【脊椎・脊髄損傷】頸椎・頸髄損傷のまとめ【病態と症状】

脊髄の損傷部位でどのような障害が現れるかわかりますか?意識障害の脊損を疑うには?現場でどのようなことに注意すればよいかポイントを記載!高所からの墜落や交通事故などで首に大きなエネルギーが加わると頚椎が損傷し、頸髄損傷になる可能性があります。頸髄損傷になると運動麻痺や知覚障害、最悪呼吸停になります。脊髄損傷の特徴と応急処置についてまとめました。

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脊椎・脊髄とは


出典 救命士テキスト

脊椎とは

背骨のことです
頸椎7個 胸椎12個 腰椎5個の計25椎でS字状に湾曲している
ちなみに頸部第1を環椎 第2を軸椎 第7を隆椎(背中の首下の出っ張っている骨)という
環椎の圧迫による破裂骨折をジェファーソン骨折
縊頸などで起こる軸椎の骨折をハングマン骨折
(別名 外傷性軸椎すべり 第2頚椎関節突起間骨折

脊髄とは

脊椎に入っている神経のことです
損傷すると麻痺したり、寝たきりになったりやっかいです
頸神経8 胸神経12 腰神経5 仙骨神経5 尾骨神経1の計31対

つまり脊椎損傷すると脊髄損傷する可能性があります!

どうなったら脊髄損傷は起こる?

受傷原因順位

1位 交通外傷
2位 転落
3位 転倒
4位 下敷落下物
5位 スポーツ

※年間5000人の日本人は脊損している。

疑わしきは全脊柱固定!!

発生機序

  • 首を後ろにのけ反らす過伸展(後方脱臼)
  • 首を前に押し倒す過屈曲(前方脱臼)
  • 転落や尻餅の圧迫
  • 小児にあったりするねじれ

以上4つのどれかが起こると生じる

過伸展と過屈曲


出典 救命士テキスト

首が後ろにのけ反ることを過伸展(後方脱臼)
首が前に落ちることを過屈曲(前方脱臼)

特に過伸展の場合は高齢者の中心性脊髄損傷の原因となる。
(高齢者転倒で多い。)

圧迫


出典 救命士テキスト

転落や尻餅などで生じる。外力が強い場合には破裂骨折となる。好発部位は胸椎11~腰椎2に生じやすい。

ねじれ


出典 救命士テキスト

ねじれ自体は稀。
ただし、小児には頭部や頸部を打撲した後に上の写真のようになり動けなくなることがある。
これは環軸椎回旋亜脱臼といい、環椎、軸椎の靭帯が未熟のためにおこる。
斜頸位環軸椎回旋転位、あるいは環軸椎回旋位固定と呼ばれる状態。
スカイ整形外科クリニックさんで詳しく解説されてます

脊髄完全損傷の病態と症状

  • 損傷部位以下の全運動麻痺(まったく動けない)
  • 損傷部位以下の全知覚麻痺(ツネっても痛がらない)
  • 第3~5頸髄以上の完全損傷では呼吸停止(呼吸筋麻痺による)
  • 第6頸髄付近の完全損傷では腹式呼吸
  • 膀胱直腸障害持続勃起
  • 膝蓋腱反射の消失

完全損傷で気をつけなければならないのはAトラブルである呼吸停止です。外傷だけではないですが呼吸の観察をしっかり行いましょう。場合によってはBVM換気を実施することが大切です。神経原性ショックによる徐脈・低血圧を呈することがあります。静脈路確保の必要性を判断しましょう。
また、手足をまったく動かせず感覚もまったくなければ脊髄完全損傷を疑います。稀ですが、男性であれば勃起も特異的な特徴です。

脊髄不完全損傷の病態と症状


出典 救命士テキスト
出典 救命士テキスト

脊髄前半部損傷(前脊髄型損傷)

