こんにちは、空飯です。
静脈路確保の技術向上が救命士に強く求められています。
救命士のレベル向上には静脈路確保の技術向上が必須と言えるでしょう。
そこで、現場で数々の静脈路確保を経験(失敗)し、病院実習でナースから様々なアドバイス(厳しい指導(小声))を受けた救命士空飯。
そんな私が「空飯式」静脈路確保のコツを披露したいと思います。
救命士の特定行為である静脈路確保の具体的方法とセリフを記載します。
実際の静脈路確保の動画も見られますのでコツやポイントを確認しましょう。
私のオススメするコツは7点。
- 姿勢とポジションが大事。不安定な状態で静脈路確保に挑んでない?
- 血管選定は「見る」だけではなく「触って」確認する。
- 血管選定が7割。Y字の血管を狙え!
- 留置針の持ち方とカウンタートラクションのかけ方が重要!
- カウンタートラクションはかけ続ける。
- 刺入位置を決める。
- 刺入後は逆血(バックフロー)に集中する!
まずは静脈路確保穿刺要領とセリフ
静脈路確保前の点検方法のセリフ
乳酸リンゲル液 使用期限○年○月よし
変色 濁り なし
滅菌シールよし
区血帯よし
ラインよし
ドレッシングテープよし
酒精綿よし
静脈留置針よし
固定テープよし
廃棄ボトルよし
資器材点検よし
ワンポイントアドバイス
基本的な静脈路確保実施要領とセリフ
静脈路確保を実施する
腕を持ち上げます
位置よし 固定性よし
廃棄ボトル開封 廃棄ボトルこの位置
うっ血確認 うっ血よし
穿刺部分にあっては右橈側皮静脈を選択
酒精綿開封
消毒 ヒヤッとしますよ 消毒よし 廃棄
留置針にあっては20Gを選択
開封 開封よし
キャップ離脱 針出るぞ
内筒 外筒 カット面よし
カウンタートラクション
チクッとしますよ 15度から30度で穿刺
バックフローあり 更に寝かせて数ミリ刺入
外筒のみ刺入 よし
内筒保持 駆血帯解除 解除よし
中枢圧迫 外筒保持 内筒抜去 針抜くぞ
内筒 内筒収納よし 廃棄
ラインキャップ離脱 離脱よし
接続 接続よし
クレンメ開放 滴下状態よし 先端漏れ 腫れなし エア混入なし
一秒一滴 仮設定 1・2・3・4・5・6よし
仮固定 仮固定密着 固定よし
ドレッシング固定 位置よし ドレッシング固定密着 固定よし
ループ作成 ループ固定 密着よし
本固定 本固定 密着 固定よし
一秒一滴設定 1・2・3・4・5 一秒一滴設定よし
廃棄ボトル閉鎖 閉鎖よし
ゴムのチューブを抜きます 駆血帯収納 駆血帯収納よし
静脈路確保完了
もしもバックフローがなかったら…
バックフローなし
角度修正
バックフローなし 駆血帯解除
酒精綿よし
テープ固定 固定よし
救命士静脈路確保7つのコツ
【コツ1】姿勢とポジションが大事。不安定な状態で静脈路確保に挑んでない?
現場では車内で静脈路確保することが多いと思います。
狭い車内でやりやすいポジションをキープすることが成功率を上げます。
適切なポジションをキープするために
- 周りの邪魔なものを整理。
- ストレッチャーのサイドを倒す。
- 傷病者の腕の位置を調整。
- 廃棄ボトルを忘れない。
- 穿刺直前は救急車を停車させる。(状況による)
基本ですが上記が大事です。
自分が穿刺しやすい体勢になるように、傷病者の体位や刺入部の位置を整え、自分の立ち位置に配慮することが成功率を高めます。
一番意識すべきことは
傷病者の血管に対してまっすぐ正面になるよう位置する。
↑これです。
このとき、傷病者の穿刺部位が心臓よりも下になるようにすると、血管が見つけやすくなります。
【コツ2】血管選定は「見る」だけではなく「触って」確認する。
救命士が静脈路確保する場面はどんな場面でしょう?
