こんにちは、空飯です。
この記事では救急隊が血糖測定・ブドウ糖投与をする一連の流れを動画と解説で学べます。
救急隊はどのような時にブドウ糖投与するのか。
どうやって低血糖だと判断するのか。
どのように医師から指示をもらうのか。
この記事を見ていただければわかると思います。観察するべきポイントは解説付きです。
病院連絡の参考になるかと思います。
もくじ
【動画】ブドウ糖投与現場活動
8:40付近で2本目のブドウ糖を三方活栓の操作がないのとエア抜きしていないのはミスだと思いますので、2本目も手技をしっかり行いましょう。
初期評価 ~1:10
まずは初期評価です。
初期評価の目的は蘇生処置(CPR)の必要性と内因性ロード&ゴーの適応を生理学的所見から迅速に判断することです。
傷病者を目視してから接触までに
- 開眼の有無
- 異常な呼吸音
- 皮膚色
- 出血の有無
- 嘔吐の有無
などを確認し、傷病者の大まかな状態を評価します。
接触後
A気道
B呼吸
C循環
D神経症状
上記の異常がないか観察。初期評価を実施する。
もしも上記で異常が見つかり内因性ロード&ゴーなら早期車内収容、早期医療機関搬送を目指す。
(もちろん低血糖発作ならプロトコルに従い処置する)
内因性ロード&ゴーとなる状態はこちら。
ただし、時間が許す限り情報収集とバイタルサインの測定を行って傷病者の病態理解を深め包括的な判断をする。
ここで確認した情報はセカンドコールで伝える。
処置とバイタル測定の指示 1:10~
初期観察で内因性ロード&ゴーがなかったので処置とバイタル測定の指示です。
特に血圧、脈拍数、皮膚の状態(色、湿り気、乾燥、温度)、瞳孔、麻痺などを観察し、ショック状態でないか、脳卒中でないかを判断するのが重要です。
家族への問診 1:45~
【家族に問診】(訓練)
実際の現場なら、ここの部分は救急隊が家族から聞き出す部分です。
【家族に問診】(実際の現場活動なら)
低血糖を疑ったなら、既往・食事・糖尿病薬の質問を常に意識しておきましょう!
車内収容 2:35~
これから血糖測定を実施します。よろしいですね?
電源ON。資機材よし。廃棄ボトルこの位置。穿刺部位右手中指。消毒実施。ヒヤッとします。チクッとしますよ。
なかなか血が出ずらい人もいるので、穿刺前に指先を絞って圧を高めると血液不足の失敗が減る。
針廃棄。血糖測定。数値23。時間○時○分。消毒実施。ヒヤッとします。
家族へIC実施。
病院連絡(特定行為指示要請)5:10~
意識レベルJCS100。呼吸18。脈拍80。不整なし。血圧100/60。SpO2 98%瞳孔左右4ミリ対光反射正常。明らかな麻痺認めず。頭部外傷および突然の頭痛での意識障害ではないようです。静脈路確保、ブドウ糖投与の実施いかがしますか?
先生のお名前を教えていただけますか?ありがとうございます。後程救命士報告をさせていただきます。
収容依頼と指示要請をはじめに伝えること。
なぜ低血糖を疑ったのかを説明(血糖値23)
他の意識障害(特にくも膜下出血)の可能性を考慮する観察事項を伝えましょう。
病院連絡のコツ
- 隊と名前。収容依頼・指示要請・助言等の目的をはじめに伝える
- 傷病者の年齢と性別
- 概要(主訴) 状況 内因 外因
- 現病 既往 かかりつけ 内服薬
- バイタル 処置
- 氏名 生年月日
- 到着時間
この順番で連絡するとスムーズなのでお勧めです。
ブドウ糖投与 6:30~
ブドウ糖投与実施。50%ブドウ糖20ml未使用未開封使用期限良し。ブドウ糖接続。エア抜き実施。三方活栓よし。先端腫れ漏れなし。投与。抵抗なし。先端腫れ漏れなし。「○○さんわかりますか?」
2本目接続。エア抜き実施。三方活栓よし。先端腫れ漏れなし。投与。抵抗なし。先端腫れ漏れなし。「○○さんわかりますか?」
エア抜きを忘れない。
投与前、投与中、投与後に先端の腫れ漏れを確認する。
投与中は声掛けをしながら意識の変化を観察する。
ブドウ糖投与3分後、病着前のバイタル測定(特に意識レベル)を実施する。
まとめ
これでここまで丁寧に「この人低血糖発作だよ。」って教えてくれる家族はなかなかいません。
おそらくは…
救急隊 どうしましたか?
家族 昨日から風邪気味で具合が悪そうでした。朝起きてこないので起こそうとしたらこのような状態だったので救急車を呼びました。
くらいなもんじゃないですか?
ですからこの段階で救急隊は(脳卒中か?原因はなんだ?)麻痺や感覚障害はーって思っているわけですよ。
そんで「何かかかっている病気は薬はありませんか?」って質問が大事になってきます。
すると家族は「糖尿病があります。」と答えたら救急隊員はピーン!とスイッチを入れなければいけません。(最初から低血糖は考慮してなければなりませんが)
【意識障害+糖尿病】=低血糖発作の可能性!?
そして低血糖にフォーカスを当てつつ、他の意識障害の原因も考慮した問診をしていきます。
「食欲はありましたか?ご飯は食べてましたか?インスリンは使っていましたか?」
これがリアルな現場活動です。家族からヒントがバンバン出ることは稀なので、自分の中でスイッチを入れるのが大切ですね。
たとえば意識障害(急病)の通報なら
家族と話しながら傷病者へ「どうしました?」(家の中を歩きながら移動中)
↓
傷病者と接触「救急隊の○○です。お名前を教えてください。」(意識の評価)
↓
「呼吸や脈をみさせてもらいますね。」(初期評価)
ポイント 麻痺と瞳孔、眼瞼もここでチェック!
↓
上記の問診
↓
血糖測定実施!
という流れが一般的でスムーズでないでしょうか。まずはJCS10以上でSAH(くも膜下出血)が否定的なら血糖測定を忘れないのが大切ですね。
意識障害で悩むなら下記の記事がお勧めです。
2017.7.8 更新
2017.8.8 更新
2018.2.27 更新