心電図の読み方のコツを徹底的に解説します!
いつもと違うQRS波形を見てどこが異常か、何の波形が出ているか理解できてますか?
救急隊員や看護師が覚えておくべき心電図波形をここにまとめ、わかりやすく解説します。
特に救急隊員にわかりやすく、かつ、役立てるように記載しました。仲間や後輩などにシェアしていただければ幸いです。
ちなみに
救命士の資格を取りたい看護師さんにおすすめの記事↓
もくじ
心電図波形異常を判断する6つのコツ!
まずはじめに、心電図をパッと見て異常があるかどうか判断するのが大切です。そこで異常かあるかどうか判断するには6つのポイントがあります。
- 正常なQRSを覚える
- R-R間で不整がないか
- P波があるか
- 違う形のQRSが混在してないか
- STの位置は正常か
- T波の高さは正常か
この6つのポイントを素早く判断することが救急関係者には求められます。
- 1番はまず基本です。下記の心電図の見方の項目で基本を覚えるといいでしょう。
- 2番は私は人差し指と中指でR-R間隔を測り、判断してます。
- 3番はP波の有無です。Afなどを判断できます。
- 4番は期外収縮の存在確認です。形が1種類か数種類かも確認します。
- 5番はST上昇、下降を判断します。心筋梗塞のときなどは上下します。判断は基線より高いか低いかです。
- 6番はT波が高かったり、逆になってないかを判断します。Rの1/2以上の高さになっていたら増高と判断します。逆になっていたら冠性T(心筋梗塞の2日後あたりから出現)の可能性があります。
心電図の見方
基本となる心電図波形です。
出典 救命士テキスト
P波とは
出典 救命士テキスト
幅の正常値は0.06~0.10秒(3枠以内)電位0.3mV(3枠)以下
P波の見方
①第Ⅱ誘導を見る。
②V1を見て異常がなければOK!
※逆に、第Ⅱ誘導で異常があれば、必ずV1も確認する。
引用 やってみよう心電図
P波消失=正常な心房収縮がない洞房ブロック 心房細動(F波)の可能性あり
P波が大きいと心肥大の可能性がある
PQ(PR)間隔とは
出典 救命士テキスト
PQ間隔は心房の伝導時間
細かくいえば、洞結節から房室結節に興奮の波が伝わり、房室結節で少し休み、ヒス束を通って心室上部に達するまでの時間。
p波の終わりからQRS波のはじまりまでの間隔は0.20秒未満(印刷した場合,細かな枠が5つ)
正常だと0.12~0.20秒
PQ間隔の短縮はWPW症候群の可能性(デルタ波)
PQ間隔の延長は房室ブロックの可能性
PQ間隔0.20秒以上だと第1房室ブロックとなる
しかし、実際の心電図ではこのQ波が出る場合が非常に少ない。
そのため、今は世界的にPR間隔というように変わってきました。
QRS波
出典 救命士テキスト
QRS波は心室の収縮(脱分極)
下向きの部分をQ波・上向きの部分をR波・下向きになる部分をS波
必ずしもQ波, R波,S波のすべてが揃うわけではない。異常Q波出現の場合は心筋梗塞が疑われる。
異常Q波とは…R波の高さの1/4以上の深さ、もしくは、Q波の幅が幅が0.04秒(1目盛り)以上。
QRS波の正常値
幅:0.06~0.10秒
R波の高さ:11mm以内(Ⅰ誘導) 16mm以内(Ⅱ誘導) 26mm以内(V5誘導)
脚ブロック・心室頻拍(VT)・心室性期外収縮などはQRS波の幅が広くなる。心室内伝導障害(主に左冠状動脈主幹部の狭窄)を示し、心室細動(VF)へ移行する危険性がある
幅が0.12秒以上の場合は「幅の広いQRS波」と判定する。(細かな枠が1つで0.04秒なので約3枠)
Rが高い(電位の増大)…心室肥大・拡張
Rが低い(低電位)…びまん性冠動脈疾患・心不全など
T波とは
出典 救命士テキスト
T波は心室の拡張(再分極)。心室興奮の回復。
- T波の高さ:P波の1.5倍、R波の1/2~1/8
- T波の形:初めの2/3が上向き、あとの1/3が下向き
心筋梗塞急性期・高カリウム血症…T波が増高(Rの1/2以上の高さ)
高カリウム血症…P波消失後T波が増高し、QRSが広がる→VFに移行する危険がある
逆転T波…びまん性心筋虚血を示すことが多い。広く深い逆転T波は脳血管障害時に出現することがある
T波について徹底的に詳しく解説した記事を作成しました。
6種類のT波異常波形を詳しく説明していますので興味のある方は参考にどうぞ↓
STとは
出典 救命士テキスト
