波形確認、2回目、3回目、4回目・・・。
波形はVFのまま変わりません。そのたびにショックを行います。
また、4分ごとに薬剤投与も行っていきます。
4回目の除細動か終了したときに、医師に今後の除細動について、再度相談をしました。
先ほどから電話をかけている、〇〇救急隊、HARUです。やはりVFは難治性で継続しています。年齢と心臓の負担を考えるとこれ以上のショックは適切ではないと考えられますが、いかがですか?
いえ、VFが継続するようなら、ショックを実施してください。
こんにちは、救命士学習塾講師のHARUです。今回の話はこんな感じです↑
興味ある方は読んでくださいね^^
ところで、
僕も塾長と同じで救急救命士東京研修所(エルスタ)の卒業生です。
救急救命士の運用が始まってから10年以上のキャリアを持ちます。
今回は”救急救命士の除細動”について語ろうと思います。
ってお思いでしょうが、打つだけならだれでもできます。しかし、打つための、段取りや考え方が非常に必要なのです。
また、救急車に積載している半自動体外式除細動器(この記事では除細動器と呼んでいます)と一般市民が使用できる自動体外式除細動器(この記事ではAEDと呼んでいます)の違いも知識として解説しています。
参考にしてみてください!!
・現役救命士HARUの体験談‐継続する難治性VFの葛藤話‐
・VF、脈なしVTに対してのショック回数の制限ありません。
・VFやVTには薬剤投与が有効です。
・救命士がショックをおこなえる波形のおさらい。
・除細動器とAEDの違いは操作者の意思が入ることです。
・ショックが必要になった時の活動を知りたい人。
・ショックを複数回打ったまれな症例を知りたい人。
・ショック適応波形や除細動器とAEDの違いを知りたい人。
HARUって実際ショックを打ったことがあるのかな??
ショック症例にあたったことは、10回くらいあるかな。1回ショックを打ったら心電図の波形が、フラット(心静止)になった場合が多いんだけど、今回の経験談は凄くまれなんだ。
何回ショックを打っても、VFが継続していたんだ・・・。
そういった場合って、ショックは何回でも打っていいものなの??
そこは、細かく取り決めがあるんだ。今回は、取り決めにしたがって、どう活動したか、医師とのやりとりも注目して欲しいんだ。
そういってくれるとほんとにうれしいね!!
そうしたら、あなたの経験値も1ランク、いや3ランクくらいアップすると思うよ!!
この記事は、「救急救命士の除細動」として5つにまとめました。
解説していくね!!
もくじ
現役救命士HARUの体験談‐継続する難治性VFの葛藤話‐
「今日も勤務平和だったね。」
現在時刻は朝の8時。
勤務終了まであと30分。
非番になったらなにしようかって心を弾ませています。すると、出動スイッチを入れる出来事が!!
「救急指令、急病」と指令が鳴り響きました。
この日は珍しく救急があまりない日で、僕を休ませてくれるそんなステキな日かなって思ってましたが、活躍の場を与えてくれました。
救急車に乗り、開局!!
※開局とは、指令センターと無線交信を始めることです。
すると指令センターから
「施設に入所している高齢の女性。現在意識がない模様。CPA対応願います」との情報でした。
気持ちが非番に傾いてたから、その傾きを仕事モードに直しました(笑)
さあ、人のために活動する時間です。
しかもCPA!!隊員に活動プランを伝えて全体に救命スイッチをいれます。
もし、除細動適応波形なら、薬剤投与を視野に入れるから!!ルートセットとアドレナリン準備してて。
※除細動適応波形・・・VF(心室細動)、脈なしVT(脈なし心室頻拍)のこと。
VF・・・心臓がけいれんしている状態のこと
脈なしVT・・・心拍が早いため、血液が充足することなく、からうち状態で動いていること。
と指示を出しました。
それと、(今日の特定行為指示病院はどこだったかな??)と、もしCPAだったときのためにすぐに動けるように考えをめくらせておきました。
いろいろ考えていたら、すぐに現場到着してしまいました。
体調バッグと除細動器を渡してもらい、施設入り口に行きます。
施設の人は顔が真っ青になり慌てふためいてます。こっちの言葉がまるで耳に入っていない感じです。
それをみて、
って思いました。
かろうじてその声は耳に入ったみたいで、わらにもすがりたい感じで僕たちを案内してくれます。
傷病者の部屋につきました。部屋の中はざわついていていました。
中を見ると、かなりあわてた様子で胸骨圧迫を施設の職員が行っていました。
一旦、胸骨圧迫を停止してもらって、観察をしてみるとやはりCPA。
施設職員の人に、
と指示をしました。
僕は、除細動器を貼ります。
そして、解析をしたところ・・・、
除細動するよ!!
