『救急指令、急病』と指令が入りました。
救急車に乗車し、開局。情報を聞いたら、
マンション4階で腰痛を発症したもの。なお、体重が120kgあるとのこと。
※開局は、無線交信をし始めることです。
(え??120kg??)
こんにちは、救命士学習塾講師のHARUです。今回の話はこんな感じです↑
興味ある方は読んでくださいね^^
ところで、
僕も塾長と同じで救急救命士東京研修所(エルスタ)の卒業生です。
救急救命士の運用が始まってから10年以上のキャリアを持ちます。
今回は”救急救命士の体力”について語ろうと思います。
実は、消防の出動隊の中で、一番体力が必要なのは救急隊なのです。
その実話をお伝えします。
参考にしてみてください!!
・救命士になぜ体力が必要なのか知りたい人。
・どんな時に体力を使うのか知りたい人。
・救命士を目指し、必要な体力を強化をしたい人。

どうして救命士って体力いるの??
私のイメージって救命士は救急車でくるお医者さん的なイメージがあるから、どちらかというと、ひ弱なイメージがあるんだよね・・・。



血小板ちゃん、それは全く違うんだ!!
実は、救命士は消防の他の出動隊よりも体力が必要になってくるんだ!!
医者は病院に運ばれてきた傷病者を処置していくんだけど、救急隊は、救急現場から傷病者を病院に搬送しないといけないんだ。
その搬送に体力をものすごく使うんだよね!!


うん!!僕の話を聞いたら、絶対、体力がいるなって感じてもらえるよ!!
そうしたら、体力の必要性を感じてくれると思うよ!!
この記事は、「救急救命士の体力」として4つにまとめました。
解説していくね!!
現役救命士HARUの体験談‐救命士は体力勝負‐

救命士には体力は必須!!
分かっていながら思い知らされた救急事案になりました。
最近の夏は暑すぎます。まさにこんな熱い日の夜でした…。
気温のせいもあり、熱中症の傷病者をたくさん搬送しました。

と心の中で思ってました。
夜になっても気温が下がりません。これは熱帯夜になる気温でした。
少しでも、体力を回復しないとって思いながら、仮眠に備えて部屋を冷やしておきました。
冷やしておくのと冷やしておかないのとは天と地の差です💦冷やしておかないと、まるでサウナの中に布団を敷いているのと同じ(笑)
そんな中ではなかなか寝れないし、体力だって回復しません。
少しでも体を休めて、出動に備えないと…。と思ってました。
そうはさせてもらえないところが救命士のつらいところ(汗)
休むことなく、出動します。
夜の救急も2件行き、やっと寝れると横になりウトウトしはじめたころ…、
『救急指令、急病』と指令が入りました。
救急車に乗車し、開局。情報を聞いたら、

マンション4階で腰痛を発症したもの。なお、体重が120kgあるとのこと。
※開局は、無線交信をし始めることです。

(え??120kg??)
何かの聞き間違えと思いました。再度、

体重120kgですか??
と思わず聞き直してしまいました。
聞き間違いではありませんでした・・・。
思わず、

マジかー。
と、車内に響くように声が出てしまいました。
さて、どうやって搬送するべきか…。腰痛であまり動かしたくなかったのでスクープストレッチャーを選択しました。
それと、現場に持っていくものは、「気合と根性」です(笑)
・・・そして、現場到着。
状況と傷病程度を確認するため、資器材を隊員、運転責任者にお願いして、傷病者の元に急ぎました。
マンションの上階を見ると、4階から手振りしてる関係者が見えます。


分かりました。エレベーターありますか??


(え??階段??)
と思いながら、4階の階段を駆け上がりました。傷病者や関係者を目の前にしてゆっくりと接近する救命士はいないと思います。
3階までくると、太ももに乳酸がたまり動かなくなります。また、大量の汗と息があがります。
4階につきました。
状況と傷病程度を確認したら、元々腰痛持ちで3日前から悪化傾向にあり、動けなくなったものでした。外傷はないとのことでした。
それを聞き、いよいよ傷病者とのご対面です。

(で、デカい…)
口には出せませんが、マジでデカいのです。特に横に(汗)
全身を観察して、バイタルに異常はなく、外傷もありません。

(腰が痛くて動けないだけだと…。動いてくれないかな…)
と思いながら、後着の隊員からスクープストレッチャーを受け取り、搬送準備にかかりますが…、
カチッといってくれる接合部分までくっつきません。
傷病者に

体を少し宙に浮かせれませんか??
と聞くと、

ちょっとなら。
とのことだったので、ようやく、スクープに乗せることができました。
さてここから勝負です!!
120kgの人を救急車のある1階まで搬送しないといけないからです。
頭部を2人で、足部を1人で持つように分けました。持ち上げてみたところ手がしびれました。
3人で目で会話をします。



って思いながら、搬送にかかりました。
一歩一歩踏みしめるために握力がもたないのではないかという感覚になります。
熱帯夜なので汗も大量に噴き出してきます。
部屋を出れてようやく階段まできました。さて、ここからです。落としてしまったら、始末書ものです。
階段では、壁で支点を取るように降りていきます。
隊員に、

途中、握力がもたなくなったら、一回置いて持っている場所をチェンジしよう。
と提案しました。
提案したものの、僕の肩と、腕と、握力と足とが「もう限界です!!」と訴えかけてます。
それにも負けず、一段、一段慎重に下ろしていきます。
・・・最後の一段になり、ストレッチャーに収容したとき、何とも言えない達成感と体中がパンパンになっていました。
救急の中に収容するまで気が許せません。
収容して、ハッチを閉めたとき、思わず安堵のため息をついてしまいました。
一番気になっていたところ・・・。ゴム手袋の中です。
ゴム手袋を取ると、大量の汗が地面に落ちていきました(汗)

