こんにちは、空飯です。
救命講習に行くとAEDについての質問をよく受けます。
町内会などでは「AEDを購入するのとレンタルではどちらがお得?具体的にいくらぐらい?」
プール監視員の講習会では「プールから助け出した後、AEDを使用したいが感電が怖い。感電の恐れは無いの?」
また、老人福祉施設では「ペースメーカーを埋め込んでいる入居者にも使えるんですか?」
などといった質問を受けます。
今回はよく受ける質問に対する回答と、便利で活用できるツール・動画などを紹介します。
もくじ
よく受ける質問【AED編】
そもそもAEDって何の略?
AEDとはautomated external defibrillator(オートマイティッド エクスターナル デフィブレイター)の略で日本語に訳すと自動体外式除細動器です。心臓のリズムをコンピューターが自動的に調べ、除細動(電気ショック)が必要かどうかを判断してくれます。
救助者が1人だけで応援がいない場合でもAEDを取りに行くべきか?
救助者が1人しかいない場合、AEDが近くにあることがわかっていれば、いったん傷病者のもとを離れてでもAEDを自分で取りに行きます。
AEDがどこにあるかわからないときはAEDを探すために、時間を費やさないようにします。
出典 http://www.city.yokohama.lg.jp/shobo/qq/teate/qa.html#a14
公衆の面前で傷病者の胸をはだけてもよいか?
心肺蘇生は衣服をつけたままでも可能ですが、 AEDのパッドを貼るさいには、必ず傷病者の胸をはだけなければなりません。
公衆の面前であっても救命のためにはやむをえませんが、できるだけ人目にさらさないような配慮が望まれます。
出典 http://www.city.yokohama.lg.jp/shobo/qq/teate/qa.html#a14
子供に対してAEDを使っても良いか?
使っても大丈夫です。ただし、パッド同士が触れ合わないように注意します。
貼る位置はイラスト通りでもいいですし、難しいなら胸部と背部に貼っても構いません。
小学生からは成人パッドを使用し、未就学児にはできれば小児用パッドを使用します。
なければ成人用パッドを使用します。ただし、成人に小児用パッドを使用してはいけません。
エネルギーが不十分となるからです。
乳児や新生児についてもAEDは使用可能です。
こちらも小児用パットを極力使用し、なければ成人用を活用します。
AEDの電圧・電流はどの程度か?それはどのくらいの力なのか?
電気ショックに利用される電圧は1200~2000V程度、電流は30~50A程度、電気が流れる時間は数ミリ~十数ミリ秒程度。
ジュールだと150J。
たとえると15.3キログラムの物体を1メートル持ち上げる仕事。
たとえるなら50キログラムの物を30センチの高さから落とし、床に加えられたエネルギーに相当する。
この質問はよく受けますが、正直回答しづらいのが本音です。
なぜならば、例えが抽象的だからです。
一般の皆様には上記のうような説明でいいかと思います。
AEDを買うならいくらかかる?レンタル料は?
これも多い質問です。
AED設置を真剣に検討している人が多いということでもありますからありがたいことですね。
購入すると本体が約34万円。
7年使用するとしてランニングコストはパッドは2回交換で18,000円。
バッテリー1回交換で36,000円。
合計で394,000円の費用が掛かります。
レンタルだと月々の支払いが5000円で7年度で420000円の費用が掛かります。
個人的な考えではレンタルの方が維持管理の面で楽なのでよいと思います。
将来的に新しい機種が出てきても替えることができますしね。
下のサイトから具体的な料金を調べることができるので良ければご活用ください。
この街にはどこにAEDが設置されているの?
事前に有名な場所や人の集まる建物をリサーチし、答えられるようにしておきましょう。
私は管内のAED設置場所を一覧にして救命講習時に持参しています。
電気ショックが必要になるのはどのような状態か?