と、周囲の確認をして、施設の人にICを取ります。
※ICとはインフォームドコンセントで、処置に対する同意です。
と、ショックボタンを押しました。この後、CPRと搬送準備にかかります。胸骨圧迫のと人工呼吸の合間に除細動器に目をやったら、
と思ったので、ここで早期に、特定行為の指示要請をいれます。
傷病者情報を収集し、
また、収容はいかがですか??
と、テンプレートどおりのやり取りが行われました。
さあ、救急救命処置に入ります。
救急車に収容後、LTで気道確保をおこない、運転責任者に〇〇救命センターに急ぐように指示しました。
隊員は胸骨圧迫を実施してくれています。車内のエアコンがきいているとはいえ、汗だくになっています。
とやり取りしながら、処置をおこなっていきます。
静脈路確保をおこなって、医師と再度やり取りをしながら薬剤投与を行いました。
波形確認、2回目、3回目、4回目・・・。
波形はVFのまま変わりません。そのたびにショックを行います。
また、4分ごとに薬剤投与も行っていきます。
4回目の除細動か終了したときに、医師に今後の除細動について、再度相談をしました。
※難治性のVF・・・ショックを打っても、VFが継続することです。
と改めて指示をもらいました。
高齢であれば、心臓の負担を考えて、単数回で停止って言ってたんだけどなー
と思いました。
5回目、6回目、7回目、8回目・・・。
指示どおり、ショックをしながら〇〇救命センターに到着しました。
もちろん薬剤投与も継続しながら・・・。
病院到着後、病院での処置が始まり、医師に申し送りをしました。
医師に、
内心、
とも、思いました。
しかし、そこで、病院ともめても意味はありません。
あくまで、指示とおり処置を継続できたことを説明して、そのうえで処置の意味が聞けれたらラッキーかなと思い聞きました。
特に、今回みたいな難治性のVFはショックを行わないとね!!
と言われました。
ちょっと危険な感じがしました。なぜなら、
つまりは、医師も人なので、医師によっては処置に対する認識が違うと思いました。
それなので、
もし、処置で困ることがあれば、確認することが重要であると思いました。
難治性のVF症例では、特定行為指示要請時に医師とショック回数について確認しましょう。
VF、脈なしVTに対してのショック回数の制限ありません。
VFや脈なしVTにはショック回数の制限はありません。
なぜなら、根本的に、VFや脈なしVTにはショックをおこなうことが根本的な治療になるからです。
※ただし、各所属プロトコールをご確認してください。
それなので、1回ショックを打った時に、
〇〇時〇〇分、ショック1回目!
と、ショックボタンを押しました。この後、CPRと搬送準備にかかります。胸骨圧迫のと人工呼吸の合間に除細動器に目をやったら、
あれ、まだVFが出てるっぽいなー。
と思ったので、ここで早期に、特定行為の指示要請をいれます。
〇〇救急隊、HARUです。特定行為指示要請です。初期波形はVFです。難治性のVFの可能性もあります。
というように、難治性のVFを想定し、先に具体的指示をもらっておきました。
しかし、ショックを打つにことに対して一つ気になっていたことがありました。
それは高齢の方への、ショック回数です。
それなので、医師に、
先ほどから電話をかけている、〇〇救急隊、HARUです。やはりVFは難治性で継続しています。年齢と心臓の負担を考えるとこれ以上のショックは適切ではないと考えられますが、いかがですか?
いえ、VFが継続するようなら、ショックを実施してください。
というように、医師に進言をしましたが、届きませんでした(汗)
今回のように高齢の方にショックを打つのであれば、心臓への負担を考えて、ショック回数を事前に医師と相談しておくことが重要になってきます。
しかし、これは教科書には載っていない、僕が救命士の勉強会で得た知識なのです。
(すでに僕の体験談に載せてしまいましたが💦)
よく、ショックの回数についてトラブルになったりすると聞きます。
(トラブル発言)
そうなのです。
それなので、具体的に「何回まで実施したらいいですか」の一言で回避ができるのです。
CPAの処置、判断で忙しいと思いますが、相手を気遣うことも重要です。
除細動でショックを打つ際、ショック回数の確認は必須です。
VFや脈なしVTには薬剤投与が有効です。
VFや脈なしVTにはが薬剤投与が有効です。
なぜならばエビデンスがあるからです。
VF/VT患者の全生存率は、アドレナリン投与群が17.0%と、非投与群の13.4%に比べ有意に改善された。
院外心停止患者に対する病院到着前アドレナリン投与、長期予後を改善/BMJ|医師向け医療ニュースはケアネット (carenet.com)
それはなぜかおわかりでしょうか?