QRS波の終わりからT波のはじまりまでの平坦な部分をST部分と呼ぶ。正常では基線と同じ高さ。
ST上昇…心筋梗塞・不安定型狭心症
ST下降…心筋梗塞・狭心症
QT間隔とは
出典 救命士テキスト
QRS波のはじまりからT波の終わりまでの間隔
QT延長症候群(先天性心筋障害・薬剤影響が原因)
QT間隔延長→心室細動・心室頻拍発生率上昇
また、QT間隔が長いと心臓の収縮力が落ちている
基線とは
出典 救命士テキスト
心電図波形のうち,心筋の電気的活動が停止している時期に相当する部分を基線と呼ぶ
STの上昇・下降を判断する際の基準線
通常はT波の終わりからP波のはじまりまでの平坦な部分を基線とする
頻拍、かつ、平坦な部分が認められない場合
→ p波の終わりからQRS波のはじまりまでの部分を基線としてもよい
U波とは
引用 やってみようよ!心電図
救急隊にあまり縁のないU波。
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ誘導ではほとんど確認できない。
十二誘導のV2、V3で出現する。
陰性U波はすべて異常。
U波の高さはT波の高さの1/2を越えないのが正常。
U波増高…動脈硬化 心室の拡張期負荷 電解質障害 低カリウム血症
U波陰性化・平坦化…重症の冠疾患 高度左心肥大
※低カリウム血症 U波増高+ST低下 T波平低化 T波陰性化
胸部誘導の陰性U波は左室肥大や左前下行枝領域の虚血でみられる
それは心電図を世界で初めて記録したオランダの生理学者・アイントーフェンが決めました。
「ABCは数学でよく使われるし、Oは0と間違えるからやめよう」
そしてあまり意味のない「P」から始まり、QRS、T…となりました。
心電図の貼る位置と各誘導の対応波形
出典 救命士テキスト
除細動パットと貼る位置が同じ右鎖骨下から「あ・き・み」と覚える。
救急隊は基本Ⅱ誘導で観察する。
理由はもっとも波形がしっかり観察できるから。
心筋梗塞を疑った場合は誘導の切り替えや感度の切り替えを行う。
何らかの事情で、上の図のように貼れない場合、手首や肩に張り付けても大丈夫です。
おでこに貼り付けても出ますので試してみてください。
出典 http://www.cardiac.jp/view.php?lang=ja&target=ecg_style.xml
上の図は各誘導ごとの見る向きを示している。
たとえばⅡ誘導であれば緑から赤に向けて観察していることになる。
つまりは左側胸部から右鎖骨化に向けて。
すなわち、心尖部から心臓の動きを見ている。
あのね、あのね。
Ⅱ、Ⅲ誘導は下の緑(尾側)から心臓を見上げる形で(頭側へ)観察しているんだよ。だから下壁梗塞の時にST異常がⅡ、Ⅲ誘導に出るの。
救急隊が基本的に使用しているⅡ誘導は心臓を心尖部から見る誘導。
特徴として波形が最も明瞭に表れる。
【救急隊】電極を貼る際の6つの注意事項!
電極を貼る際に注意したほうがいい6選です。
- 女性に配慮する
- 高齢者は皮膚が乾燥していることがある
- 貼る位置に障害がある
- 震えている
- 電気毛布の使用
- 3点電極と除細動パッドの併用可
この6つを注意する電極を貼ることによって起こるトラブルを未然に防げます。
1番は「心電図を貼ってもいいですか?」などと質問し、承諾を得ることが大切です。貼る際も最小限の露出に心掛けましょう。
2番は酒精綿で貼る箇所を拭くと解消できることがあります。
3番は出血や傷、寒いと言った理由から通常の部位に貼れない場合があります。
そんな時は肩や手、足に貼りましょう。
ちゃんと心電図は出ます。
しかし、感度が悪くなるので倍率をあげる必要があります。
また、筋電図が混入しやすくなるデメリットも。
4番は保温してシバリングを解消しましょう。
5番はアーチファクト(交流障害)の原因となります。電気毛布の使用をやめましょう。
6番は3点電極を貼った状態でも除細動パッドを貼り、除細動を使用できます。
ただし、3点電極の位置とずらしてパッドを貼る方が良いでしょう。
心電図を見ずらくする4つの「アーチファクト(人工産物・ノイズ)」
出典 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1260
1交流障害
例 電気毛布
出典 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1260
2電極の外れ・接触不良
いきなり心静止はコードを確認!
