こんにちは、救命士学習塾講師のHARUです。
僕も塾長と同じで救急救命士東京研修所(エルスタ)の卒業生です。
救急救命士の運用が始まってから10年以上のキャリアを持ちます。
僕はここではその経験から、『救命士あるある』を提示させてもらい、救命士の実情をお伝えしていきたいと思います。
救命士あるあるを事前に知っておくことで、「救命士になってからの対策や心構え」ができます。何かを行う場合に、初見で物事を行っていくより、事前に知っておくほうが対策がしやすく、心構えが違います。
救命士になってからより、事前に全体像を把握して対策を練っておきましょう!
・救命士あるあるを知って共通認識を得たい人
・日ごろ知りえない業務以外の救命士の苦労を知りたい人
救命士の業務の苦労って、搬送や書類作成以外にどんなことがあるの?
事前に理解してて、対策をねっておきたいよー。
血小板ちゃん、質問ありがとう。
救命士の業務って、多岐にわたっていて、救急出場して搬送したり、搬送後の書類作成や救命講習の指導等々本当に忙しい日々なんだ。
それは、目に見えている忙しさであって、目に見えない、あるある苦労もたくさんあるんだ。
詳しく解説していくね!
救命士の裏側を教えてもらえるんだー!!
教科書に載ってなくて、現場の声そのものだからとても勉強になりそう!!
もくじ
【あるある1】病院実習では居場所がない
・居場所ない
・スタッフに迷惑かけてしまいそうで怖い
・やれること必死に探すが、逆に迷惑になりそうで怖い
・静脈路確保を必死で練習したいけど、迷惑じゃないか不安
・とりあえず寝具畳んで少しでも役立とうとする
・基本医師や看護師に相手にされない(寂しい、そして尊厳を失いかける)
・けど、たまに優しい人がいて、天使に思える
・「消毒やっておきます」というと少し嬉しがられた気がして居場所を得た気がするが、居場所ない
理由:救急搬送時にしか、活躍の場がないから
救命士の再教育のため、病院自習に行っていますが、病院実習では、実は居場所がありません。
それは、救急車で傷病者が搬送してこない限り、することがないからです。
積極的に、医師や看護師に質問にはいっていないのかな?
もちろん、日ごろわからないことや、疑問に思っていることを質問したりしています。そういう実習であるから、積極的に質問しないとっていうことも救命士なら全員理解しています。
しかし、質問を行って医師や看護師の手を止めてしまう事を考えてしまうのです。
そう!!医師や看護師は業務中なのです。
質問して、手を止めてしまって病院の業務が停滞してしまう事に気を使ってしまうのです。
その結果、居場所がなくなってしまいます。(ショボーン)
じゃあ、居場所がないときってなにしているの??
モニターやストレッチャーを消毒してみたり、救急処置室を歩いてみたり、
看護師さんに
と聞いて、
と回答を得たりと、自分との戦いです。
しかし、救急車で傷病者がくると、ハイエナのように一目散にいきます。
まるで、水を得た魚のようにバイタル測定に入ります。
それなので、僕は病院実習に行った際には、一日最低一個は何か覚えようと、救急用のポケットブックを持ち歩くようになりました。
皆さんも、参考に救急用のポケットブックをお勧めします。
救急搬送時でも分からないときに、すぐに見返すことができます。
追伸
あと、静脈路確保するチャンスないか必死に探してます。
「あ、あの、静脈路確保よろしいですか?」
【あるある2】搬送中の車内で継続観察、提出用の書類を書いていると車酔いをする
・酔いやすい人には辛い仕事
・割と書くのに必死
・字が汚いと悲しくなる
・漢字が思い出せない
・ドクヘリだと書く時間少なすぎて焦る
・余裕がない時はそもそも書けない
・収容後、他の隊の観察記録票を読む(今日忙しい日だなー)
理由:正面を向いて救急車に乗ってなく、常に横や後ろを向いているから
皆さんは、車酔いはしない方ですか?
え??消防車に乗って、緊急走行は慣れているでしょ??
