

この記事では、救急救命士標準テキスト 改訂第11版と第10版の変更点を、11版のページ数つきで一覧にまとめました。受験生のみなさんから寄せられた情報と、救急救命士学習塾で確認した内容をもとに整理しています。
先に結論です。
- 11版は2025年4月発行(10版は2020年4月発行)で、5年ぶりの改訂
- 変更は大きく「新しく追加された内容」と「記載が修正された内容」の2種類
- 国試対策で特に押さえたいのは、医薬品・感染症・6事業・熱中症の新分類・急性心筋梗塞の酸素投与・気道異物
救命士テキスト11版と10版の変更点【早見表】
まずは全体像です。気になる項目は、11版の該当ページを開いて確認してください。
| 分野 | 変更点(11版) | 11版ページ |
|---|---|---|
| 感染症 | 梅毒の記載を追加、エムポックスを追加 | P.26 |
| 医療計画 | 「5事業」が「6事業」に | P.27 |
| 医薬品 | バクスミー(グルカゴン点鼻粉末剤) | P.197 |
| 災害 | JMAT・DPAT・DHEAT | P.228 |
| 制度 | 医療機関に勤務する救急救命士 | P.258など |
| 感染症 | 新型インフルエンザウイルス | P.287 |
| 感染症 | COVID-19(新型コロナウイルス) | P.288 |
| その他 | バイスタンダーサポート | P.293 |
| 観察 | 神経所見の観察(ELVOスクリーン・FAST) | P.320〜329 |
| 観察 | DTBT(door-to-balloon time)を追加 | P.343 |
| 処置 | 経口エアウエイの適応に「JCS 200以上を目安」 | P.349 |
| 処置 | オートショックAED | P.381 |
| 産科 | 幸帽児 | P.417 |
| 医薬品 | ブコラム(口腔用液・抗けいれん作用) | P.501 |
| 循環器 | 急性心筋梗塞の対応(酸素投与の考え方) | P.569 |
| 代謝 | インスリンポンプ | P.606 |
| 小児 | 小児の現場活動 | P.646 |
| 産科 | 妊産婦の心肺蘇生、出産時の新生児の蘇生 | P.670 |
| 中毒 | 炭酸リチウム、バルプロ酸(向精神薬) | P.794 |
| 中毒 | サバ亜目(ヒスタミン) | P.802 |
| 異物 | 意識がある場合の「完全閉塞」「不完全閉塞」を追記 | P.807〜809 |
| 溺水 | 危険因子に「冬季(ヒートショック)」を追加 | P.812 |
| 環境障害 | Ⅳ度・qⅣ度熱中症 | P.821 |
11版で新しく追加された内容
1. 重要な医薬品の追加
- バクスミー(グルカゴン点鼻粉末剤)【P.197】:低血糖時に鼻から投与するグルカゴン製剤。「注射ではなく点鼻」という点がポイントです。
- ブコラム(口腔用液)【P.501】:抗けいれん作用をもつ、頬の内側に投与する薬剤です。
- 炭酸リチウム、バルプロ酸【P.794】:向精神薬として記載が追加されました。

2. 感染症の知識と対応
- 新型インフルエンザウイルス【P.287】
- COVID-19(新型コロナウイルス)【P.288】
- 梅毒【P.26】:再興感染症の項目に、梅毒の説明が約4行追加。2011年ごろから再び増加し、2022年の報告数は約13,000人を超えて過去最高になった、という内容です。
- エムポックス【P.26】:新たに追加記載されました。
10版の発行(2020年4月)以降に社会で大きく動いた分野なので、11版でまとめて反映された形です。
3. 医療計画の「5事業」が「6事業」に
【P.27】医療計画の5事業に「新興感染症等の感染拡大時における医療」が加わり、6事業になりました。
- 救急医療
- 災害時における医療
- 新興感染症等の感染拡大時における医療(追加)
- へき地の医療
- 周産期医療
- 小児医療(小児救急医療を含む)

