こんにちは、救命士学習塾講師のHARUです。
僕も塾長と同じで救急救命士東京研修所(エルスタ)の卒業生です。
救急救命士の運用が始まってから10年以上のキャリアを持ちます。
救命士に向いている人を、10年の経験から感じたことをあなたにお伝えします。
・救命士を目指している人。
・どんな場面でストレスがあるのか知りたい人。
・救命士業務のリアルを知りたい人
HARUは救命士になって10年以上経つんだよね??同じ職場で10年って長いけどストレスを感じることってあるのかな?
血小板ちゃん、質問ありがとう。仕事だからストレスを感じるよ。
一番は、「24時間勤務の拘束」だね。家族でも24時間同じ空間に居続けることはないけど、仕事となると同じ人と過ごすんだよね。
馬が合わない人がいたら、コミュニケーションが取れないから大変なんだ。
他にどんなことが、ストレスになるか、ちょっと考えてみるね。
例えば、こんな資料みたことあるかな?
この資料は、救命士のリアル過ぎる本音が書いてあるんだけど、ここにもストレスがかかるかどうかが読み取れるんだ。
一番下の、この職種・職業のここが悪いがまさにストレスがかかっているから、意見として挙がっているんだよね。
上から順番に現役救命士の僕が答えるね。
①救急隊3人が固定されている・・・活動は必ず3人になります。活動中や勤務中に何か人間関係に問題が発生したらその勤務は険悪になってしまいます。
ということは、コミュニケーションが苦手な人はストレスがかかります。
②隊で動いている時間が長い・・・隊で動くのは活動中のみではなく、報告書作ったり、訓練をしたり時間が長いです。それなので、関係が険悪だからと言って距離を置くわけにはいきません。
ということは、コミュニケーションが苦手な人はストレスがかかります。
③上司のいうことは絶対・・・消防は階級社会なので、上司がいろいろ言ってきます。だから、自分の意見はひねられ、上司の意見のみが生きます。消防で意見通すなら偉くならないといけないということになります。
ということは、自己主張する人はストレスがかかります。
④無視したり、圧をかける上司がいる・・・上のくだりで、自己主張ばかりしていると、上司がこういった態度を取って、口では注意しません。上司がこうなってしまったら、時間のみが解決してくれます。こうなる前に、対処しておきましょう!!
ということは、自己主張する人はかなりストレスがかかります。
⑤下の意見はとおらない・・・さっきと同じになりますが、消防は階級社会なので、下の意見は参考程度になります。それは、最終的に、上席者が責任を取る階級社会ならではの現象です。
ということは、階級社会に不向きな人はストレスがかかります。
この資料からも、救命士のストレスが読み取れるんだね。
この資料は主に、人間関係によるストレスだね。
今度は、HARUが救命士として働いてきた10年間の「救命士のストレス」を教えてもらいたいな。
HARUの意見は、絶対、救命士を目指す人には参考になるね!!
了解しました!!
では、救命士のストレスとして5個厳選しました。
この5個を知っていれば、事前に対処することができると思うんだ。
実際にリアルな話で、引いちゃうかもだけど(笑)
解説していくね!!