いやいや、消防車の緊急走行とは比になりません。消防車は、地図を見ながら走行しているとはいえ、前を向いて乗車しています。
救急車の場合は、現場到着後、病院搬送に傷病者の観察や病院に搬送したときに渡す書類を書きながら搬送するわけですから、横や後ろを向いての搬送になります。
それなので、救命士が車酔いで気分不良を起こしてしまいます。
さらに、僕の経験で、現場から、病院到着までの時間が1時間という遠隔地に勤務をしたときに、病院到着と同時にトイレにかけこんだことがあります。
病院到着と同時に吐いてしまいました。
いやー、さすがに1時間は長かったです(笑)僕も酔いはしない方でしたが、救急車は別格に酔いますね・・・。
でも、不思議なことに、搬送時間1時間の重症外傷搬送やCPA搬送では、気持ちが高ぶっているので、気持ち悪いとは一度も思ったことはありません。
ある意味、僕はこの状態を「スイッチが入っていた」と周りには表現していました。多分消防職員なら、この表現でわかると思います。
しかし、特に、車酔いに対しては、対策はないと思いますが、入水盆を自分の手の届く場所において、備えておきましょう。
車酔いをする人にとっては、救急車での業務は少し辛いと思いますので・・・。
救命士が嘔吐物を車内に出してしまったら、信用失墜行為になると思いますので(笑)
【あるある3】指令の音に敏感になる(ピクッってなる笑)
・指令音と同じ音を日常で聴くと心臓がキュッとする
・たまに夢に出てくる
・とりあえず立つ
・指令画面を見てしまう(パブロフの犬みたいになっている)
・自分の管轄の時はダッシュする(かっこいい)
・仮眠中何度もこれで起きる(目を開ける)
・消火隊は特に反応しない(勝手に救急に決め付けてる感がある)
・救急隊ではない日は逆に指令音が鳴っても余裕こいてる
理由:勤務の24時間中、緊張感を持っているから
皆さんは勤務中、緊張感を持っていますか??
え??消防職員たるもの、緊張感を持っていない人なんかいないでしょ??
そう思うと思います。
しかし、比べてみてください。
救急車と消防車が出る比率の差を。
火災指令って、救助指令って一日に何回鳴りますか?
救急指令って一日何回鳴りますか?
比べるまでもないと思います。それなので、救急隊は常に気持ちが張り詰めた状態で24時間過ごしています。
つまりは、指令の音に敏感になっているわけなのです。
僕は、よく似ている音にまで敏感になっていて指令台の方に目がいってしまいます。ここまでなると、職業病だと言って同僚とよく笑い話になっています。
しかも、気持ちが張り詰めたままの状態なので、その勤務にあまり出場がなくても、気持ちが疲弊してしまっています。メチャクチャ疲れている状態となっており、帰宅後、爆睡してしまいます。
それなので、気持ちをあまり張らないとき「リラックスしている時間」を設ける必要があると感じています。
【あるある4】ラーメン食べてる時に限って指令が入る
・夕食できた一口目でよく鳴る
・麺類の時はさらによく鳴る
・伸びてても食べるor居残りの人に食べてもらう
・ついでに交代ギリギリで指令が鳴る
理由:こちらの都合で指令は鳴らないから
この前、久しぶりに「ヒヤッ」としました。なぜならば、お風呂入って、頭を洗っている最中に指令が流れたからです。
さて、慌てました。
泡を洗い流し、頭だけふいて、濡れている体に無理やり袖をとおし、車庫まで裸足で走って、裸足で走ったら足の裏が乾くので、靴下が履きやすく、車庫で履いて・・・。はい、出場って感じでした。
さらに、よくあるのが、食事中ですよね(笑)
止めてておけばいいのに、カップラーメンをチャレンジしてみて、お湯を投入後、「救急指令」ってことが何度あったか(笑)
「それ、食べておいていいから!」
って、救急隊なら言ったことあるセリフですよね笑
隊員、運転責任者であれば、乗車を変更できるからいいんですよ。救命士はその当務にぼくしかいないことが多々あります。
そのため、帰署後、延びまくっているのラーメンを食べる・・・。
その苦労の先に、傷病者の笑顔があると思っていつも頑張っています。
さてさて、指令は、こちらの都合に関係なく鳴ります。
それなので、
食事中であれば、麺類を選ばない。
風呂中であれば、すぐに着替えれるように服を並べておく。
睡眠中であれば、枕元に、出場セットを置いておく等の準備を怠らないようにすることが肝心となります。
【あるある5】救急隊長で出場すると、こだわりが強くなってくる
・隊長によって言うことが違う
・活動方針も違う
・現場でバイタル計測派と車内収容後に計測派がいる
・傷病者のためを一番に考えてる
理由:自分が活動しやすいように考えてしまうから
あなたは、自分のやり方ってありますか?