単純にVF、脈なしVTの病態よりも、その発生機序に問題があります。
VF、脈なしVTはCPAになりたてと見立てることができます。
それなので、僕も処置の中で、
先に除細動器をつけて、心電図の初期波形を確認するよ!!
もし、除細動適応波形なら、薬剤投与を視野に入れるから!!ルートセットとアドレナリン準備してて。
というように展開を読んで指示を出しておきました。
つまり、CPA直後は処置が早ければ早いだけ救命の可能性が高くなります。
VF、VTには早期アドレナリン投与が有効です。
救命士がショックをおこなえる波形のおさらい。
ショックが打てる波形の確認を行います。
その波形とは、
VF(心室細動)
脈なしVT(脈なし心室頻拍)
になります。
さらに重要なことは、VTはショックを打つ前の確認事項があります
VT(心室頻拍)→脈があるか確認→脈なし=脈なしVT(脈なし心室頻拍)
と評価することができます。
除細動器のVT(心室頻拍)の波形だけを確認しても、脈の有無の評価はできません。
それなので、VT(心室頻拍)は、脈を触れる必要があります。(もちろん総頸動脈ですよ!!)
では、次にVF、VTの波形確認をおこないます。
VF(心室細動)
心室頻拍
になります。
くれぐれも波形を見落とさないようにしましょう!!
追伸
どんなときでも、救命できる波形を見逃してはいけません・・・。
そのために波形を見慣れることが重要になってきます。
すぐに波形をみて判断できるように、死ぬほど波形を見る訓練をしましょう!!
(スラムダンク、仙道彰を抜粋しました)
「救命したかったら、死ぬほど勉強してこい!!」・・・救命士はこういったところですかね(笑)
波形を判断して、早期ショックができるようにしておきましょう。
除細動器とAEDの違いは操作者の意思が入ることです。
救急車積載の除細動器と一般市民が使用できるAEDの違いは、操作者の意思でショック可否を決めることができます。
その違いは、以下のようになります。
救急車に積載している半自動体外式除細動器(この記事では除細動と読んでいます)は
ショックの可否、タイミングを操作者で決められます。
※この機能がないと、
①搬送途上の揺れをVFと感知し、ショック適応と判断してしまうためショック拒否しないといけない。
②VTであった場合(脈なしではない)ショック拒否しないといけない。
というようなことがあるからです。
一般市民が使用できる自動体外式除細動器(この記事ではAEDと読んでいます)は、機械が操作を進めていってくれます。
※この機能の有用性は
①操作が簡単。
②機械がショックが必要と判断したらショックを打つ
ということになります。
それだったら、AEDで脈なしVTが発生した場合、どう脈をみているの??
一般市民の人に、脈をみることが難しいことや脈の有無で責任を持たせれないことなどがあってね。
それで、意識がなくて、呼吸もなかったら、まず脈もないでしょっていうことにして、AEDでも、VTを脈なしVTと見立ててるんだ!!
患者の意識がない、呼吸がない、という判断が付け加えられれば、まず脈もないだろう、という類推です。これをもって無脈としているわけです。
そうしないと、まず、一般市民が扱えられないよね!!
納得できたよ!!かなりの疑問だったから!!
さすがHARUだね!!
除細動器とAEDの違いは操作者のショックの判断になります。
まとめ
・現役救命士HARUの体験談‐継続する難治性VFの葛藤話‐
・VF、脈なしVTに対してのショック回数の制限ありません。
・VFやVTには薬剤投与が有効です。
・救命士がショックをおこなえる波形のおさらい。
・除細動器とAEDの違いは操作者の意思が入ることです。
改めて尊敬しちゃうよ!!
いやいや(汗)全くそんなことはないよ・・・。ただ、僕が語ることで、誰かの経験となって、活動の糧となってくれること、それによって一人の命が救われることが僕のおおきな望みなんだ!!
この思いは塾長の思いと同じだから、僕も精一杯頑張らないとって思うんだよね!!
塾長も熱いけど、HARUも熱いね!!
日本中の救命士がよりよくなればいいね!!私も陰ながら応援しているね!!
これからも、大変だけど、がんばってね!!
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