出典 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1260
3筋電図
寒さや緊張で患者が震えると出現する。寒さには保温を実施。手など体幹から離れた動きやすい部位に3点電極を貼った場合は動きにくい体幹に貼り直す。
出典 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1260
4体動や呼吸に伴う基線の揺れ
腹部に貼る、胸部の真上に貼る
出典 http://www.cardiac.jp/view.php?lang=ja&target=monitor_lead2.xml
NASA誘導とは筋電図の混入が最も少ない誘導法。
波形はV2と同様の波形が観察できる。
赤を胸骨柄、緑を剣状突起に貼り付ける。P波が確認しやすくなり、上室性期外収縮、房室ブロックに強い。
梗塞の部位とST上昇が出現する誘導一覧表
救急隊が使用する標準双極肢誘導(ECG)Ⅱ、Ⅲ誘導では下壁梗塞時にSTの上昇を観察できる。
ちなみにⅠ誘導では広範囲前壁、側壁、高位側壁でST上昇。
十二誘導心電図の貼る位置
出典 救命士テキスト
- V1 第4肋間胸骨右縁
- V2 第4肋間胸骨左縁(最初に貼って基準にすると良い)
- V3 V2とV4の中間
- V4 第5肋間左鎖骨中線
- V5 V4と同じ高さで左前腋窩線
- V6 V4と同じ高さで左中腋窩線
第二肋骨は胸骨柄(きょうこつへい)から尾側、胸骨角(胸骨柄と胸骨体の間のでっぱり)に付着。
そこから第4肋間を調べる。
【救急隊最重要!】4種類の心停止波形
救急隊の活動を大きく変える心停止の心電図波形です。
必ず覚え、次に何をするのか完全に理解する必要があります。
CPR、除細動の必要の有無を判断できるようにしておきましょう。
心室細動(VF)
VENTRICULAR FIBRILLATION出典 救命士テキスト
もっとも危険な不整脈です。危険というか心肺停止状態
除細動の適応
心室が無秩序に興奮し、心電図ではP、 QRS、 T波いずれも認められず,心室細動波を示す状態
観察のポイント
特徴は不規則な基線ゆれ、ぐちゃぐちゃ。
心電図だけでなく傷病者の生命徴候を観察することが大切です。
意識がなく、気道確保しても呼吸がなくこの波形ならそれはVFである可能性が高いです。
逆に意識があり、呼吸もしているのにこのような波形がある場合は別の原因が考えられます。
振動や筋電図のアーチファクトなど。
また、死戦期呼吸を呼吸ありと間違って判断しないように注意が必要です。
※いきなりこの波形になったら意識、呼吸、脈の確認!なければCPRと除細動!
注意する点は車の振動でもこれに似た波形を示すことです。特に山道や積雪のある道では出現しやすいです。除細動の判断は停車して行う
心室細動にはAEDの電気ショックが必要不可欠です。設置や購入を検討している方はこちらから見積もりを取れるので参考にしてください。
無脈性心室頻拍(VT)
ventricular tachycardia
単形出典 救命士テキスト
心拍数は100~250/分でQRS幅が広い。
同一のQRSの形状をした頻脈性不整脈脈が有るタイプ、脈が無いタイプがある。
脈が無いタイプは救命士除細動適応
心室細動と異なり規則的な頻拍。
この波形が出たら意識確認と総頚動脈の確認!
総頚動脈が触れなければCPRと除細動!
