こんにちは‼空飯(→プロフィール)です。
今回はこんな質問がきました。
いつも質問ありがとうございます。
【コツ1】現場を想像する。
【コツ2】気になることは指令センターに聞く。
【コツ3】隊員と情報を共有する。
【コツ4】事前管制・コールバック/プレアライバルコールを有効活用する。
詳しく解説していきますね!
ところで、
まだ、なったばかりの、救急隊員や救急救命士にとって、傷病者の観察や情報聴取を同時に行うことは難しいですよね。
考えることがありすぎて、頭がぐちゃぐちゃになる感覚はよくわかります。
実際に私もその一人でしたから。
でも、心配する必要はありません。
この記事を読めば、現場での観察や情報聴取の考え方について学ぶことができます。
・救急隊員・救急救命士になったばかりの人
・観察と情報聴取は一人で行わなければならないと思っている人
・観察と情報聴取をスピーディーに行いたい人
・現場活動時間を短縮したい人
もくじ
【コツ1】救急現場を想像しよう
指令書から現場を想像する
効率よく情報収集を行うためには?
結論は指令書から現場を想像することです。
情報収集は指令書を取った時点から始まっています。
消防本部によって違いはあるかもしれませんが、指令書から以下の事が分かります。
- 時間
- 場所
- 種別
- 指令センターからのコメント
時間、場所、種別、指令センターからのコメントで考えなければならないこと
まず、指令が鳴った時間、場所、種別によって様々な事が考えられます。
救急に慣れてくると、瞬時にこれくらいのことが想像できてきます。
もちろん、始めのうちは地域性も分からないので難しいですが、段々と慣れてきます。
年齢や性別からもイメージをする
また、指令センターからのコメントで、○○歳男性or女性とコメントが書かれていることがあります。
ここでも想像することができますね。
年齢や性別からも、様々なことが読み取れますね。
現場を想像することが現場活動のコツ
常に考えて行動しなければ、いつまでたっても情報収集はうまくなりません。
常に現場を想像する努力をしてみてください。
出動前から現場を想像しておくことで、情報収集しなければならないことを事前に把握することができます。
それに伴って、現場に着いた後の活動がスムーズになります。
【コツ2】現場到着までに、気になることは指令センターに聞く。
指令センターに気になることは聞いてみよう
例えば、必要な情報を指令センターが聴取していても、無線で救急隊に伝わっていないことがあります。
このような状況の場合、聞き直すことで、現場で聞かなければならなかったことが1つ減ります。
現場では確認するだけで済みますよね。
今の指令センター員は教育が進んでおり、昔のように情報が少なすぎることや、重要なところが聞けていないことは少なくなっています。
しかし、それでも抜けのある場合が時々あります。
指令内容なんか変だなーと思った時は、大抵最悪なパターンが多い
指令センターに聞き返すことでリスクは回避できます。
例えばこんな感じです
プロトコールのキーワードで「意識なし」の場合、活動を支援するため消防車両が同時に出動します。(地域のプロトコールによって様々ですが・・・)
ですが、実際に出動しているのは、救急隊1隊です。
救急隊ではこんなことを思います・・・
「意識なしだけど、意識状態は改善傾向だから支援隊を出さなかったのかな」
結局、救急隊は支援隊を要請しないまま現場到着。
実際に現場に着くと意識レベル三桁でL&Gで活動しなければならなかった。
(JCS3桁:意識がない状態 L&G:「急いで搬送する」を最優先する活動)
もしも、現場に支援隊がいてくれたら、マンパワーが充実して、自分は状況聴取に専念できたのに・・・
こんなことが時々あります。
私の経験上、今の指令内容なんか変だなーと思った時は、大抵最悪なパターンが多いです。
これは、経験によって養われる感覚です。
ということで、このような、人的ミスを減らすことや、その後の活動をスムーズにするためにも、必ず「どうなんだろう?」と思ったことは指令センターに聞くようにしましょう。
【コツ3】隊員と情報を共有する。
隊員間で現場到着までに観察・聴取しなければならないことを共有しよう
指令センターからの情報から、何を観察しなければならないのか・・・何を聴取しなければならないのかを隊員間で共有してください。
そして、可能であれば誰が何の観察をして、何を聴取するのか事前に話し合い(ブリーフィング)しておくことも良いですね。
例えば・・・
こんなベタな指令内容だったとします。
今、この記事を見ている方は、現場に向かう救急車内で、しっかりと話し合い(ブリーフィング)はできていますか?