  • 損傷部位以下の完全麻痺
  • 温痛覚障害
  • 深部知覚は残存

ちなみに国家試験に出やすい順3位

中心性脊髄損傷

  • 下肢より上肢に強い麻痺
  • 温痛覚障害

高齢者だと軽度の外傷でも中心性脊髄損傷になる可能性があります。理由は後縦靫帯骨化症脊椎管狭窄症などにより脊椎管が狭い為です。

ちなみに国家試験に出やすい順1位

ブラウン-カセール症候群

  • 損傷部の運動麻痺
  • 損傷側の深部知覚低下
  • 反対側の温痛覚障害

ちなみに国家試験に出やすい順2位

現場での活動

 意識が清明な場合には、脊椎(頭部・背部・腰部)の疼痛の有無をまず確認する

 手足が動くか,触わってみて感じるか知覚を調べる

 安静時における頚部・背部の痛みを確認したあと、もし症状がなければ動作時における痛みを確認する(しびれたりしないか)
手足が動くか。指先が動けば麻痺は否定的

 頚髄損傷ならば上肢、胸腰椎部の損傷ならば下肢の運動障害、しびれ感やピリピリ感(異常知覚)を確認
頚髄損傷では呼吸障害が認められることもあるため,呼吸苦の有無と呼吸様式を確認することがもっとも大切である。

脊髄損傷は,搬送中に症状が悪化する場合があるので,最初に脊髄損傷の有無を確認することは重要である。
要は接触時(少なくとも移動前)に麻痺があるかどうか観ておきなさいってこと

頚髄もしくは胸髄を損傷すると,末梢血管が拡張し血圧が低下する神経原性ショックを起こす場合がある。皮膚温は正常で血圧が低いにもかかわらず、心拍数が減少している。

しびれ(異常知覚)について

脊損の特徴的なしびれ(異常知覚)はpin&needleと表現され、針でチクチク刺したような痛い痺れ。長時間正座した後の足のしびれに例えられる。

高齢者の脊髄損傷

高齢者は頸髄損傷しやすい?
脊髄損傷しやすい◎
理由は後縦靭帯骨化症脊柱管狭窄症などにより脊柱管が狭くなっていると骨に異常がなくとも軽い外力で頸髄損傷を起こす。特に多いのが中心性脊髄損傷
これが国家試験に一番出やすい理由ですかね?^^;
簡単にメカニズムを説明
後縦靭帯が老化→厚く骨化→脊髄の動くスペース減る→外力で神経損傷

意識障害で脊損を疑うヒント

 鎖骨より上部のみの範囲で痛み刺激に顔をしかめる(反応する)
 肘を屈曲するものの、伸展はしない C5~6
 腹式呼吸(横隔膜呼吸):肋間筋が動いていない C5~T6
 深部腱反射低下、四肢弛緩、肛門括約筋緊張低下
 持続性陰茎勃起症、稀、しかし、あれば脊髄損傷で特徴
 血圧低下、除脈、四肢温かい

出典 研修医当直御法度

 

まとめ

傷病者接触時に

  • 腕を伸ばせず屈曲している
  • 勃起している
  • 呼吸が変(腹式呼吸)
  • 意識があり、会話もできるがまったく動こうとしない

パッと見て接触し、すぐに上記のような症状(異変?違和感?)が見られ、感じられます。
高所からの墜落、交通事故だけではなく「高齢者、転倒」のキーワードでも頚損のスイッチを入れなくてはなりません。

スイッチON→ネックカラー→バックボードなどによる全脊柱固定

高齢者は予想以上に頚損しやすいです。特に前のめりによる転倒で。
私が経験した例ですと…

 「高齢者男性、飲酒後階段で転倒した」→前のめりに転倒、受け身なし(手をついたり)→腹臥位で動けない

 「高齢者男性、飲酒後自転車で転倒」→段差気が付かず前のめりに転倒→意識朦朧、動かない

どちらも頚損でした。

 鎖骨より上に外傷があるときは頸椎損傷があるものとして扱う
 意識障害があれば上記のチェックリストを参考にする
 少しでも怪しければ全脊柱固定する

【動画】頸椎損傷の瞬間!!

【追記】2017.5.28 2017.9.21

2:55が飛び込みの瞬間です。頸髄損傷の瞬間をとらえた貴重な動画です。幸い、受傷した柳田哲志アナウンサーは治療とリハビリのかいあって現在は車イスでレギュラー番組復帰を果たしています。

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参考

 

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