多形出典 救命士テキスト
トルサドポワン型では心拍数は単形性心室頻拍よりも速く通常200~250/分
多形性心室頻拍の1つで心電図上QRS軸が捻じれるように変化する
単形性より心室細動に移行しやすく危険
QT時間の延長を伴っていることが多い
- 幅の広いQRS波が連続
- 心拍数は150~250回/分
- RR間隔は規則正しい
- QRS幅は0.10秒(3マス)以上
主な原因疾患は虚血性心疾患、拡張型または肥大型心筋症、弁膜症、冠動脈疾患
心静止(Asystoleエーシストール)
出典 https://note-nurse.com/sinteisi/
- 波形は平坦で、心臓は電気的に活動していない状態。
- 通称「エイシス」
- CPAなのですぐにCPRが必要!除細動の適応外。
- 通常の心電図からいきなりこの波形になったら気をつけないといけないこと。
- ↓
- コードの抜けや電極が剥がれてないかチェック!
フラット!しかし、コードも電極も異常はない。
無脈性電気活動(PEA:pulseless electrical acti)
出典 http://ops.umin.ac.jp/ops/tech/071122ECG_kisa/800pix/zu10.jpg
この図が一番PEAを表していた!
心電図上はQRSのような波形を認めるが、有効な心拍動がなく総頚動脈の触知ができない状態。
総頚動脈の触知の観察が大事!総頚動脈触れなければCPA、CPR開始!
除細動の適応外
※PEAは心電図波形の名前ではなく「電気信号は出ているが、心臓は止まっている傷病者の状態」を表す言葉。
観察のポイント
意識、呼吸、脈はないのにQRSのような、何らかの心電図波形がある
(ただし心室細動、無脈性心室頻拍は含めず)場合、PEAと判断する。
危険な心室性期外収縮
多発性心室性期外収縮(二段脈)VPC PVC
premature ventricular contraction出典 救命士テキスト
期外収縮が1拍おきにみられる。
胸痛などが認められれば危険なタイプ。
先行P波を伴わない幅広QRS (心室性期外収縮:矢印)が1拍おきにみられる。
ちなみに期外収縮がQRS1拍おきに出現することを2段脈という。
2拍おきだと3段脈という。
多源性心室性期外収縮
出典 救命士テキスト
形の異なる複数の期外収縮がみられる。
形の異なる心室性期外収縮(矢印)がみられる。
主な原因疾患は心筋梗塞・非常に重篤な心臓病・ジギタリス中毒など。
心室性期外収縮連発(ショートラン)
期外収縮が3連発以上発生している。
主な原因疾患は急性心筋梗塞・心筋症・電解質異常・重篤な心臓病など。
心室性期外収縮(矢印)が連発している。
期外収縮が3連発以上連続するとショートランと言って心室細動に移行しやすく、危険。
R on T
出典 救命士テキスト
T波に期外収縮QRS波が重なっている。
主な原因疾患 急性心筋梗塞 重篤な心臓病など。
先行する心拍の丁波の頂点にかかった心室性期外収縮(矢印)をRonTといい、これをきっかけに心室頻拍が起きている。
つまり、VFやVTに移行しやすくとても危険な波形。
出典 救命士テキスト
RonT型は心電図上のT波の上行脚から頂点にかけて心室性期外収縮が発生するもので、心室細動に移行しやすい。
心室細動に移行しやすい不整脈
- 心室頻拍(とくにトルサドポアン型心室頻拍)
- 多源性心室性期外収縮
- RonT型心室性期外収縮
- ショートラン型心室性期外収縮
- QT延長症候群
主な不整脈
出典 救命士テキスト
[ad#co-3]代表的な不整脈
洞性頻脈( tachycardiaタキカルディア)
出典 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2183
一言でいうと正常な頻脈。
かなり使用頻度が高いです。
タキカルディアなので、現場ではよく「タキってる」と表現されます。
頻脈(100回/分以上)でかつ、PQ間隔、QRSの幅が正常。
波形に異常がなく、頻脈だと心電図記載欄には「洞性頻脈(拍)」と記載します。
頻脈性不整脈についてはこちらも参考に
【3分で心電図】”頻脈性不整脈”を図解しました! pic.twitter.com/NFKa9Fe7U8
— くま@心電図解 (@ecgkuma) September 11, 2021
Twitter くま@心電図解 (@ecgkuma)さんより
洞性徐脈(bradycardiaブラディーカルディア)
出典 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2183
一言でいうと正常な除脈。
洞性頻脈同様、かなり使用頻度が高いです。