やり方が隊長ごとにいろいろあったら、隊員、運転責任者の人が困らない??
そうなんです。
僕も若いときにはそう思っていました。
救急活動を統一してくれないかなーと。
隊長ごとのこだわりがあり、そのため違いがあったら活動に支障があると。
しかし、いざ、自分が救急隊長で出場する立場になると、自分のこだわりが出て来てしまいました。
この立場だからわかることで、それが、傷病者のためになると思うからです。
隊員や運転責任者のことも考えて活動もしないといけません。
しかし、一番は、傷病者の為なのです。
その傷病者のために各救命士隊長がこだわっていくのだから、仕方のないことだと今は思います。
【あるある6】搬送後の傷病者や関係者の「ありがとう」の言葉に救命士になってよかったと思う
・やりがい搾取されてる救命士
・「ありがとう」傷病者や家族からの言葉に逆に助けられている(割とマジで)
・医師や看護師や上司にかなり怒られることがある。けど傷病者のために頑張っている
・本当に毎日必死で、傷病者と向き合ってる
・死と向き合うことが多いから必死になる
・感謝されると本当に嬉しい。この仕事を誇りに思える
理由:市民のために一生懸命活動をしているから
皆さんが、消防職員になろうと思ったのはなぜでしょう?
さらに言ったら、救命士を目指しているのはなぜでしょう?
医療行為ができて、やりがいがあるからだよね??
それもあると思います。
どの現場においても、困っている傷病者の元へ一番に駆けつけて、その困っている状態を解決することができるからだと僕は思います。
なにより、傷病者目線で考えることができること。
その次に、医療行為ということがあると思います。
そのため、傷病者の思いに応えたいと、救命士は一生懸命活動をします。
傷病者の為に尽くします。
その結果、「ありがとう」という言葉をかけてもらったら格別な思いになれます。
言葉をかけてほしいとか見返りの気持ちがあるわけではありません。
しかし、自分が一生懸命活動しているので、「ありがとう」という言葉が素直にうれしいのです。
まとめ
・病院実習では居場所がない
・搬送中の車内で継続観察、提出用の書類を書いていると車酔いをする
・指令の音に敏感になる
・食事、風呂、睡眠に関係なく指令が襲ってくる
・救急隊長で出場すると、こだわりが強くなってくる
・搬送後の傷病者や関係者の「ありがとう」の言葉に救命士になってよかったと思う
救命士の業務って、いろいろ大変だなーって思っていたけど、目に見えない部分の方が多い感じがするね。
だけど、一番印象的だったのが、傷病者からのありがとうって言葉かな。
いい話だったね。
そうなんだよね。
別にありがとうって言葉が欲しくて業務をやっているわけではなくて、市民一人を助けたいために、日ごろから訓練したり勉強したり努力を積み重ねているんだ。
その積み重ねたことを、救急指令が出たときに市民に還元する。
その中での、「ありがとう」て言葉は、何物にも変えられないのと、すべて報われた気持ちになるんだ。
日々努力を重ねていた結果だよね!!
また、いろいろあるあるを紹介したけど、それを乗り越えてわれわれ救命士は頑張っています!!
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