こんにちは、救命士学習塾講師のHARUです。
僕も塾長と同じで救急救命士東京研修所(エルスタ)の卒業生です。
救急救命士の運用が始まってから10年以上のキャリアを持ちます。
今回は”脈拍測定の極意”について語ろうと思います。

って単純に思ってしまうかもしれません。

実は、脈拍を測定したときに
①数値から分かるもの(モニターから)
②触診するから分かるもの
があります。
もしかしたら、脈拍の観察って聞いたら、脈拍数しか思いつかない人もいると思います。
しかし、安心してください!!この記事さえ読めば、「あなた」も脈拍測定マスターです!!
今では資器材の発達で、「脈拍測定って簡単」って思われる要因として、パルスオキシメーターや手首血圧計、モニターなどで脈拍数が簡単に出てしまっていることです。
各種モニターからでは読み取れない、触診の脈拍測定法のポイントをお伝えします。
参考にしてみてください!!
※パルスオキシメーター:SpO2値を測定するために指先につけるもの
・脈拍の観察方法を知りたい人。
・脈拍を観察することで得られる傷病者の状態を知りたい人。
・脈拍が正常範囲内でなかった場合、どんなことに気をつけたらいいか知りたい人。
・【脈拍測定の極意①】まずは基本!!観察方法は触診の場合、6の倍数にします。
・【脈拍測定の極意②】指は示指、中指、環指で測定します。
・【脈拍測定の極意③】脈拍はすぐに生体変化が出るので頻脈に注意。
・【脈拍測定の極意④】ショックかどうか見極めます。(脈圧が弱くなります)
・【脈拍測定の極意⑤】脈拍で不整脈かどうかを見極めます。

脈拍測定って、実際どんなことに注意しているのかな??
実際、どこに着眼点があるのかってわからなくて・・・。
私が、見ている限り「ただ数を数えているだけ」って思ってしまうんだよねー??

そうなんだ!!どんな観察でも着眼点が必要なんだよね。
脈拍で重要なのは、脈拍の回数や強さで、どんな病態なのか推測することなんだ!!

ただ測定していたら、「脈拍数は120回/分だねー」みたいな感じになっちゃうよね?!

そうだね!!今回は、ただ脈拍を計測をしていたってことより、一歩踏み込んで、その回数が何を示しているのかを読む取れるようにまとめていこうと思います。
この記事は、【脈拍測定の極意】について5つにしました。
解説していくね!!
目次
【脈拍測定の極意①】まずは基本!!観察方法は触診の場合、6の倍数にします。

血圧測定の回数は6の倍数になります。
なぜなら、脈拍を触診で観察する場合10秒で観察を行い、6倍して1分間の回数を出すからです。
それなので、脈拍の回数は、60回/分、66回/分、72回/分・・・というようになるのが普通なのですが・・・(笑)

僕が隊長で出場したとき、現場で隊員に脈拍測定をお願いしました。
この隊員は、また、2年目の職員でした・・・。


お、おう・・・。(絶対てきとーに取ったなーーー!!)
今度は俺が脈拍を取るから、体温測定してくれるかな??
ってことがありました。
つまり、脈拍は通常10秒観察を行うので、6の倍数から外れること、奇数になることは絶対的におかしいのです。

病院で申し送りを受けるドクター

ってことで病院の信頼も損ねます💦

例えば
①10秒観察なら6の倍数
②15秒観察なら4の倍数
になるように数値を合わせてください
脈拍を触診で行う場合、根拠をもって観察してください
①10秒観察を行うなら6の倍数
②15秒観察を行うなら4の倍数
に計測数値を合わせましょう!!
【脈拍測定の極意②】指は示指、中指、環指で測定します。

脈拍の触診は、示指、中指、環指で行います。
なぜなら、指三本で計測することで、測定範囲を広く取れるからです。


それは、観察されやすい血圧で心臓から送られてきているからです。
しかし、ショック症状の人を想像してみてください。
ショックの人は血圧が低くなっているため、「脈拍が弱く」なっています。
その人に脈拍を取ったらどうでしょうか??
「脈拍が分かりにくくなっている」と思います。
それなので、「指三本の感度で脈拍をキャッチする必要がある」のです。


そして、この記事を読んでいる「あなた」に特別なテクニックを教えます。
実は、指の感度は場所によって違うのです。一回、自分の指先を触ってみてください。
そう!!そこです!!
場所によって、触れる感覚が違うと思います。
その感覚が一番敏感な位置で血管に触れるようにしてください!!
触れにくい脈拍でも、感知することができます!!

おみそれしました~~!!

こんな形です!!

この傷病者、頻脈で数値がかなり高いです!!ドキドキしてるんでしょうか??
(計測方法を見るHARU)

というように、母指で計測すると、自分の脈拍を感じてしまうことがあります。
正しい計測方法で脈拍を触診しましょう!!
脈拍の触診は、示指、中指、環指の三指の感度のいい部分で計測します。
それは、微弱な脈拍を見逃さないためです!!
【脈拍測定の極意③】頻脈に注意!!脈拍はすぐに生体変化が出ます

傷病者の脈拍を測定した場合、傷病者の頻脈に注意が必要です。
なぜなら、生体反応で最も早く出てくるのは脈拍だからです。

まずは頻脈です!!
こんなことを言ったら、怒られるかもしれませんが、正常範囲内にある脈拍の数値が、たとえが66回/分、78回/分・・・等々であっても、そんなに影響はありません。


つまり、体に異常があった時にいち早く変化が起こるところが脈なんだ!!
ちょっと想像してみてください!!
頻脈が起こるときってどんな時ですか??
こんな状態のときではないですか??
頻脈が起こる状態
発熱、脱水、外傷、出血等々
が上げられます。

脈拍は単なる数値の把握だけではありません!!