コム手袋の中の汗がたまることって。
その後、無事に病院まで搬送しました。
救急隊には絶対的にマンパワーがないのです。
それなので一人一人の力が重要になってきます。どんな時も知恵や体力を振り絞って、対応しないといけません。
その点、火災や救助はたくさんの隊が出動し、消防力(人員)が優位にはたらきます。力仕事が必要な場合でも、人員をかけれるのです。
救急隊は体力勝負って改めて感じた事案でした。
救急隊は少数で自己完結したしないといけないので、個々の能力(体力)が問われます。
救命士は、筋力が必要です。

救命士に筋力が必要です。
なぜなら、どんな状況であっても傷病者を搬送しないといけないからです。
さてここから勝負です!!
120kgの人を救急車のある1階まで搬送しないといけないからです。
頭部を2人で、足部を1人で持つように分けました。持ち上げてみたところ手がしびれました。
これは、上で紹介した僕の体験になります。
今回は、耐えることができましたが、これ以上重たい人は正直厳しいかなと思いました。
そうなると、体力不足になります。
現場で、一番困っているのは傷病者なのです。救急隊は弱音を吐いてはいけません。
また、今回はありませんでしたが、実際この事案の傷病者がCPAであったらどうでしょうか?
(※CPA=心肺停止状態・・・救命士の特定行為が必要な事案となります)
僕の肩と、腕と、握力と足とが「もう限界です!!」と訴えかけてます。
はすかしながら、今回の傷病者を4階から1階に搬送した際の僕の状態がこれでした。
この状態で、果たして特定行為がまともにできたのでしょうか?
という疑問も残ります。
つまりは、救命士はいかなる時も体力に余裕をもって活動しないと、普段通りの処置ができないということになります。
体力(筋力)に余裕がないと、普段通りの処置が行えません。
救命士は持久力が必要です。

救命士は持久力が必要です。
なぜならば、いち早く傷病者の元に行かないといけないからです。
今回の事案で僕は、
4階の階段を駆け上がりました。傷病者や関係者を目の前にしてゆっくりと接近する救命士はいないと思います。
3階までくると、太ももに乳酸がたまり動かなくなります。また、大量の汗と息があがります。
4階につきました。
というように、恥ずかしながらすでに足が動かない状態となってしまいました。
救命士の業務は、傷病者の元に早く行き、
初期評価
全身観察
病院選定
というように進めていかないと行けません。
しかし、傷病者の元についただけで活動終了となるような体力では正直、話にならないと思います。
最悪、体力に自信がないのであれば、自分のペースで傷病者の元に接近することをオススメします。
なぜならば、体力を使い切ってしまっては活動ができなくなるからです。
いち早く傷病者の元に接近することも大切ですが、そこから先の救命士しかできない処置に支障が出てしまったら本末転倒です。
ならば、どうしたらいいのでしょうか??
結局のところ、体力(持久力)の向上しかありません。
持久力を磨くことは、平常心で傷病者への処置が行えることにつながり、救命につながるのです。
どんなときも、いち早く傷病者の元に駆け寄り、傷病者のために活動しましょう。
追伸
どんなときでも、救命士はくじけないことです。仮に体力がなくなりそうになったとしても・・・。
現場では今までやったことしか出すことはできません。
心を折らないことです!!
(鬼滅の刃、竈炭治郎を抜粋しました)

体力(持久力)がないと、傷病者の元に近づくだけで活動停止となってしまいます。
救命士は出動し続ける体力が必要です。

救命士はどんな時でも、出動(動き)し続けなければなりません。
なぜなら、救急件数は右肩上がりで、指令は待ってくれないからです。
救急指令はどの隊よりも出動し続けていて桁違いです。

それに比べて、火災は月に2回(多くて)、救助は2ヵ月に1回なんてことは普通なことです。
この件数を頭に入れたうえで、救急隊は、
眠ってなくても出動する。
こういったことが求められます。
それなので、出動し続けるそもそもの体力、体調不良を起こさない強さが必要になってきます。
最近の夏は暑すぎます。まさにこんな熱い日の夜でした…。
気温のせいで熱中症の傷病者をたくさん搬送しました。
こっちが熱中症になっちゃうよ…。
僕が出動した日も暑く、そして出場件数が多かったです。これほどの過酷な環境下でも、出動し続ける体力が必要なのです。
環境や救急件数に負けることのない、出動し続ける体力が必要です。
まとめ
・現役救命士HARUの体験談‐救命士は体力勝負‐
・救命士は筋力が必要です。
・救命士は持久力が必要です。
・救命士は出動し続ける体力が必要です。

てっきり、救助隊の人とかが体力いるものばかりと思っていたよ。

たしかにそう思われても仕方がないよね。傷病者をただ運んで終わりだったら、すごく楽ではあると思うけど、そこに、判断して処置が必要になってくるんだ。
体使って頭を使わないといけないから、疲労度なんかは他の隊とは比べものにならないよ。
だから、体力のない救命士なんかは、体調崩したりすることは現実的にあることなんだよね。
疲れ切って仕事を終えるから、帰ったらひたすら寝るだけ。
そうしないと、次の当務に差し支えるからね。
休みの日の過ごし方が重要になってくるんだ!!

私たちの安心って、救命士のおかげだって思っても過言じゃないね。
いつもありがとうね!!
これからも、大変だけど、がんばってね!!
追伸〜空飯から一言〜

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・現役救命士HARUの体験談‐救命士は体力勝負‐
・救命士は筋力が必要です。
・救命士は持久力が必要です。
・救命士は出動し続ける体力が必要です。