ここができていないと、相当訓練を積んでいない救急隊でなければ、現場で慌ててしまいます。
慌てなくても、メインで傷病者に接触する救急救命士や救急隊員の負担が増し、現場活動時間が延長してしまいます。。
ブリーフィングの重要性
では、どのような話し合い(ブリーフィング)が必要なのでしょう?
例えば・・・
ちょっと一例を紹介してみました。
これだけの事を、隊で共有認識として持っておけば、現場で焦らずに活動できそうですよね。
やっていなかった方は、一度やってみてください。
これだけでも、隊活動がスムーズにいくことを実感できるはずです。
「こんなこと言わなくてもわかるだろう」でも言う
また、分かっていても口に出して共有することは、ミスを未然に防ぐことが可能です。
こんな事言わなくても分かっているだろう・・・
これが、人の命を救う者として一番してはいけないことです。
ちょっとしたことでも、口に出して確認する癖をつけましょう。
【コツ4】事前管制・コールバック/プレアライバルコールを行おう
事前管制(じぜんかんせい)で時間短縮する
救急事案において、傷病者が重症や重篤な状態であることが疑われる場合、現場到着前に搬送先候補の病院へ情報提供及び受け入れ状況の確認を行うこと。
これを行うだけで、病院選定時間の短縮が図れます。
例えば、CPA事案において、事前コールの他に現場到着後、特定行為の指示要請を行うことを話しておけば、医師に電話が繋がらない・・・医師が電話に出るのが遅いということは回避できるかもしれませんね。
病院側としても、院内での受け入れ準備をするなどメリットがあると感じます。
コールバック/プレアライバルコールで時間短縮する
次に、コールバック/プレアライバルコールについてです。
この2つは同じ意味で使われています。
救急現場に向かう途中、救急隊から通報者に電話連絡を行うこと。
消防署から救急現場までの距離によりますが、できる限り行うようにしましょう。
通報者に聞く内容としてはケースによって変わりますが、下記の内容です。
- 通報時と様態変化がないか。
- 通報時の内容から疑われる疾患の問診
- 既往・かかりつけ・アレルギー・最終食事時間・個人情報等
①通報時と様態変化がないか。
様態変化があれば、支援隊の要請を考慮ができますね。
これで現場のマンパワーが増え、負担が軽減されます。
②通報時の内容から疑われる疾患の問診
2つ目は、問診をしておくことで、現場で聴取しなければならなかったことが減り、傷病者の所見をとりにいけます。
③既往・かかりつけ・アレルギー・最終食事時間・個人情報等
3つ目の病院連絡に必要となる情報を聴取しておくことで、活動時間短縮が図れます。
これらの事を、現場に着く前に聴取しておくことで、かなりの時間を節約することができまよ。
そして、現場での情報収集に手間取ることは少なくなるのではないでしょうか。
観察と情報聴取は切り離して考える
ここまでの内容で、現場に着くまでの事前準備が大切であることが分かったと思います。
では、現場に着いてからの行動はどのように行っていけばいいのでしょうか?
簡単です・・・ひとりで観察と情報聴取は同時に行わないようにするだけです。
具体的には
- 状況評価を行う
- 初期評価を行う ※必要があれば処置
- 情報聴取を行う
このように、順に進めていきます。
初期評価に異常があり、急ぐ必要があれば処置を他の隊員に任せるのもOKです。
まずは速さより、確実性を優先しましょう。
基本的に観察と情報聴取は切り離して考えてください。
観察と情報聴取を同時に行うことができれば、現場滞在時間の短縮が図れるかもしれません。
しかし、よく考えてください。
しゃべりながら、脈拍を数えられますか?
しゃべりながら、呼吸数を数えられますか?
出来たとしても、それは正確でしょうか?
