
- 熱中症で吐き気・嘔吐があればⅡ度。一般の方でも医療機関の受診が必要
- 意識がおかしい(受け答えができない、けいれん等)ならⅢ度以上。すぐに119番
- ガイドライン2024で、最重症の「Ⅳ度」(深部体温40.0℃以上かつGCS 8以下)が新しく加わった
- 重症の熱中症では、点滴だけでなく早く体を冷やすこと(Active Cooling)が大切
吐き気・嘔吐があればⅡ度以上の熱中症です。涼しい場所へ移し、首・脇の下・足の付け根などを冷やして、経口補水液などで水分と塩分をとらせてください。自分で飲めない、良くならない場合は医療機関を受診しましょう。
名前が言えない、受け答えがおかしい、けいれんしているなど意識の異常があれば、すぐに119番通報してください。
熱中症とは?
熱中症は、暑い環境で体温を調節するしくみがうまく働かなくなり、体に熱がこもったり、汗で水分や塩分が失われたりして起こる体の不調の総称です。
- 暑さで汗をかき、水分と塩分が失われる
- 脱水で血液の量が減り、めまいや立ちくらみが起こる
- 体温がさらに上がると、頭痛・吐き気・強いだるさが出る
- 体温が上がりすぎると脳や臓器がダメージを受け、意識障害やけいれん、肝臓・腎臓の障害、血液が固まりにくくなる異常(DIC)につながる
重症の熱中症は、全身に炎症が広がる敗血症とよく似た状態になり、命にかかわります。
熱中症の重症度分類(Ⅰ度〜Ⅳ度)
熱中症の重症度は、症状によってⅠ度〜Ⅳ度に分けられます。2024年のガイドラインで、最重症の「Ⅳ度」が新しく加わりました。
| 重症度 | 主な症状 | 対応 |
|---|---|---|
| Ⅰ度 | めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の汗、筋肉痛、こむら返り(意識ははっきりしている) | 涼しい場所で休み、体を冷やして水分・塩分をとる。良くならなければ受診 |
| Ⅱ度 | 頭痛、吐き気・嘔吐、強いだるさ、集中力や判断力の低下 | 医療機関の受診が必要 |
| Ⅲ度 | 意識障害、けいれん、肝臓・腎臓の障害、血液が固まりにくくなる異常(DIC)のいずれか | 入院での治療が必要。すぐに119番 |
| Ⅳ度(新設) | 深部体温40.0℃以上、かつGCS 8以下 | 早急に体を冷やす治療(Active Cooling)を含む集中治療 |
出典:日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」、同「熱中症診療ガイドライン2015」
2024年に新設された「Ⅳ度」と「qⅣ度」
Ⅳ度は、Ⅲ度の中でも特に命の危険が高い最重症の人を見分けるために作られました。
- Ⅳ度:深部体温40.0℃以上、かつGCS 8以下
- qⅣ度:表面体温40.0℃以上(または皮膚にはっきりした熱感がある)、かつGCS 8以下(またはJCS 100以上)
qⅣ度は、深部体温を測れない現場でもすばやく最重症を疑えるようにした基準です。qⅣ度に当てはまるときは、病院で深部体温を測って重症度を判断し、Ⅳ度なら早急に冷却を含む治療を始めます。
救急隊が重症度を見分けるポイントは「意識」
JCSやGCSで意識レベルを数字で評価し、体温とあわせて伝えると、病院側も重症度をすぐに判断できます。
意識レベルの評価方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
吐き気・嘔吐があったら病院へ行く理由
吐き気や嘔吐があるのは、Ⅱ度の熱中症のサインです。
吐いてしまうと、口から水分や塩分をとることができません。脱水を自分で治せない状態なので、医療機関で点滴などの治療を受ける必要があります。
また、Ⅱ度はⅢ度へ進む手前の段階です。吐き気が出たら「様子見」ではなく受診と覚えておいてください。
一般の方ができる応急処置
- 涼しい場所へ移す:エアコンの効いた室内や日陰へ
- 体を冷やす:衣服をゆるめ、首・脇の下・足の付け根を保冷剤や冷たいペットボトルで冷やす。体に水をかけてあおぐのも効果的
- 水分と塩分をとる:経口補水液やスポーツドリンクを少しずつ
- 119番:意識がおかしい、自分で飲めない、良くならないときはすぐに通報
救急隊の活動ポイント
- 意識レベルと体温を必ず評価:JCS・GCSと体温は、重症度判断と搬送先選定の基本
- 早く冷やす:車内のエアコンを最大にし、衣服をゆるめ、霧吹きとあおぎ、首・脇・鼠径部の冷却を搬送中も続ける
- 重症を疑ったら早く病院へ:意識障害や高体温(qⅣ度に当てはまる)があれば、冷却治療ができる医療機関への早期搬送を考える
- 発生状況を聴取:屋内か屋外か、作業中か、持病や服薬、一人暮らしかどうかも重症度や背景の判断に役立つ
熱中症の救急搬送は過去最多を更新
総務省消防庁の速報値によると、2025年5月1日〜9月21日に熱中症で救急搬送された人は全国で9万9,573人で、前の年(9万7,578人)を上回って過去最多となりました。65歳以上の高齢者が57.2%を占めています。
暑さが厳しい年が続いていて、救急隊にとって熱中症の対応はますます重要になっています。どうせ一生使う知識なので、しっかり覚えておきましょう。
救急救命士国家試験ではこう出る
熱中症は、救急救命士国家試験でも環境障害の分野でよく出題されます。
- Ⅰ度:めまい・立ちくらみ・大量の汗・こむら返り(現場で対応できる)
- Ⅱ度:頭痛・吐き気・嘔吐・強いだるさ(医療機関を受診)
- Ⅲ度:意識障害・けいれん・肝臓や腎臓の障害・DIC(入院治療)
- Ⅳ度(2024年新設):深部体温40.0℃以上かつGCS 8以下
- 重症例では、体を冷やす治療(Active Cooling)を早く始めることが大切
▶ ほかの分野の問題は救急救命士国家試験の問題(分野別まとめ)で練習できます。
▶ 国家試験の合格ライン(必修8割・通常6割)は救急救命士国家試験の合格基準と合格率で確認できます。
「何から勉強すればいいかわからない」という人は、ぜひ受け取ってください。
まとめ
- 吐き気・嘔吐があればⅡ度。受診が必要
- 意識の異常があればⅢ度以上。すぐに119番
- 2024年に最重症の「Ⅳ度」(深部体温40.0℃以上かつGCS 8以下)が新設
- 重症例は早く冷やす(Active Cooling)ことが大切
- 救急隊は意識レベルと体温を必ず評価し、冷却を続けながら搬送
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参考資料
- 日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」(厚生労働省掲載資料)
- 熱中症診療ガイドライン2024(全文)
- 総務省消防庁「熱中症による救急搬送状況」(2025年5〜9月の速報値)



























消防士として12年働き、救急救命士として現場に出ていました。
この記事では、熱中症の重症度分類(Ⅰ度〜Ⅳ度)と、救急隊・一般の方それぞれの対応を、日本救急医学会の「熱中症診療ガイドライン2024」に沿ってまとめました。