上肢を前方に伸展し、両手をできるだけ早く回内・回外(内回り・外回り)させる。運動失調の検査。小脳失調を確認できる。
手回内回外試験とは
基本的に小脳失調をみるための試験方法。
鼻指試験と同様に簡単にできる。
出典 救命士テキスト
小脳半球に病変が存在するときには、回内回外運動のリズムが不規則となったり、回内回外運動の軸である前腕が固定されず、前腕が動揺したりすることが観察される(変換運動障害・運動変換困難症)
具体的な方法
- 傷病者に両手を前に出してもらい肘を軽く屈曲して手首を大きく開く。
- 出来るだけ早く回してもらう。
口で説明するよりも、救急隊員が見本を見せて行うと理解されやすい。
回内回外試験の不良時
小脳失調がある場合、失調側の手では回内回外をスムーズにできなくなる。
リズムが遅く、不規則になれば「回内回外試験不良」
これらを反復拮抗運動不能という。
ちなみに、健常人でも利き手でなければ遅くなる。
また、手の回内回外運動にともなって肘が固定されずに外転、内転を繰り返すようになる。
これは小脳の運動に対する空間(測定異常)、時間(運動の遅れや制動の遅れ)調節機能が障害されていることにより起こる。
これらを協働収縮不能という。
協働収縮不能は健常人の利き手でなくても通常見られない。
注意点
- 麻痺や筋強剛があれば当然うまくできない。
- 小脳以外の要因も考慮。
- 麻痺ではそもそも動かない。
- パーキンソン病などの固縮では振り幅が小さくなる。
動画で確認
まとめ
▼この記事が好きな人は、こちらの記事もオススメです▼
「めまい」の傷病者には鼻指試験や回内回外試験を行い、小脳出血の判断に活かしましょう!
搬送中でもできる観察方法なので使い勝手がいいですね。
ストレッチャー上でもでるのがポイントです。
嘔気やあまりに傷病者が辛そうでしたら無理にやらせてはいけません。
傷病者のためにならない観察は「救急隊の自己満足」です。
そのような時は医師に「回内回外試験を行おうと思ったのですが、患者さんが辛そうでしたので安静搬送を優先しました。」でOKです!