こんにちは、救命士学習塾塾長の空飯(→プロフィール)です。
ヒューヒュー、ゼーゼー、プツプツ、ギシギシ、バリバリ、ガリガリ…
様々な喘鳴や肺雑音がありますが今回「呼吸音・副雑音」のまとめです。
実際の副雑音も聞けるので参考にしてみてください。
もくじ
呼吸音のまとめ
出典 救急救命士標準テキスト
- ウィーズ(喘息):ヒューヒュー
- ロンカス(気管支炎):ボーボー
- ファインクラックル(肺炎・心不全):ギューギュー
- コースクラックル(肺炎・心不全):プツプツ
- ストライダ(上気道の異物、喉頭蓋炎):ヒュー!(聴診なしで聞こえる)
動画で聞く呼吸不全と解説
連続性ラ音(乾性ラ音)
ウィーズ
気道側に問題があると聞こえる。
呼気で顕著。細い気道に狭窄があると発生する。
典型的な疾患は気管支喘息。
病状の重症化とともに音が増大するが、さらに重症になると気道が閉塞し減弱する。
ヒューヒュー。
ロンカス
気道側に問題があると聞こえる。
いびき様の低調音で呼気で聴取。
比較的太い気道に可動性の液体があり、狭窄があることを示す。
気管支炎などの炎症(分泌物貯留)、異物、腫瘍が原因。
ボーボー、グーグー
断続性ラ音(湿性ラ音)
クラックル
肺側に問題があると聞こえる。
断続性のラ音(湿性ラ音)で吸気時に聞こえる。
肺炎・うっ血性心不全で聴取される。
ファインクラックル
捻髪音。
髪の毛の束を雑巾を絞る時のイメージでこの名前。
間質性肺炎(肺線維症)で聞かれる。
チリチリ、パリパリ。
コースクラックル
水泡音。
名前の通り泡がプツプツなイメージ。
吸気初期から呼気の初期まで続く。
肺水腫・肺炎・気管支拡張症・気道分泌を伴う炎症で聴取。
プツプツ、ゴロゴロ。
吸気時喘鳴
ストライダー
吸気時喘鳴。聴診器を使わなくても聞こえる。
ストライダーは上気道閉塞の所見で、緊急事態であることが多い。
ハマンサイン(ハマン徴候)
心拍に同期して聴取される。
縦隔気腫の症例では、心臓の一部を覆う縦隔洞内に空気が貯留している。
その空気が心臓の収縮期に一致して「バリバリ」「ガリガリ」といった特有の音を発する。
重症度緊急度の判断
慢性呼吸不全の重症度では日常生活がどの程度できるかによって分類。
呼吸困難の重症度分類
出典 救急救命士テキスト
意識障害、著しい除呼吸または頻呼吸、著明な奇異呼吸、チアノーゼ、血圧低下は緊急性が高い。
特に会話ができなければ緊急性は高いので、電話連絡の医師に会話不可と伝えると良い。
チアノーゼが出現しているのにわざわざSpO2は計測しない。
早急に酸素投与実施!
橈骨動脈が触れないから血圧を測定するのも同じ理由で良くない。
会話ができるかどうかが重要。
「呼吸困難で、会話不可です。」 緊急度高いことを伝えたい
「呼吸苦あり、会話可能です。」 緊急度が低いことを伝えたい
↑こんな感じで使い分けると便利です。
応急処置と搬送時の留意点
- 酸素投与 96%未満で実施。90%が維持されていればよい。CO2ナルコーシスに懸念がある場合は低流量からはじめて、90~94%を目指す。
- BVM補助換気 JCS100以上ならば補助換気を考慮する。特に、陥没呼吸や気管牽引などが見られれば気道確保してBVM換気で補助する。この時気管牽引で足部側に牽引された時を合図にBVM補助換気をするとうまく入る。←ポイント!
- 異物除去 腹部突き上げ、背部叩打で対応。意識がない傷病者では喉頭鏡とマギール鉗子で異物除去を行う。
- 体位管理 喀痰核出しやすい体位を取る。飲み込ませないよう指導。喘息発作では毛布を抱かせた座位が効果的。出典 http://izumidateruo.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/50-29-5c8c.html
まとめ
出典 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2555
聴診で大切なのは副雑音があるorない
左右の音を比べて、左右差があるorない
これらがまずは大切です。
さらに、乾性(ヒューヒューなど)or湿性(プツプツなど)
呼気時or吸気時
聴診しなくても聞こえる喘鳴かを判断しましょう!
呼吸管理は救命士の要です。
酸素投与と体位管理の判断はしっかりできるようになりましょう!