とはいえ、隊長が病院連絡しているのならば情報を聞いておかなければなりません。
そのような時は、
前もって自分のやりたい活動内容を隊長に伝えておきましょう。
例えば・・・・
階級が上の隊長、消防に入って間もない隊員と一緒に現場に行ったとしましょう。
このような場合でも、事前に自分が初期評価、情報聴取、病院連絡をすることを隊長に伝えておくとスムーズです。
救急救命士は、活動のコーディネーター(現場を調整する人)でもあります。
隊長や他の隊員には、足らないところを補う活動をしてもらえればOKです。
隊長や隊員が何をしたらいいのか分からなければ、指示を行うことも必要です。
ただし、気をつけてほしいのは、救急救命士はあくまでもコーディネーターです。
最終責任者は隊長になるので、判断を隊長に伝えることは忘れないでくださいね。
観察と情報聴取を同時に行わない
観察と情報聴取を同時に行うことは正確性に欠け、傷病者の不利益にしかならないと考えます。
まず、しっかりと傷病者を観察し、その後情報収集をしてみてください。
事前準備をしていれば、現場活動時間に影響はでませんし、むしろ早くなっています。
仲間を頼るのも大切
なんでも、一人でやることが、できる救急隊員・救急救命士ではありません。
自分がやらないといけない・・・という責任感は大切です。
しかし、時には人に頼ることも大切です。
救急現場や日常で以下のことを意識してみてください。
- 助けを求める
- 任せる
- 日ごろから弱みを見せる
救急隊は自分の他にも隊員がいます。
自分ですべてやろうとするのではなく、他人を頼ることも大切にしてください。
自分がキャパオーバーなら、助けを求めてください・・・他人に任せてください。
そして、日ごろから仲間に弱みを見せることも大切です。
そこをカバーしなければならないと、仲間が動いてくれます。
出来すぎる救命士って、もし間違ったことをやっていても他の隊員はその間違いを指摘しにくいんです。
なので、本当に出来る救命士は日ごろから冗談が言い合えたり、いじられキャラを演じていることがあります。
良い活動をしている救急隊は、本当に仲がいいし、仲間の得意・不得意を把握しています。
そのためには、日々のコミュニケーションを大切にし、信頼し合えるチーム作りが大切です。
CPA(心肺停止)は、ながら活動が必要
観察と情報収集は、別々に行うことでOKでした。
しかし、状況によっては同時進行で行うことが、傷病者のためになることがあります。
例えば、傷病者がCPA(心肺停止)の場合です。
まずこの場合でも、観察と情報収集は別々に行っても問題ありません。
しかし、救急救命士の場合は、今後特定行為が必要になってきます。
現場で挿管やLT、LM、ルート確保を行う場合は、特定行為の指示要請をしながら準備を進めることで早期に処置を行うことができます。
初めのうちは、なかなかうまくいかないこともあると思います。
では、これをできる様にするにはどんな訓練が必要なのでしょうか?
実際に、私がやっていたことはこんな内容です。
- 特定行為の準備を繰り返し行う
- CPA事案の病院連絡をテンプレート化する
- そのテンプレートを丸暗記
- 色んな想定を想像しながら、車の中で声に出して繰り返す
これだけのことをやっていれば、手と口が連動して動いてくれます。
CPAの場合、急病と違って、医師に伝えなければならないことが決まっています。
このため、単調に話すことになってしまっても問題ありません。
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病院連絡時に、両手がフリーになるのは非常にメリットが大きいです。
慣れてこれば、口頭展開をし、異物除去をしながら病院連絡を開始することもできます。
また、現場で搬送しながら病院連絡をすることもできるようになります。
まとめ
今回は、現場での観察や情報聴取の考え方についてお伝えしました。
ひとたび現場活動が始まってしまえば、時間との戦いです。
救急活動の質を落とさず、迅速に活動しなければなりません。
だからこそ、現場活動に入る前から、以下の事をしておく必要がありましたね。
・時間、場所、種別、指令センターからのコメントから現場を想像する。
・現場到着までに、気になることは指令センターに必ず聞く。
・現場到着までに隊員間で観察・聴取しなければならないことを共有する。
・事前管制・コールバック/プレアライバルコールを有効活用する。
これらの事を考え、実践していくことで現場到着からの活動がスムーズになります。
そして現場では、観察と情報収集は分けて活動を行えば大丈夫です。
これだけの事前準備をしていれば、現場で焦る必要は全くありません。
最後に事前準備のための事前準備は必ずしてください。
それは、常に学び続けることです。
これができていないと、いくら現場活動を良くしようと思っていても無理です。
知識が現場の想像力を高め、現場力に繋がっていきます。
今回の記事が参考になれば幸いです。
救急現場で観察しながら、情報聴取する同時作業が苦手です。
何か工夫していることや、意識していることがあったら教えていただきたいです。