こんにちは。救急救命士学習塾の空飯です。
この記事では、救急救命士国家試験の「外傷」分野の問題を10問まとめました。
並び順は適当ではありません。第45回〜第49回(過去5年分)の国家試験を1問ずつ分析し、類題が多く出ているテーマから順番に並べています。上から解いていけば、出やすいところから効率よく得点力がつきます。
答えは各問題の下の「▼答えと解説を見る」を押すと開きます。まずは自力で解いてみてください。
▶ 他の分野の問題は救急救命士 国家試験の問題(分野別まとめ)から解けます。
外傷は毎年どれくらい出る?
外傷は、救急救命士国家試験で最も出題数が多い分野のひとつです。第45〜49回を数えると、外傷に関わる問題は毎年およそ20〜25問出ています。
A問題(一般)では「骨盤」「胸部」「頭部」などの部位別の知識が、C・D問題(状況設定・1問2.5点)では交通事故や墜落の事例で「次に何をするか」が問われます。部位ごとの特徴と、JPTECの活動の流れを押さえれば一気に得点源になります。
| 順位 | テーマ | 過去5年の類題数 |
|---|---|---|
| 1 | 初期評価・ロードアンドゴー・受傷機転 | 約13問 |
| 2 | 骨盤骨折 | 約12問 |
| 3 | 胸部外傷(気胸・フレイルチェストなど) | 約12問 |
| 4 | 頭部外傷 | 約12問 |
| 5 | 脊椎・脊髄損傷 | 約12問 |
| 6 | 四肢外傷・止血 | 約12問 |
| 7 | 出血性ショック | 約11問 |
| 8 | 小児・高齢者・妊婦の外傷 | 約10問 |
| 9 | 腹部外傷 | 約8問 |
| 10 | 爆傷・創傷の種類 | 約6問 |
※類題数は当塾が第45〜49回の問題を分類して数えたものです(写真や図を使う事例問題も含みます)。同じ数のテーマは、現場での重要度が高い順に並べています。
【第1位】初期評価・ロードアンドゴー(類題 約13問)
問題1 外傷傷病者に対する現場活動において初期評価で観察するのはどれか。1つ選べ。(第49回 午前A 問112)
- 瞳孔径
- 運動麻痺
- 呼吸の速さ
- 後頸部の圧痛
- 腹部の筋性防御
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答え:3. 呼吸の速さ
初期評価は、頸椎を保護しながら15秒程度で生理学的な異常(命に関わるか)を見る段階です。順番は「反応と気道 → 呼吸 → 循環 → 意識レベル」。呼吸では、呼吸の有無・深さとともに速さ(速い/遅い)を見ます。
- 1・2・4・5:瞳孔、麻痺、圧痛、筋性防御は「解剖学的評価(全身観察)」で見る項目です。
初期評価または全身観察で異常があればロードアンドゴー。気道確保や止血など、必要不可欠な処置だけ行って搬送を急ぎます。
【11版 p.707〜708】
【第2位】骨盤骨折(類題 約12問)
問題2 骨盤固定具を装着する際に目安とする部位はどれか。1つ選べ。(第49回 午前A 問103)
- 臍
- 腸骨稜
- 坐骨結節
- 上前腸骨棘
- 大腿転子部
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答え:5. 大腿転子部
骨盤固定具は大腿転子部(恥骨結合とほぼ同じ高さ)に巻きます。腸骨稜など高い位置に巻くと、固定力が大きく落ちてしまいます。
骨盤骨折はまとめて覚えるのがコツです。
- 死亡原因のほとんどは出血(循環血液量減少性ショック)
- 不安定型が疑われたら、動揺の確認は繰り返さない(出血を増やす)
- 背面観察はログロールではなくフラットリフト、搬送にはスクープストレッチャー
- 簡易固定では両下肢を内旋位にすると効果が高まる
【11版 p.742〜743】
【第3位】胸部外傷(類題 約12問)
問題3 外傷傷病者で緊張性気胸を疑う所見はどれか。1つ選べ。(第46回 午後B 問29)
- 腹式呼吸
- 血圧の上昇
- 頸静脈の虚脱
- 患側胸部の鼓音
- 連続性ラ音の聴取
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答え:4. 患側胸部の鼓音
緊張性気胸では、胸腔内にどんどん空気がたまって陽圧になります。胸の中に空気が多いので、打診すると太鼓のような鼓音になります。
- 1:腹式呼吸は頸髄損傷の所見です。
- 2:心臓に血液が戻れなくなり、血圧は低下します(心外閉塞・拘束性ショック)。
- 3:静脈が心臓に戻れないので、頸静脈は怒張します。
- 5:患側の呼吸音は減弱・消失します。
