蘇生ガイドラインはどのくらいの頻度で改正される?予後を変える要因とは?

蘇生ガイドライン

この記事の結論
  • 蘇生ガイドラインは5年ごとに改正される
  • バイスタンダーCPRは院外心停止の予後を決定づけると言えない
  • 119番通報の遅れる原因1位は「どうしていいかわからなかった」2位は「(親戚等に)電話した・誰かを呼んだ」
  • 迷ったら119番通報が院外心停止の予後を改善する

今回から救急救命士学習塾blogで救急ネタの記事を書かせていただきますTakeiと申します。

2019年もあとわずかとなりました。今年は皆さんにとってどのような年であったでしょうか?

 

蘇生ガイドライン2020まで

来年2020年は東京オリンピックの年、そして救急救命の分野では蘇生ガイドライン2020発表の年でもあります。

蘇生ガイドラインは1974年にアメリカ心臓協会(American Heart Association: AHA)とアメリカ医師会(American Medical Association: AMA)によって発表されて以来、2000年からはAHAと国際蘇生連絡委員会(International Liaison Committee On Resuscitation: ILCOR)とが共同して作製した「蘇生ガイドライン2000」を経て、以後5年ごとに改定がなされています。

JRC(日本版)ガイドライン2010-救急蘇生ガイドラインの国際協力による作成プロセスとその概要

 

救命の連鎖の変更点

日本蘇生協会(Japan Resuscitation council: JRC)による「救命の連鎖」のコンセプトは当初

当初の救命の連鎖
  1. 早期心停止の認識と通報
  2. 心肺蘇生法
  3. 早期除細動
  4. 二次救命処置

 

4つの輪で構成されていましたが、ガイドライン2010からは

 

2010からの救命の連鎖
  1. 心停止の予防
  2. 早期心停止の認識と通報
  3. 除細動を含む一次救命処置
  4. 二次救命処置と心拍再開後の集中治療

に改定されました。

 

バイスタンダーCPRは院外心停止の予後を決定づけるとまでは言えない

院外心停止の予後を決定づけものとして以下のような因子があります。

院外心停止の予後を決定づけるもの

 

  • 心停止の原因(心原性か否か)
  • 目撃の有無
  • 初期心電図波形(Vfか否か)
  • 傷病者の年齢
  • 救急隊の現場到着時間
  • 心停止の発生場所

ここで、

救急隊
「おいおい、バイスタンダーCPRが入っていないじゃないか?」

と思う方もいらっしゃると思います。

実は「バイスタンダーCPR(cardiopulmonary resuscitation)の有無」は院外心停止傷病者の予後を決定づけるとまでは言えないのです。

 

その理由は心停止の予後にはバイスタンダーが実施するCPRの質にも大きく影響するからです。[1, 2]

 

総務省の「平成30年救急救助の現況」によると市民目撃心原性心停止例のうちバイスタンダーCPRの実施率は56.6%であったということですが、その中でも質の良いCPRの比率はどれくらいなのか興味深いところではあります。

 

早期心停止の認識と通報

ところで「早期心停止の認識と通報」の現状について、皆さんはどのように認識されているでしょうか?

119番通報は迅速に行われているのでしょうか?

 

119番通報の遅れる原因は何かわかりますか?

自身は大学院博士課程において「119番通報の遅れの要因」を研究課題としていましたが少し紹介させていただきます。

 

皆さんは一般市民が心停止の現場に居合わせたときどのようなアクションを起こすと思いますか?

自身がある県の2003年~2008年までの5年間の救急蘇生データを分析した結果、院外心停止3,746例のうち通報に時間を要していた例は約40%の1,516例もあったことが判明しました。

 

通報に時間がかかる割合

院外心停止の40%は通報に時間がかかっている!

 

皆さんは「通報に時間を要した理由」は何だったと思いますか?

心停止の発生場所によっても違うのですが、心停止発生が最も多い一般住宅で最も多い理由が「どうしていいかわからなかった」というものでした。

次いで「電話した・誰かを呼んだ」という理由でした。

通報に時間がかかった理由

1位 どうしていいかわからなかった

2位 電話した・誰かを呼んだ

電話した相手で倒れている人の予後が変わる

しかしここで問題なのは「電話した」相手なのです。

 

日中、家にいる人ってどんな方が多いでしょうか?

たぶん専業主婦の方や高齢者の方たちなんでしょうね。

“おじいちゃん”が倒れて(意識が無くて)、気が付いた“おばあちゃん”はどこに電話すると思います?

 

回答で多かったのが「息子」「親戚」といった近親者でした。

 

迷ったら119番通報が院外心停止の予後を改善する

本当は「迷ったら119番」なのです!

上の方で書いた「バイスタンダーCPRの質」は救命のための重要なカギなのですが、女性や高齢者の方に「CPRの質」を求めるのは難しいですよね。

核家族化が進む現代、一般家庭で心停止が発生した場合、周囲に助けを求めても周りに人がいないことはあり得ることです。しかも家庭にはAEDはない!

それゆえ女性や高齢者の方が「迷ったら119番通報」をもっと広く理解してもらう。

そのことで「通報の遅れ」を改善させる。

そのことで院外心停止の予後を改善させることができるのです。

まとめ
  • 蘇生ガイドラインは5年ごとに改正される
  • バイスタンダーCPRは院外心停止の予後を決定づけると言えない
  • 119番通報の遅れる原因1位は「どうしていいかわからなかった」2位は「(親戚等に)電話した・誰かを呼んだ」
  • 迷ったら119番通報が院外心停止の予後を改善する

【引用文献】

  1. Wik L et al. Quality of bystander cardiopulmonary resuscitation influences outcome after prehospital cardiac arrest. Resuscitation 1994; 28: 195-203.
  2. Takei Y, et al. Factors associated with quality of bystander CPR. Resuscitation 2014; 85: 492-8.
  3. Takei Y, et al. Analysis of reasons for emergency call delays in Japan in relation to location. Resuscitation 2010; 81: 1492-8.

 

「蘇生ガイドライン2020」がどのような内容となるのか?とても楽しみです。

来年は皆さんにとって良い年でありますように。

 

2019年の年末から「救急救命士学習塾」において記事を書かせていただきます。

塾長に加えての記事投稿となります。

 

今後世界の先端研究や海外の救急救命事情を中心として、記事を書きたいと思っています。

今後ともよろしくお願いいたします。

Twitter account @YutakaTAKEI1555

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