4. 医療機関に勤務する救急救命士
【P.258など】救急救命士法の改正により、救急救命士は病院前だけでなく、医療機関内(入院するまでの間)でも救急救命処置を行えるようになりました。11版ではこの内容が記載されています。
5. そのほか追加されたキーワード
| キーワード | ひとこと解説 | 11版ページ |
|---|---|---|
| JMAT・DPAT・DHEAT | JMAT=日本医師会災害医療チーム、DPAT=災害派遣精神医療チーム、DHEAT=災害時健康危機管理支援チーム | P.228 |
| バイスタンダーサポート | 応急手当をした市民(バイスタンダー)の心理的負担などを支える取り組み | P.293 |
| オートショックAED | ショックボタンを押さなくても、自動で電気ショックが行われるAED | P.381 |
| 幸帽児 | 卵膜に包まれたまま娩出された児 | P.417 |
| インスリンポンプ | インスリンを持続的に皮下へ注入する機器 | P.606 |
| サバ亜目(ヒスタミン) | ヒスタミンによる食中毒に関する記載 | P.802 |
| Ⅳ度・qⅣ度熱中症 | 熱中症の重症度分類に、最重症群としてⅣ度とqⅣ度が追加 | P.821 |

6. 受験生から寄せられた追加点
- DTBT(door-to-balloon time)【P.343】:急性心筋梗塞の患者が病院に到着してから、PCIで冠動脈の血流が再開するまでの時間。STEMIではDTBTが短いほど予後がよいとされ、短縮のために12誘導心電図の伝送が期待されている、という文脈で追加されています。
- 経口エアウエイの適応【P.349】:適応の意識障害に「JCS 200以上を目安」という具体的な数字が記載されました。
- 溺水の危険因子【P.812】:季節の欄に、夏季(水難事故)に加えて冬季(ヒートショック)が追加されました。
11版で記載が修正された内容
1. 神経所見の観察(ELVOスクリーン・FAST)
【P.320〜329】脳卒中が疑われる傷病者の観察として、ELVO(エルボ)スクリーンとFAST(ファスト)【P.328】の記載が修正されています。ELVOスクリーンは、血栓回収療法の対象となる主幹動脈閉塞を病院前で見つけるための評価法です。
2. 急性心筋梗塞の対応(酸素投与)
【P.569】SpO2値が90%以上で、頻呼吸・起坐呼吸・心原性ショックが認められない場合は、必ずしも酸素投与の必要はないとされました。

3. 気道異物(完全閉塞・不完全閉塞)
【P.807〜809】異物の処置について、意識がある場合を「完全閉塞」と「不完全閉塞」に分けて記載されるようになりました。あわせて、咳・努力呼吸の程度と異物の部位から判断する「気道異物の緊急度」の表も載っています。
- 不完全閉塞:咳を促して喀出を期待する
- 完全閉塞:腹部突き上げ・胸部突き上げなどの異物除去を行う(乳児は背部叩打と胸部突き上げ)
4. 小児の現場活動
【P.646】小児傷病者に対する現場活動の記載が修正されています。
5. 妊産婦の心肺蘇生・新生児の蘇生
【P.670】妊産婦の心肺蘇生に加え、出産時の新生児の蘇生について、ガイドラインの変更などが反映されています。
10版で勉強してきた人はどうすればいい?
結論、これから国試を受けるなら11版に合わせて知識を更新するのがおすすめです。
- 解答・解説集も、第49回からは11版の参照ページのみになっています
- 「5事業→6事業」「熱中症の分類」「急性心筋梗塞の酸素投与」のように、10版の知識のままだと答えが変わる項目がある

関連記事:【2026年版】救急救命士国家試験|おすすめテキスト
よくある質問
Q. 救急救命士標準テキスト11版はいつ発行された?
2025年4月発行です。10版は2020年4月発行なので、5年ぶりの改訂になります。
Q. 10版のテキストだけで国試に合格できる?
基礎的な内容の多くは共通ですが、この記事で紹介した変更点は11版の内容で覚え直す必要があります。11版が手元にない場合は、変更点だけでも確認しておきましょう。
Q. 変更点はこの記事に載っているもので全部?
いいえ。国試対策として重要度が高いもの、受験生から情報が寄せられたものを中心にまとめています。新しい変更点がわかり次第、この記事に追記していきます。
まとめ:11版の変更点は「数字」と「新しい用語」から押さえよう
- 医療計画は5事業 → 6事業(新興感染症等の感染拡大時における医療)
- 熱中症にⅣ度・qⅣ度が追加
- 急性心筋梗塞はSpO2 90%以上なら必ずしも酸素投与は不要
- 経口エアウエイの適応はJCS 200以上を目安
- 気道異物は完全閉塞・不完全閉塞で対応を分ける
- バクスミー、ブコラム、DTBT、オートショックAEDなど新しい用語を確認

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