もくじ
【救命士のストレス①】24時間勤務の拘束
救命士は24時間勤務の拘束です。救急出動ベースで勤務しています。
これではストレスを感じてしまいます。
なぜなら、リラックスできる時間帯がとれないからです。
救急出動ベースになると、食事、風呂、トイレ、仮眠時間等リズムが作れません。
この中でいちばん時間がかかるのは、仮眠時間です。夜も関係なく指令はなります。
実は、その仮眠時間が一番リラックスできるのです。
僕には24時間勤務中にこんなことがありました。
その日は、すでに救急件数が10件になり、深夜時間帯の救急に備えて早く仮眠を取りました。
そこから、不幸のはじまりです(汗)布団に入ったかと思ったら指令が入り、帰署して、「報告書は明日朝にして、仮眠を取ろう。」と部下たちに指示して。さあ、布団に入ろうと思ったら、指令が入って・・・。
というようなことが朝まで続きました。で、勤務交代まで報告書地獄です。
他の隊の人は朝起きて「今日何件救急あったの?」と他人事のように聞いてきて、報告書を手伝ってくれるわけでもなく、普通に朝ごはんを食べに行っていました(怒)
こういった、やりとりもストレスです(笑)
それなので、ストレスをためないように僕が実践していることは、救急活動を終えた後に、絶対に休憩時間を作ること。救急活動からいったん離れて、リラックスできる時間を作りました。
人間リラックスすることでストレスを発散できることに築いたからです。
出動件数の多さから、救命士は勤務のリズムを作れません。
リズムが作れないということは、リラックスできていないということになり、ストレスがたまるばかりなのです。
しかも、上で書いたように、余計な一言もストレスがたまります。
しかし、自分が救急活動しているからこそ、市民が助かっていると言い聞かせながらかんばっています。
24時間勤務って、一般の人からしたら想像できないね・・・。
こんなに大変だなんて初めて知ったよ・・・。
24時間勤務のストレスは、リラックスをしない人がストレスをためます。
【救命士のストレス②】指令
救命士は指令でストレスがたまります。
なぜならば、指令の具体状況がわからないことです。
つまりは、指令の状況で救命士は「心の準備」をしているのです。
1当務が1件ぐらいの出場なら、そこまで気にはなりませんが、僕のところは、2桁は出場してしまします。
出場は、指令センターから状況を無線で聞きながら向かいます。おおむね状況は合ってるのですが・・・。
過去に出場したものでこんなことがありました。
指令内容は「高齢の男性が、胸痛を訴えての救急要請です。独居の方です。」でした。
その時は、何も疑いもせず対象者の家に行きました。
玄関で呼びかけても返事なく「まさか・・・。」と思いながら家の中に入っていくと・・・。
CPAでした(汗)
さて、困りました。資器材がないからです。その時の僕は最低限のものしか現場に持って行っていなかったのです。
(本来はあってはならないことです。未熟でした汗)
隊員、機関員に「CPAー!!AEDもってきてー!!」叫びました。
(CPA:心肺停止状態 AED:自動体外式除細動器)
この時から、必要以上に資器材を持っていくようになったのですが(汗)
このように、状況がわからないため心の準備ができていないのです。(この時は資器材の準備さえできていませんでした)
この、心の順準備ができていない状況での、重症者は、正直堪えます。
つまり、内容違いの指令がストレスになる訳なのです。
(このため、指令自体ストレスになります)
これとは別に、救急件数が重なったら、報告書もたまってきます。
たまった報告書を作っている中、指令が入ってしまうと・・・。
ストレスになってしまいます(笑)
確かに、終わらせようとした仕事がどんどん増えていくと、ストレスにもなるよね・・・。
救急出場は多いから、感覚的に仕事が終わらないって思うよね。
救急隊員は指令がストレス
【救命士のストレス③】強い緊張感での勤務
救命士はいつも強い緊張感で勤務をしています。
なぜならば、いつ指令がなってもいいように神経を研ぎ澄ましているからです。
結果的に、その緊張感で、ストレスがたまっています。
これは、僕が人員補給のため、別の出張所に行って勤務(補勤といわれてます)したときの話です。
いつも勤務しているところとは勝手が違うことばかりでした。救急車内の資器材の配置、個数等々確認をしなければなりません。
また、出張所の庁舎内の使い勝手も違っていて、いつもと違った緊張感がありました。
事務仕事をしながら、出動に備えます。昼食、夕食、仮眠というように時間がどんどん流れていきました。