ブラディーカルディアなので現場ではよく「ブラディー」と表現されます。
徐脈(60回/分未満)で、PQ間隔、QRS幅は正常。
波形に異常がなく、徐脈だと心電図記載欄には「洞性徐脈」と記載します。
洞不全症候群(sss)
出典http://naikacenter.com/ginzamed/tisiki/disease/answer/sss.gif
画像は洞停止
除脈と頻脈が交互に現れる
主な原因疾患 虚血性心疾患 心筋症
ペースメーカ(異所性ペースメーカ)適応
洞結節がその機能を障害され,正常のペースメーカとして働かなくなった状態のことをこう呼ぶ(病的洞症候群とも呼ばれる)。
洞結節がペースメーカの場合よりも遅い。
このため心臓全体の拍動は徐拍となる。
心房細動(Af)
出典 救命士テキスト
出典 http://ameblo.jp/t-y-ki/image-11750774161-12815017320.html
救急隊にとって判断が難しいが、重要になる波形。
判断を悩ます理由に救急車の振動による基線の揺れ、寒さによる筋電図、心電図モニターの感度問題などで、病院以上に波形の判断は難しい。
Afがあるかないかは医師がとても気にします。
なぜなら、脳血栓症や静脈血栓塞栓症、出血の原因などの根拠につながるからです。
R-R間隔が不整の時はP波を探しましょう。
F波があり、P波が確認できなければ「Af」と判断しましょう。
- 基線に不規則な速く細かい波形(F波)がみられる
- QRS間隔が不規則(絶対不整脈)
- P波の判断が不能
心房が心房内で発生した刺激に応じて頻回に無秩序に興奮収縮を繰り返す状態。
P波が消失し細かい鋸状の心房細動波(f波)の連続を認める。
QRS波の間隔はまったく不規則。絶対性不整脈と呼ばれる。
高度の頻脈あるいは徐脈になると心不全状態となる。
↑これは空飯の自己紹介マンガにも出てきた場面ですね^^
左房内に血栓を形成しやすい(ワーファリン(抗凝固薬)を服薬していることが多い)
Af→ワーファリン→出血が止まりにくい
つまり、Afであれば出血が止まりにくい可能性が高い。
Afは高齢者、虚血性心疾患、高血圧、心筋症などでみられる
血液をサラサラにする薬を大きく分けると「抗血小板薬」「抗凝固薬」「血栓溶解薬」の3種類がある。
これらをまとめて「抗血栓薬」という。
傷病者には「血液をサラサラにする薬を飲んでますか?」と聴取するのが良い。
病院連絡の際は「血液をサラサラにする薬」or「抗血栓薬」のどちらの報告でも間違いではない。
例「血液をサラサラにする薬を服薬しているとのことです。」「抗血栓薬の服薬ありのようです。」
更に詳しい説明はこちら↓
『ワーファリン』と『バイアスピリン』、同じ血液をサラサラにする薬の違いは?~抗凝固薬と抗血小板薬
心房粗動(AF AFL)
出典 救命士テキスト
- P波消失
- のこぎり状の基線(F波 鋸歯状波きしじょうは)が規則的に出現
- R-R間隔が比較的規則正しい
主な原因疾患 心疾患 糖尿病 高血圧
ウェンケバッハ型(Ⅰ型)第2度房室ブロック
出典 https://note-nurse.com/avb/#titel3
PR間隔が徐々に延長し、QRS波が突然消失する。
主な原因疾患 ジギタリウス中毒 虚血性心疾患 下壁急性心筋梗塞など
モビッツ型(Ⅱ型)第2度房室ブロック
出典 https://d2ru15545x8kx9.cloudfront.net/uploads/image/image/6917/fu43
PR間隔は正常でQRSが突然消失する。
主な原因疾患 伝導系の疾患 前壁心筋梗塞など
アダムストークス発作、心停止に注意!
第3度(完全)房室ブロック
出典 救命士テキスト
心臓の自動能がどこから信号を送るかでレートやQRSの幅に違いが出る。
房室結節 約40回/分
脚・プルキンエ繊維 約30回/分
洞結節は1分間に50~150回、房室接合部(房室結節・ヒス束)は40~60回、脚・プルキンエ線維は30~60回の頻度で、周期的に発生する自動能をもっています(図16)。この頻度は、そのときの状況で変わりますから固定されたものではありません。
参考https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1660
出典 http://ameblo.jp/ctopci3/image-11097003263-11650365803.html
心房と心室がそれぞれ無関係に収縮する3度(完全)房室ブロック
- P波とQRSは規則的に出現しているが全く独立して発生
- 50回/分以下の除脈であることが多い。
主な原因疾患 虚血性心疾患 心筋症など
アダムストークス発作、心停止に注意!