心室細動(VF)と無脈性心室頻拍(pulseless VT)です。
心室細動とは心室を構成する多数の心筋繊維が無秩序に収縮・弛緩を繰り返すため、心臓全体として秩序だった収縮が起こらず、血液ポンプとしての機能が失われて心停止となった状態。
傷病者の胸が濡れているとき
濡れている場合は表面をタオルでふき取ってからパッドを貼ります。
地面が濡れていたとしても感電の恐れはありません。
自分もそうなるんじゃないかと昔思ってました。
しかし、貼る体表さえ拭き取っていれば感電はしません。
濡れていると体の表面を電気が走ってしまい、効果的な電気ショックをかけることが出来ません。
ですから、濡れている場合はしっかり拭き取りましょう。
AED本体にタオルが入っているはずなので活用してください。
AEDにタオルが入っているのはどうやらオプションみたいです。
多くのAEDには電極パッドしか入っていないのが現状です。
プールなど濡れる可能性が高い施設にAEDを設置する場合は、タオルを自主的に入れましょう!
ご指摘くださった読者様にこの場を借りて感謝申し上げます。
参考
胸に貼り薬がある場合
はがしてふき取ってからパッドを貼ります。
薬剤が残っている場合はしっかり拭き取ってください。
心臓ペースメーカーや除細動器が胸に埋め込まれている場合
出っ張りをさけて貼ります。真上に貼らなければ問題ありません。心臓がはさむ形になっていれば左鎖骨下と右側胸部に貼り付け(逆に貼り付け)ても問題ありません。
AEDがどこにあるかわからない時は優先すべきは?
救助者が1人しかいない場合、AEDが近くにあるのがわかっていればいったん傷病者の元を離れてもAEDを取りに行きます。AEDがどこにある変わらない時は探すために時間を費やさないようにしましょう。
理想は人にAEDの手配を依頼することです。一人の場合は携帯電話で119しながらAEDを取りに行きましょう。
電気ショックを行う時傷病者からどのくらい離れると良い?
傷病者に触れていなければ電気ショック時に感電する危険性はないが、ショックボタンを押す人が安全を確認でき、かつ誤って傷病者に触れることのない程度に離れておきます。
要は直接触れなければ感電の恐れはないです。地面が濡れていても感電はしません。
心肺蘇生法テキストを無料でもらえちゃう!?
心肺蘇生法の確認についてはこちらのテキストがとても参考になります。
実はこの本、無料で手に入れることができます。
もちろん消防職員の皆様にも使える内容となっています。
救命講習で使える動画
心肺蘇生の手順を忘れてしまった場合はどうする?
119通報すると手順を教えてくれます。
YouTubeで「だれかきて」と検索すると一番上に心肺蘇生法の動画が現れます。
これを活用するのもいいかもしれません。
出典 https://www.youtube.com/watch?v=h2TO2bfR4mo
実際に心肺蘇生やAEDを使っている動画や映像はある?
あります。下の動画を活用してください。
出典 https://www.youtube.com/watch?v=88uCTEmuuGI
まとめ
いろいろと疑問に思うことが多いかもしれませんがまずは119通報すること。
そして胸骨圧迫が大事だということを教える側も学ぶ側も理解することが大切です。
一番大切なのは胸骨圧迫です。
AEDだけを使用しても効果的でないことを消防職員は説明しましょう。
また、教える相手によっても内容は変わります。
どこに重点を置くのか意識する必要があるのです。
例えば老人福祉施設なら「異物除去」「こんな症状の時は救急車を早く呼ぶ」「職員同士で連携を強化する」といったことを重点的に教えるといいと思います。
他にもプールの監視員なら「溺れた人の対応」「人工呼吸が大切」「AEDを使う時は体表を拭く」
保育園なら「予防が大切」「異物除去」「人工呼吸」
など、職業や相手の環境も考慮した救命講習をすると、より相手も学習に身が入るのではないかと思います。
こちらの記事ではAEDの使い方を詳しく説明しておりますので参考にしてください。
死戦期呼吸の説明と動画です。
…とありますが、一般の人に同じように説明してもチンプンカンプンです。
なので私は
「心臓君が死にそうでパニックになっていて仕事ができない状態です。そこでビンタ(電気ショック)して我に返らせるのがAEDの役目です。」
と説明します。
もちろん死にそうなんですからビンタで我に返っても元気が出ません。
そこで胸骨圧迫で栄養を送ってあげましょう。
と説明しています。
これがいいか悪いかは微妙ですが、一応「わかりやすい」と好評です。