脈拍を観察するってことは、病態を把握することにつながるんだね!!
その頻脈が根拠になって、詳細な観察に移っていけるって訳なんだ!!

要は頻脈が根拠になればいいんだよね!!
だから、頻脈になる疾患を覚えておけば、なおいいよね!!
脈拍はただの数値を出すだけではありません!!脈拍は生体反応が早いためにスグに頻脈となります。
頻脈になる原因を突き止めよう!!
【脈拍測定の極意④】ショックかどうか見極めます。(脈圧が弱くなります)

脈拍測定はショックの判定に使用します。
ショック症状は早く処置をしないと命に関わるからです。

脈拍だけでは判定できないでしょ??

しかし、ショックは頻脈(一部徐脈)+血圧低下です。
血圧低下しているということは、脈拍測定したときに微弱に感じられます。
確定的ではありませんが、「ショックの可能性が大きい」ということになります。
ショックの定義は以下になります。
重要臓器の血流が維持できなくなり、細胞の代謝障害や臓器障害が起こり、生命の危機に至る急性の症候群。

それなので、仮に血圧が測定できなくても、「ショックであること」はある程度推察できます。
(それにプラスして傷病者の状況もりますけどね!!)
また、ショックの場合、橈骨動脈で触れなくなる可能性があります。
橈骨動脈で触知できなかったら、大腿動脈、総頸動脈に観察場所を変えていきます。(大腿動脈、総頸動脈でしか脈を感じられない場合はショック確定です)
参考までに、各脈拍で触知された場合の血圧数値と触知場所(実際知らなかったら分かりにくいので)を記載しておきます。
頭骨動脈80mmhg
大腿動脈70mmhg
※腸骨稜と恥骨の真ん中で触知可能
総頸動脈60mmhg
※甲状軟骨の2横指の横で触知可能
(のどぼとけの指二本分の横で脈拍を感じられます)

そこで、怖いのがCPAとの見極めです!!
確実に総頸動脈で脈拍が触知できるようになっておきましょう!!慣れてないと案外難しいです!!
脈拍測定で、ショックの有無を観察することができます。
そのためにも、橈骨動脈(80mmhg)、大腿動脈(70mmhg)、総頸動脈(60mmhg)の測定の場所とそれぞれの血圧の数値を頭に入れておきましょう!!
【脈拍測定の極意⑤】脈拍で不整脈かどうかを見極めます。

脈拍を観察する時は、リズムよく脈が打っているか打っていないかを観察します。
なぜならば、リズムよく打っていない場合、動悸や意識消失が発生している場合が多いからです。

さらに、心電図で波形を見て裏付けすることができます。
遭遇しやすいのは、心房細動になります。
心房細動の波形はこのようになります。
上に立っている波形のときに脈拍が取れるので、明らかに不整脈だと思います。

脈拍測定をした時に、脈拍のリズムを確認してください。
リズムが不整の場合、心臓の疾患があります。
まとめ
【脈拍測定の極意①】まずは基本!!観察方法は触診の場合、6の倍数にします。
脈拍を触診で行う場合、根拠をもって観察してください
①10秒観察を行うなら6の倍数
②15秒観察を行うなら4の倍数
に計測数値を合わせましょう!!
【脈拍測定の極意②】指は示指、中指、環指で測定します。
脈拍の触診は、示指、中指、環指の三指の感度のいい部分で計測します。
それは、微弱な脈拍を見逃さないためです!!
【脈拍測定の極意③】脈拍はすぐに生体変化が出るので頻脈に注意。
脈拍はただの数値を出すだけではありません!!脈拍は生体反応が早いためにスグに頻脈となります。
頻脈になる原因を突き止めよう!!
【脈拍測定の極意④】ショックかどうか見極めます。(脈圧が弱くなります)
脈拍測定で、ショックの有無を観察することができます。
そのためにも、橈骨動脈(80mmhg)、大腿動脈(70mmhg)、総頸動脈(60mmhg)の測定の場所とそれぞれの血圧の数値を頭に入れておきましょう!!
【脈拍測定の極意⑤】脈拍で不整脈かどうかを見極めます。
脈拍測定をした時に、脈拍のリズムを確認してください。
リズムが不整の場合、心臓の疾患があります。

脈拍一つで、一体どれくらい状況がわかるのって、感じがしたよ・・・。
奥が深すぎてびっくりしたよ!!

救急現場って、時間がないんだよね・・・。
その限られた、時間の中で、傷病者の状況を得ないといけないんだ!!
だから、「一つの観察で複数の情報」を得れる考え方を持つことが重要なんだよね!!」

かなり要領のいい考え方だね!!関心しか浮かんでこないよ。
今回の、「脈拍測定」の記事も、「実際、数字しか計測しなかったよ」って人が見てくれたら、すごくためになる話だったんじゃないかな??
実際私が、数字を計測しているという認識でしかなかったから・・・。これで、全国の救急隊や救命士の卵たちのレベルがまた一つ上がったね!!
これからも、大変だけど、がんばってね!!
脈を測るだけでしょ??
測るだけだからミスなくパーフェクトにいつも計測しているよ!!