ペースメーカの適応
徐脈性不整脈についてはこちらも参考に
【3分で心電図】”徐脈性不整脈”を図解しました! pic.twitter.com/Us65VMiM9D
— くま@心電図解 (@ecgkuma) September 9, 2021
Twitter くま@心電図解 (@ecgkuma)さんより
WPW症候群
出典 http://health.merrymall.net/cw80_23_0001.html
Afなど致死的でない不整脈でも容易に心室に伝わり心室頻拍に似た頻拍となり致命的となることがある。
ケント束を電気的に焼灼する(アプレーション)ことも行われる。
発作性上室性頻拍(約80%)の合併が多く動悸や胸痛を生じる。
発作性心房細動(約20%)を合併し、心室細動に移行することもある。
観察のポイント
- デルタ波(⊿)出現
- PQ間隔短縮
- QRS間隔延長
2017.9.18追記
先日、主訴が「動悸」の救急事案に出動。
既往歴に発作性上室性頻拍がありました。
接触時は脈は170回/分。
病院到着時には97回/分に落ち着く。
先生に接触時の心電図を見てもらうと
とのこと。
このことから動悸、頻脈ではWPW症候群も疑う必要があることを学びました。
WPW症候群では動悸、一過性意識消失(LOC)を繰り返したり、PQ短縮、デルタ波、QRS延長などが出現したりします(全てが出現するわけではない)
発作性上室性頻拍(PSVT)
出典 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1856
P波が確認できない。
R-R感覚は一定だが、頻脈。
心室よりも上(心室は心室頻拍)から発生する不整脈。
いきなり始まったかと思うと、いきなりとまるという特徴があります。
イメージ的にはしゃっくりです。しゃっくりと同じで冷たい水に顔をつけるといった迷走神経刺激で止まることもあるそうです。
通常160~200回/分の頻拍になるそうです。
QRS幅が広ければ心室頻拍を疑いましょう。
QRSがワイドということは心室に原因がありそうです。
危険度は急上昇で緊急度が跳ね上がります。
心筋梗塞3つの心電図変化
出典 http://heart-clinic.jp/swfu/d/61
- ST上昇
- 異常Q波
- T波陰性化(冠性T)
ST上昇(直後~数時間)→異常Q波(数時間~12時間)→T波陰性化(冠性T)(2日後)
心筋梗塞になった人は生涯異常Q波が残る→異常Q波を見つけたら「心筋梗塞したことあります?」と聞くこと!
救急隊の12誘導心電図について
救急隊の方が伝送システムに携わる際、急性心筋梗塞を判断するために必要なことを図解にまとめました。
1. 電極を付ける位置
2. どの誘導でどこを見ているのか
3. 2.を波形で確認
4. どうなってたら心筋梗塞か→医療機関へは「〇〇の誘導でST上昇しています」って伝えたらいいみたいです✍️ pic.twitter.com/6dgmFz3GgE
— くま@心電図解 (@ecgkuma) August 31, 2021
Twitter くま@心電図解 (@ecgkuma)さんより
12誘導心電図の判読
Twitter くま@心電図解 (@ecgkuma)さんより
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— くま@心電図解 (@ecgkuma) September 20, 2021
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まとめ
救急隊は医師のレベルで「これは○○だ!」と判断し、医師に伝え、もし誤っていると信頼を失います。
客観的に伝えることが大切です。
知識として心電図はとても大切です。
しかし、緊急を要する現場で瞬時に判断するのは困難を極めます。
まずはR-R間隔と異常な波形が出ていないかを確認して病院連絡に活かしましょう。
もちろんVFやVTは別物です。
確実に対応しましょう。
更新 (2017年4月30日 )(2017年9月18日)(2017月10月16日) (2017年10月31日)(2017年12月20日) (2018年1月15日)(2018年1月16日)(2018年2月19日)(2021年9月11日)(2021年9月25日)(2021年11月19日)
参考
お薬Q&A 〜Fizz Drug Information〜
看護師学習ノート