ほかに、気管が健側へ偏位する、皮下気腫がある、なども覚えておきましょう。ちなみに血胸は打診で濁音です。
【第4位】頭部外傷(類題 約12問)
問題4 頭部外傷において二次性脳損傷を助長するのはどれか。1つ選べ。(第46回 午前A 問101)
- 心拍数96/分
- SpO2値94%
- 深部体温35℃
- 収縮期血圧160mmHg
- PETCO2(呼気終末二酸化炭素分圧)18mmHg
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答え:5. PETCO2 18mmHg
二次性脳損傷とは、受傷後に起こる「あとから悪くなる」脳のダメージです。原因は低酸素・低血圧・CO2の異常など。
- CO2が低すぎる(過換気):脳の血管が縮んで、脳血流が減る
- CO2が高すぎる(低換気):頭蓋内圧が上がる
PETCO2 18mmHgは明らかな過換気(正常は35〜45mmHg程度)なので、二次性脳損傷を助長します。バッグ・バルブ・マスクで「押しすぎない」ことが大事です。
頭部外傷はほかに、パンダの眼徴候=前頭蓋底骨折、びまん性軸索損傷=回転(角加速度)の力、抗凝固薬を飲んでいる高齢者は要注意、もよく出ます。
【第5位】脊椎・脊髄損傷(類題 約12問)
問題5 75歳の男性。乗用車運転中に電柱と衝突したため目撃者が救急要請した。救急隊到着時観察所見:意識JCS1。呼吸数12/分。脈拍48/分、整。血圧75/40mmHg。SpO2値93%。頸静脈の怒張はない。体幹皮膚には冷汗と湿潤とを認めない。呼吸音の左右差はなく、皮下気腫は認めない。腹式呼吸で、両上下肢の運動麻痺を認める。この傷病者で最も考えられる病態はどれか。1つ選べ。(第46回 午後C 問9)
- 心原性ショック
- 敗血症性ショック
- 神経原性ショック
- 循環血液量減少性ショック
- 心外閉塞・拘束性ショック
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答え:3. 神経原性ショック
「両上下肢の麻痺」「腹式呼吸」から頸髄損傷を疑います。頸髄が傷つくと交感神経が働かなくなり、血管が開いて血圧が下がります。これが神経原性ショックです。
見分けるポイントは、普通のショックと逆の所見が出ることです。
- 脈が遅い(徐脈)
- 皮膚が温かく乾いている(冷汗・湿潤がない)
頻脈・冷汗がないので出血(4)は考えにくく、頸静脈怒張や呼吸音の左右差がないので緊張性気胸(5)も否定的です。
【第6位】四肢外傷・止血(類題 約12問)
問題6 四肢からの大量出血に対する救急用ターニケットの使用について正しいのはどれか。1つ選べ。(第47回 午前A 問30)
- 30分毎に緩める。
- 長時間搬送の場合には使用しない。
- 出血部の5〜8cm中枢側に装着する。
- 巻き上げロッドは出血が止まってからさらに半周回した位置で固定する。
- 装着後も出血が持続する場合、2本目を1本目のすぐ末梢側に装着する。
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答え:3. 出血部の5〜8cm中枢側に装着する。
- 1:一度巻いたら途中で緩めません(2時間までは許容)。
- 2:長時間搬送でも使います。
- 4:ロッドは出血が止まるところまで回して固定します。
- 5:2本目は1本目のさらに中枢側に巻きます。
四肢外傷では、コンパートメント症候群の最初の所見は「痛みの増悪」(脈が触れなくなるのは最後)、挟まれて長時間たった傷病者は救出直後のクラッシュ症候群(高カリウム血症)に注意もセットで出ます。
【第7位】出血性ショック(類題 約11問)
問題7 外傷による出血性ショックで最も早くみられる症候はどれか。1つ選べ。(第46回 午前A 問105)
- 徐脈
- 昏睡
- 脈圧の狭小
- 喘ぎ様呼吸
- 収縮期血圧の低下
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答え:3. 脈圧の狭小
出血すると、体は血管を締めて血圧を保とうとします。そのため拡張期血圧が上がり、収縮期との差(脈圧)が小さくなるのが早い段階のサインです。
- 15%未満の出血:脈・血圧はほぼ変わらない
- 15〜30%:頻脈、脈圧の狭小、皮膚の蒼白・冷汗
- 30%以上:収縮期血圧が下がる
- さらに進むと意識が低下する
「収縮期血圧が下がる」のは、すでにかなり出血してからです。血圧が保たれていても安心しないことが大切です。