CPA?ショック?低血糖?
その多くの場面で血管は虚脱しており、うっ血しにくくなっています。
目で見えるくらい立派な血管があるのは稀です。
かならず指で触って確認しましょう。
触りながら走行をイメージすることが大事です。
【コツ3】血管選定が7割。Y字の血管を狙え!
「まっすぐ、太い血管を選びましょう!」
これはテキストなどでさんざん言われてきた基本中の基本です。
つまり、まっすぐで太い血管が確保しやすいです。
しかし、実際の救急現場では高齢者やCPA患者が静脈路確保の対象となることが多いです。
このような方々の血管は虚脱しており、極めて難易度が高いです。
そこで、少しでも確保確率が上がるようにオススメの血管を紹介します。
それは「Y字の血管」です。
なぜか?
Y字の血管はその特性上逃げずらいからです。
つまり、血管がコロコロ逃げて外すリスクが減ります。
Y字の二股の根元から1本に交わるところの手前から刺入するといいです。
わかりずらいので人に例えると股間のお尻の穴手前に刺してア○ルに入れていく感じです。
イメージできましたか?←おいw
画像ではこんな感じです。
記事下の方にある動画が「Y字攻略」していますので参考にしてください。
【コツ4】留置針の持ち方とカウンタートラクションのかけ方が重要!
空飯オススメの持ち方↓
逆血を見れるようにもつ。
ポイントは第2指がフリー。これで外筒を進めることができる。
試合開始の前に負けている救命士がいます。(昔の私^^;)
持ち方が間違っていると勝てる試合も勝てません。
何が言いたいかというとサーフローやスーパーキャスの持ち方です。
親指と中指で持ちましょう!
理由は人差し指をフリーにするためです。
外筒を進めるとき、このフリーの人差し指で進めるのがかなり有効です。
研修所などでは反対の手である左手で外筒を進めると思いますが、カウンタートラクションが解除されてしまいます。
これを避けるために右手人差し指はフリーにし、人差し指で外筒を進めた方が成功率は上がります。
このとき人差し指が逆血確認部分を隠さないように注意しましょう。
高齢者はカウンタートラクションを外した瞬間、肌のシワが戻ったり、血管がずれたりします。
これが原因で静脈路確保の失敗につながります。
自分が一番おすすめするのは「カウンタートラクションは左手の第2指」「外筒刺入は左手の第1指と右手の第2指で外筒を進める」が一番成功率が高いです。(2本指法(勝手に命名))
刺す直前の指の位置も大事です。
針を持つ手の第5指と第4指を刺入部の手前に付けて固定し、適切な角度で安定して刺入できるようにしましょう。
救急車は揺れるので支点をとることは重要です。
【コツ5】刺入位置を決める。
穿刺前に、留置後の外筒先端がどの位置にくるのかをイメージして、刺入位置を決めましょう。
針の長さを確認するためにも血管にあてがってサイジングするのも1つの手です。
刺入部の血管はまっすぐでも、外筒を挿入できない場合があります。
(針を進めていく先が蛇行している場合)
また、刺入位置から目標血管までの距離が長いと、留置針が血管から抜けやすくなります。
(血管への外筒の留置が浅くなるため)
どの位置から穿刺すれば、血管のまっすぐな部位に深く外筒を留置することができるかを考え、刺入位置を決めることが重要です。
空飯は救命士なりたての頃、うっ血した血管の真上からしか穿刺はしないものだと勘違いしてました。
実際は血管の手前から穿刺して、刺しながら血管到達を目指すことが多いです。
【コツ6】カウンタートラクションはかけ続ける。
これは高齢者の傷病者に対して非常に大切です。
なぜなら、皮膚のしわが戻ってきたり、血管が逃げるからです。
カウンタートラクションをどうすればかけ続けられるか?
