみてください)
大腿に注射するメリットは、
①注射位置がブレない。
②皮下注射より吸収が早い。
③痛みが少ない。
エピペンは、既往にアナフィラキシーがある人が処方されています。
既往にアナフィラキシーがある人はエピペンを処方されています。アナフィラキシー=エピペンとスイッチが入るようにしましょう!!
病院外でエピペンが使用できるのは、本人、家族、保育士、教員、救命士です。

それだけ、経験を積むことができないから、いざって時にとまどってしまいそうだね。

だから、訓練で補っていかないといけないんだと思うよ。
医療自体が日進月歩だから、救命士が勉強をおろそかにしていたら、それだけ、「人そ救う」えなくなっちゃうからね。
「千葉市の薬剤投与の事故」のこともあって、今一度僕自身も見直さないとと思ってお伝えさせてもらったんだ。
僕自身もプットアウトしないと不安だったし、「もし、明日事案があったら」って思ったら、勉強しとかないとという気持ちになったよね。

努力が「人を助けている」んだ。
いつも、ありがとう!!
これからもがんばっていってね!!