【第8位】小児・高齢者・妊婦の外傷(類題 約10問)
問題8 発生が高齢者層に偏る外傷に特徴的なものとして誤っているのはどれか。1つ選べ。(問題集830より)
- 中心性頸髄損傷
- 大腿骨近位部骨折
- 橈骨遠位端骨折
- 胸腰椎圧迫骨折
- 若木骨折
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答え:5. 若木骨折
若木骨折は、骨がやわらかい10歳未満の小児に多い骨折です。1〜4はすべて高齢者に多い外傷です。
| 小児に多い | 高齢者に多い |
|---|---|
| 肘内障、若木骨折、心臓振盪、上腕骨顆上骨折 | 中心性頸髄損傷、大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、脊椎(腰椎)圧迫骨折 |
妊婦では、弱い外力でも常位胎盤早期剥離が起こりうること、バックボードごと左に傾けて仰臥位低血圧を防ぐことがよく出ます。
【11版 p.755】
【第9位】腹部外傷(類題 約8問)
問題9 腹部外傷傷病者に対する現場活動で正しいのはどれか。1つ選べ。(問題集830より)
- 腹膜刺激症状は腹腔内出血で必発する。
- 打撲痕から離れた部分の腹部臓器損傷は否定できる。
- 腹部膨隆は後腹膜臓器損傷で受傷後早期から認められる。
- 乳頭の高さから恥骨までの穿通性外傷は腹部臓器損傷を疑う。
- 最も緊急性の高い生理学的異常は感染による敗血症性ショックである。
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答え:4. 乳頭の高さから恥骨までの穿通性外傷は腹部臓器損傷を疑う。
横隔膜は息を吐くと乳頭の高さまで上がるので、胸の下のほうの刺し傷でも腹部の臓器が傷ついていることがあります。
- 1:腹膜刺激症状はそれほど多く出ません。意識障害があればなおさらです。
- 2:打撲痕から離れた場所の損傷も否定できません。
- 3:後腹膜の出血で腹部が膨らむのは、かなり大量にたまってからです。
- 5:最も緊急性が高いのは出血による循環血液量減少性ショックです。
刺さったままの刃物は抜かずに固定(抜くと出血が増える)、シートベルト痕があれば小腸・腸間膜損傷を疑う、も頻出です。
【11版 p.738】
【第10位】爆傷・創傷の種類(類題 約6問)
問題10 一次爆傷により生じる損傷はどれか。2つ選べ。(第49回 午前A 問113)
- 中毒
- 熱傷
- 空気塞栓
- 鼓膜破裂
- 四肢轢断
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答え:3と4
爆傷は4つに分けて覚えます。
- 一次:爆発の圧力波 → 空気を含む臓器がやられる(鼓膜破裂、肺損傷による空気塞栓)
- 二次:飛んできた破片が刺さる(穿通性損傷)
- 三次:爆風で体が飛ばされて打ちつけられる(四肢轢断などの鈍的損傷)
- 四次:それ以外(熱傷、中毒、窒息など)
創傷の種類では、先端が鈍い棒が刺さった傷=杙創(よくそう)、皮下組織と筋膜の間がはがれる=デグロービング損傷も出題されています。
【11版 p.699〜700】
外傷の要点まとめ
| テーマ | これだけは覚える |
|---|---|
| 初期評価 | 15秒で「気道→呼吸→循環→意識」。異常があればロードアンドゴー |
| 骨盤骨折 | 固定具は大腿転子部の高さ。動揺の確認は繰り返さない |
| 胸部外傷 | 緊張性気胸=鼓音・頸静脈怒張・血圧低下/血胸=濁音 |
| 頭部外傷 | 過換気(CO2低下)も低換気も二次性脳損傷を助長する |
| 脊髄損傷 | 神経原性ショック=徐脈+温かく乾いた皮膚 |
| 止血 | ターニケットは5〜8cm中枢側、途中で緩めない |
| 出血性ショック | 最初のサインは頻脈と脈圧の狭小。血圧低下は遅い |
| 腹部外傷 | 乳頭〜恥骨の穿通創は腹部損傷を疑う。刺さった刃物は抜かない |
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【外傷編】救急救命士国家試験の“鉄板”外傷10問を徹底攻略!
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問題8・9は、塾で使っている「問題集830」からの出題です。テキストの順番どおりに国試に出るポイントを確認できるようになっています。
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