答えは
- 穿刺手の第2指で外筒を進める。
- カウンタートラクションは左手の第2指で行う。
これらを実施すればカウンタートラクションをかけ続けながら外筒を進めることができます。
1を行うことでカウンタートラクションをかけ続けられます。
2を行うことでカウンタートラクション側の第1指がフリーなので外筒を進めるサポートが可能です。
【コツ7】刺入後は逆血(バックフロー)に集中する!
逆血(バックフロー)の有無は非常に大事です。
穿刺したら、あとはバックフローを確認(視線が大事)しながら内筒を進めます。
バックフローが来たら寝かせて数ミリ進めます。(ここのセンスが大事)
進めすぎると突き破ります。
逆に、進めないと外筒が入らず(あれ?外筒が進まない状態になる)失敗します。
ここが一番のポイントです。
失敗の原因の多くはこの流れのどれかにあります。(空飯個人経験談)
【成功率上昇!】空飯オススメ!救命士の為の静脈路確保【写真で解説】
左(上) 1本指法(空飯勝手に命名)
右(下) 2本指法(空飯勝手に命名)
上記の写真のやり方がいろんな失敗を経て空飯がたどり着いた方法です。
カウンタートラクションをかけ続けられるので高齢者でシワのある人や、血管が逃げる人に効果抜群!
できれば1本指法で確保したいです。
「外筒が進まない。人差し指がスカってしまう。」
そんな時は2本指法で!
【おまけ】静脈路確保で神経損傷を疑う3つの症状と所見
- 穿刺とともに激しい痛みをともなう
- 「ビリッ!」と電気が走ったような訴え
- 留置針固定後も痛みが継続している
CPAでは意識がないのでわかりません。
しかしCPA前の静脈路確保は上記を聞くことが重要です。
3つのうちの1つでも訴えていたら医師に報告しましょう。
また、手首から約10㎝は神経損傷のリスクがとても高い部位です。(橈骨神経浅枝神経損傷)
まとめ
救命士は病院の医療従事者と違いどうしても経験の差が出てしまいます。
看護師などは毎日何回も何十回も静脈路確保を行う中、救命士は現場での静脈路確保は年間多くて数十回、大体の人は数回の経験のみです。
これが成功率が上がらない最大の原因だと思います。
看護師さんに「ルートキープのコツは?」
と聞いたことがあります。
すると、みんな口をそろえて「経験回数かな。」とのこと。
たしかに、人形の刺しやすい血管と比べると生体は全然違います。
ですから動画などでイメージトレーニングを繰り返すことが成功率を上げるための近道となると思います。
私自身イメージトレーニングを繰り返すことで成功率が上がりました。
動画はY字の血管手前エントリーをしていますね。
激熱パターンですね!実際こんな血管があれば優先して選択しましょう!
外筒の進め方は右手第2指の「1本指進め」パターンです。(空飯は左手の第1指も使います。(「2本指進め」))
これらの動画を活用してイメージトレーニングをし、病院実習で実際に静脈路確保を成功させてください。
もちろん、看護師さんは非常に高い技術を有してますのでコツやポイントを聞くことも忘れずに!
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コチラの記事では特定行為指示要請を効率よく学べます。
練習方法を詳しく記載!
追伸
他にもコツや有益な情報があればこの記事にどんどん追加していきます。
「私はこんなやり方で成功率があがったよ!」っていう人は下のコメント欄からお願いします。
静脈路確保では細かな資器材の数が多いです。
自分のなかで○点あると決めておいて、点検直前に数を数えると忘れ物が減ります。
また、実際の現場では朝の車両点検時に資器材を確認していると思います。
現場で活動しやすいように配置しておくことが大切です。
酒精綿は予想外のアクシデントに対応するために必ず複数枚用意しましょう。