結局、その日の出動は1件もありませんでした。
そうなんです。なかったのです。
それなのに疲労感だけが残りました。
なぜならば、緊張感からくるストレスで疲れていたのです。
つまりは、救命士は出動しても疲労はたまりますが、出動しなかったとしても疲労(ストレス)がたまるのです。
まさに緊張感からの疲労だよね・・・。
救急隊って出動ばかり目が行ってしまうけど、出動しなくても神経を研ぎ澄ましているんだね。
神経研ぎ澄ましていたら、ストレスがたまっちゃうね・・・。
それなので、神経を研ぎ澄ませることも重要ですが、さっきも伝えたようにリラックスをすることが重要になります。
自分自身のリラックス方法を知っておきましょう。
強い緊張感の中でも、リラックスが下手な人はストレスをためます。
【救命士のストレス④】悲惨な傷病者を扱う
救命士は、時に悲惨な傷病者と接さなければなりません。
なぜならば、重症外傷傷病者は悲惨なことになっていることが多いからです。
接しているときには、気持ちが入っているので、目を背けることはないですが、後になった時にそれがストレスとなってきます。
この、話は僕が対応した、軽自動車と大型トラックの正面衝突事故でした。
現着時、大型トラックの運転手は車外に出ていて、心配そうな表情をうかべています。
軽四自動車の運転手は、胸部からの出血がひどく、頭部はみるも無残なことになっていました。(ここでは記載を割愛します)
僕は、救命をするため、処置をおこない、搬送しました。
ただ、その軽自動車の運転手は、高齢の男性で、僕の父親とダブってしまいました。
若干、引きずってしまい、次の日父親に会いに行きました。元気な姿を見てホッとしました。
その時思ったのは、救急活動はあくまで仕事中のことで、プライベートまで引きずってしまってはいけないこと。そのには境界線があり、「仕事」として割り切らないといけないということでした。
もし、プライベートまで引きずってしまったら、急性ストレス障害(PTSD)になっていたと思います。
仕事は仕事であると割り切れない人は、ストレスをためます。
【救命士のストレス⑤】市民・マスコミがいる場面での活動
救命士は市民、マスコミがいる場面では極度の緊張をします。
なせならば、失敗が許されないからです。
報道に撮影されるということは報道されてしまい、世間に失態として放送されてしまうプレッシャーがあります。
これは建物火災で救急隊として出動した話になります。
建物火災であったため、大勢の野次馬と報道陣が来ていました。住人1名を救出しましたが、消防隊が火災の状況を聞いていました。
「状況確認をするよりも、住人の観察をしないと・・・。」と僕は思い、近づいて観察してみたら・・・、「顔面に煤がついていて、髪の毛が焦げてる・・・。気道熱傷疑いだ!!」
すぐに、消防隊に状況を説明し、高度救命センターへの搬送を急ぎました。
後日談で、初見通りの気道熱傷で、搬送がもう少し遅かったら、呼吸困難を起こしていたとの事でした。
あの時、搬送が遅くなって、傷病者にもしものことがあったらと思うとゾっとしました。なにせ、「報道」がきていたわけですから。なにを報道されるか分かりません。
報道が来たからといって、活動が変わるわけではありません。しかし、報道されるかもというプレッシャーからミスが誘発されます。
そのプレッシャーに打ち勝つ精神力が必要です。
プレッシャーに弱い人は、ストレスをためてしまいます。
まとめ
・【救命士のストレス①】24時間勤務の拘束
・【救命士のストレス②】指令
・【救命士のストレス③】強い緊張感での勤務
・【救命士のストレス④】悲惨な傷病者を扱う
・【救命士のストレス⑤】市民・マスコミがいる場面での活動
なるほどね!!「救命士のストレス」ってすごくリアルだったね・・・。具体的に教えてもらったら、よくわかるね。
そうなんだよね。
ストレスかかるから辛いと考えたらダメなんだ。
ストレスは、事前に知っておくことが重要で、気持ちをある程度作っておけば、対処することができると思うんだ。
決してマイナスに考えたらダメだよ!
せっかく救命士は高貴な職業だから、あなたが、消防に入って、ストレスがかからないような職場作りが可能なんじゃないかな。
塾長もいろいろ、現職時代は大変だったみたいだし、きっと相談に乗ってくれると思うよ!!
これからも、大変だけど、がんばってね!!
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・【救命士のストレス⑤】市民・マスコミがいる場面での活動